定年後の「生活費」はどう変わる? 現役時代と比べて「増える費目」と「減る費目」は?食費が月に「7万」の夫婦二人暮らしですが、相場はどの程度でしょうか?
配信日: 2025.06.08

今回は、定年後の生活費で増える費目と減る費目を始め、老後の生活費を賄う方法を解説します。

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定年後の生活費で「増える費目」と「減る費目」
総務省統計局の2024年「家計調査」を基に、世帯人数が2人の勤労者世帯(世帯主が60歳未満)と夫婦のみの無職世帯(65歳以上)の、各費目の平均支出月額を表1にまとめました。
表1
費目 | 世帯人数が2人の勤労者世帯 (世帯主が60歳未満) |
夫婦のみの無職世帯 (65歳以上) |
---|---|---|
食料 | 7万5254円 | 7万6352円 |
住居 | 2万9427円 | 1万6432円 |
光熱・水道 | 1万9253円 | 2万1919円 |
家具・家事用品 | 1万2326円 | 1万2265円 |
被服及び履物 | 9631円 | 5590円 |
保健医療 | 1万2984円 | 1万8383円 |
交通・通信 | 4万7786円 | 2万7768円 |
教育 | 2016円 | 0円 |
教養娯楽 | 3万1512円 | 2万5377円 |
諸雑費 | 2万8608円 | 2万2125円 |
交際費 | 1万9194円 | 2万3888円 |
仕送り金 | 1万2068円 | 1040円 |
非消費支出 | 11万9139円 | 3万356円 |
※参考資料を基に筆者作成
定年後に減る費目は、住居、家具・家事用品、被服及び履物、交通・通信、教育、教養娯楽、仕送り金と大半を占めます。社会保険料や税金などを含む非消費支出も、8万8783円減少します。
一方、定年後に増えるのは食料と光熱・水道、保健医療と交際費です。現役の頃と比べると食料は1098円、光熱・水道は2666円、保険医療は5399円、交際費は4694円増えています。
なお、65歳以上の夫婦のみの無職世帯が受け取れる社会保障給付は1ヶ月あたり平均で22万5182円です。一方、定年退職後の総支出は平均28万6887円のため、毎月の不足額は6万1695円となります。
老後の生活費を作る3つの方法
定年後の年金生活に備えるために、節約はもちろん、お金をふやすように意識することが生活費を作るためのポイントになるでしょう。
老後の生活費を作る方法を、下記にまとめました。
・生活費を見直して貯金する
・投資を始める
・元気なうちは働く
携帯電話や保険料などを見直し、不要なサービスは解約して節約します。特にスマホは格安SIMへ乗り換える、電気契約とまとめるなどで月々の費用をおさえられる可能性があるでしょう。
投資を始めて、お金をふやすのも効果的かもしれません。株式投資などで得た利益には20%程度の税金がかかりますが、少額投資非課税制度(NISA)を活用すれば年間最大360万円まで非課税で投資できます。ただし、元本保証がないため、損失でお金が減るリスクがあることも心得ておきましょう。
老後も、元気なうちはアルバイトやパートをして稼いでもよいでしょう。年金を受給しなくても生活ができるようであれば、繰り下げ受給も選択肢の1つです。受給を1ヶ月遅らせるたびに年金受給額が0.7%ずつ増え、最大84%の増額になります。
定年後は健康医療費と交際費が増えて、それ以外の費目は減る
定年後の生活費を現役時代と比べると、交通・通信や非消費支出を始めとした多くの費目で減少する傾向にありますが、食料と光熱・水道、保健医療、交際費は増加するようです。
老後は一般的に収入が減るため、現役時代から節約や貯金をして生活費を作っておきましょう。シニアになってからは、節約や投資、就労などで生活資金を確保できる可能性があります。定年後の生活費が気になる方は、こちらの内容を参考にしてください。
出典
e-Stat 政府統計の総合窓口 家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー