「貯蓄3000万円」ある両親。もうすぐ還暦になりますが、老後は「赤字を出さずに」生活できるでしょうか?

配信日: 2025.06.11

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「貯蓄3000万円」ある両親。もうすぐ還暦になりますが、老後は「赤字を出さずに」生活できるでしょうか?
近年、「老後の生活資金」について具体的に考える必要に迫られる家庭が増えています。ある程度の貯蓄があっても、本当にそれで安心できるのかは、なかなか判断がつかないものです。
 
そこで本記事では、老後にかかる生活費や年金の受け取りについて整理しながら、老後生活の見通しについて確認します。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後世帯の平均支出額

総務省による家計調査報告を参考に、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における支出の月平均額を表1にまとめました。表1における非消費支出とは直接税と社会保険料を合わせたものです。
 
表1

65歳以上の夫婦のみの無職世帯
消費支出(月平均額) 25万959円
非消費支出(月平均額) 3万1538円
合計額 28万2497円

※総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」より筆者作成
 
1ヶ月の支出額が28万2497円であり、貯蓄が仮に3000万円ある場合は貯蓄分だけで8年と10ヶ月は生活できる計算になります。人がいつ亡くなるかは予想できませんが、男女ともに平均寿命が80歳を超えている現状では足りないと感じる方もいるでしょう。
 

老後世帯の収入源のひとつは年金

定年退職をした老後世帯において、主な収入源のひとつは年金になるでしょう。年金にはさまざまな種類がありますが、公的年金と私的年金の2種類に大別されます。
 
なかでも多くの人が受給を期待できるのは、公的年金に分類される国民年金と厚生年金でしょう。ここからは、国民年金と厚生年金について平均受給額も含めて解説します。
 

国民年金

老齢基礎年金とも呼ばれる国民年金は、日本に居住している20歳以上60歳未満の全ての人を対象とした公的年金です。受給資格期間が10年以上であれば、基本的に65歳から年金を受け取れます。
 
なお、受給資格期間とは保険料を納めていた期間と、保険料の納付を免除されていた期間を合わせたものです。
 
国民年金の受け取りは基本的に65歳からですが、最大で60歳まで受け取り時期を早める繰上げ受給と、最大で75歳まで受け取り時期を遅らせる繰下げ受給を行うことも可能です。
 
ただし、繰上げ受給を行った場合は受給額が減額されます。一方、繰下げ受給を行った場合は受給額が増額されます。生活費などに余裕があれば、繰下げ受給を実施することも検討してみましょう。
 
厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給額は令和5年度で月額5万7700円です。平均支出額を考慮すると、国民年金だけで老後の生活費を賄うのは難しいでしょう。
 
国民年金は毎年、そのときの経済状況などを鑑みて支給額の満額が決定されます。受給額はその年の満額と保険料を納付した期間を基に算出されます。
 
なお、令和7年度における国民年金の満額は6万9308円です。令和6年度の6万8000円に比べて、1308円の増加です。ちなみに、令和5年度に関しては6万6250円でした。
 

厚生年金

老齢厚生年金とも呼ばれる厚生年金は、企業に属する会社員や公務員などが加入する年金制度です。専業主婦(夫)や自営業者などは加入対象外となるため、受け取りはできません。厚生年金は過去に加入期間があり、国民年金の受給資格を満たしている場合に受給できます。
 
受給開始時期は基本的に65歳ですが、国民年金と同様に繰上げ受給と繰下げ受給を行うことも可能です。その場合も国民年金と同様に繰上げ受給を行えば受給額が減額され、繰下げ受給を行うと受給額が増額されます。
 
厚生年金の支給額は当人の収入を基に算出されるため、受給額が人によって大きく異なることも少なくありません。厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度における厚生年金の平均受給額は月額で14万7360円です。
 
なお、この金額には国民年金も含まれます。夫婦2人が国民年金も含めて平均程度の厚生年金を受け取れる場合、月々の受給額は29万4720円となります。
 
夫婦2人世帯における老後の平均支出額が28万2497円ですから、ギリギリではありますが黒字です。この収支を継続できれば、年金だけで老後生活を送れるといえます。
 

3000万円の貯蓄だけではやや不安

65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均支出額は、月々28万2497円です。貯蓄額が3000万円である場合、貯蓄だけで8年と10ヶ月は生活できるといえます。人がいつ亡くなるかはわかりませんが、平均寿命も考慮すると不安な金額といえるでしょう。
 
老後の収入源としては年金が期待できます。受給額によっては生活費を賄う重要な柱になりますし、貯蓄と合わせればより長く安定した老後生活を送ることも可能でしょう。
 

出典

総務省 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
厚生労働省 令和5年簡易生命表の概況
厚生労働省 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
厚生労働省 令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から1.9%の引上げです~
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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