一人暮らしの65歳会社員です。貯金「1000万円」あれば”年金だけの生活”は成り立つのでしょうか?

配信日: 2025.06.10

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一人暮らしの65歳会社員です。貯金「1000万円」あれば”年金だけの生活”は成り立つのでしょうか?
65歳での定年退職を目前に控えている方のなかには、「これからの生活は年金だけでやっていけるのだろうか?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。特に一人暮らしの場合、家計の管理を自分一人で担うことになるため、老後の生活資金には十分な備えが必要です。
 
本記事では、貯金1000万円を持つ65歳で一人暮らしの方を例に、年金のみでどのような生活を送れるのか、最新の統計をもとに具体的にシミュレーションしてみます。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後の生活費の平均は月いくらくらい?

まず、老後に必要な生活費の目安を確認しておきましょう。総務省の「家計調査年報(家計収支編) 2023年」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月あたりの平均支出額は14万5430円です。この支出には、主に以下のような費目が含まれています。
 

食費:4万103円
住居費:1万2564円
光熱・水道費:1万4436円
保健医療費:7981円
交通・通信費:1万5086円
教養娯楽費:1万5277円
その他の消費支出(日用品、交際費など):3万821円

 
ただし、賃貸住宅に住んでいる場合は家賃負担により住居費が増えるため、毎月の生活費はさらに上がる可能性があります。
 

公的年金だけでは少し赤字になることも

年金だけで生活ができるのかどうかを判断するには、まずは平均的な年金受給額と、日々の生活費とのバランスを知ることが大切です。本章では、公的年金の受取額と支出の差について見ていきましょう。
 
令和7年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は、月6万9038円です。また、厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月14万7360円で、65歳以上の男性が16万9484円、女性は11万1479円です。
 
ただし、受給額はあくまでも平均であり、実際は現役時代の収入や加入年数に左右されます。また、消費支出も個人の生活状況によって異なります。例えば、月13万円の年金収入で月15万円の支出があれば、毎月2万円の赤字が生じます。これが年間で約24万円、30年間で約720万円となります。
 

貯金1000万円で足りるのか?

仮に今後30年間生きるとして、年間24万円の赤字が30年続いた場合、必要な補てん額は約720万円です。貯金1000万円あれば、基本的な生活赤字をカバーしつつ、一定の余裕を持つことができるといえるでしょう。さらに、年金以外の収入源(個人年金・賃貸収入など)があれば、より余裕が出てきます。
 
ただし注意したいのは、予期しない大きな出費が生じる可能性も考えられます(後術)。そのため、残りの280万円(貯金1000万円−補てん額720万円)は、予備費として確保しておくと安心です。
 

将来の出費リスクにも備えておく

1000万円あれば一定の備えにはなりますが、前述したように老後の生活では予想外の出費もつきものです。そこで本章では、老後に発生する突発的な支出について紹介します。
 
1. 医療・介護費の増加
年齢とともに、病院通いや通院費用が増えるのは避けられません。要介護認定を受けた場合には、介護保険の自己負担(原則1〜3割)も発生します。
 
2. 持ち家の維持費
持ち家に住んでいる場合でも、定期的な修繕費や固定資産税は必要です。マンションであれば、管理費や修繕積立金も考慮に入れなければなりません。
 
3. インフレへの対応
今後も物価が上昇する場合、想定していた生活費より多くのお金が必要になるリスクもあります。
 
これらのリスクを見越して、「毎月少しでも貯蓄を取り崩さずに暮らす」という意識が重要になります。
 

収入と支出を定期的に見直そう

年金生活に入った後も、定期的に家計の収支をチェックし、支出の見直しや節約を心掛けることで、資金の減りを最小限に抑えることができます。主な見直しポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
 

・通信費や保険料を見直す
・買い物はまとめ買いで無駄を減らす
・公共交通機関のシニア割引などを活用する

 
こうした工夫の積み重ねが、長く安心して暮らすためのカギとなります。
 

年金と1000万円で成り立つが、計画的な支出管理が必須

65歳で貯金1000万円というのは、年金暮らしを始めるにあたって全国平均より多い水準であり、堅実なスタートといえます。年金収入で生活費の大部分をまかなえれば、貯金は赤字補てんや突発的な支出への備えとして活用できるでしょう。
 
ただし、生活費の把握、支出の最適化、健康管理など、「資金を長持ちさせる工夫」は欠かせません。不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士などの専門家に相談して、ライフプランを立てておくこともおすすめです。
 
「1000万円あるから安心」ではなく、「どう使うか、どう残すか」が、安心老後のカギを握ります。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編) 2023年 結果の概要
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
厚生労働省 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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