退職金「1500万円」で2代目の車を購入したいです。「1000万円」だけ残せば、年金と合わせて生活できますよね?

配信日: 2025.06.07

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退職金「1500万円」で2代目の車を購入したいです。「1000万円」だけ残せば、年金と合わせて生活できますよね?
老後の生活設計において、退職金は貴重な資金源となります。貯蓄や年金収入と合わせて、退職金を生活資金にあてようと思っている人は少なくないはずです。
 
一方、まとまった退職金を使って大きな買い物をする人もいます。今回取り上げるのは、約500万円のセカンドカーの購入を考えているケースです。
 
しかし、大きな出費をする前には、老後に必要な生活費を具体的に把握しておくことが重要です。本記事では、退職金のうち1000万円を生活費として残した場合に、年金と合わせて生活していけるか、平均的な消費支出のデータと照らし合わせつつ解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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老後に必要な資金はどれくらい?

総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の家計収支は以下の通りです。


・実収入:25万2818円
・非消費支出:3万356円
・消費支出:25万6521円

実収入に対して、非消費支出と消費支出の合計額が3万4058円上回っています。今回のケースで登場する世帯が夫婦のみの無職世帯で、家計が上記と同様の収支状況である場合、1ヶ月あたり約3万4000円の不足が出てしまいます。
 

退職金1000万円を不足分にあてれば大丈夫?

退職金1500万円のうち、500万円をセカンドカーの購入費にあて、残り1000万円を生活資金として取り崩す場合、毎月生じる約3万4000円の不足分をカバーできます。ただし、約24年半で使い果たしてしまう計算です。
 
65歳から取り崩しを始めたと仮定すると、89歳頃に退職金を使い切り、その後は年金収入のみで暮らすことになります。
 
一方、退職金1500万円すべてを生活資金にあてた場合は、毎月の不足分約3万4000円を37年近く補うことが可能です。65歳からスタートすれば、102歳近くまでカバーできる計算になります。
 

退職金の使い道を考えるときに検討したいこと

退職金の使い道について考えるときは、さまざまな要素を踏まえ、計画的に判断することが必要です。医療の発達などにより、老後の生活は想像以上に長くなる可能性があります。90歳、100歳まで生きることも珍しくなくなってきており、長期的な資金計画が欠かせません。
 
ここでは、退職金の使い道について考えるときに、検討しておきたいポイントをいくつかご紹介します。
 

年金収入や普段の支出を把握する

まず、年金収入がいくら見込めるかを正確に把握することが重要です。上記のシミュレーションでは、家計調査に基づく平均的な実収入を用いて不足額を算出しましたが、実際の年金額はそれより少ない可能性もあります。
 
仮に収入が少なければ、不足分はさらに拡大し、生活資金として用意した退職金を早く取り崩すことになりかねません。また、年金収入が平均的な金額であったとしても、支出が多ければ、やはりマイナス収支になる可能性があります。
 
支出の程度は生活スタイルやローンの有無など、さまざまな要素に左右されます。現在の支出状況を見て、年金収入との差し引きがどの程度になるか把握しておきましょう。
 
そのうえで、収支バランスに余裕があるようであれば、退職金の一部を買い物や娯楽にあてる選択も検討できます。
 

予想外の出費や老齢に伴う出費も考慮する

老後には、予期せぬ出費が発生する可能性もあります。健康状態が悪化すれば、医療費や介護費が増加します。高額な治療費や入院が必要になるケースも想定しておくことが大切です。
 
また、自宅を所有している場合、経年劣化によるリフォーム費用も発生します。車を所有していれば、故障や買い替えの出費も考慮が必要です。加えて、子どもや孫の結婚・出産といった家族イベントによる臨時出費もあり得ます。
 
このような突発的な支出は、日常の生活費を大きく上回ることがあります。万が一に備える意味でも、退職金の一部はあらかじめ「予備費」として確保しておくと安心です。
 

退職金の使い道は慎重に検討しよう

退職金の一部を大きな買い物にあてるかどうかは、年金収入や普段の支出、将来の予想外の出費など、さまざまな要素から判断する必要があります。
 
仮にマイナス収支が続くと予想される場合、退職金でカバーしても早いうちに使い果たしてしまう可能性があります。老後の生活で不安を抱えないためには、長期的な視野による老後資金計画が欠かせません。
 
まずは収支の現状を把握し、将来的な支出やライフイベントも見越したうえで、退職金の使い道を検討しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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