定年後は孫の世話をすることになりそうです。「フルタイム育児型」と「スポット支援型」によって月の支出はどう変わりますか?
配信日: 2025.06.04

そこで今回は、孫を育てるにあたってかかるお金を関わり方別に整理しました。支援制度についても紹介するため、少し手伝いたいけれど不安に感じている、という方は参考にしてみてください。

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孫の世話で増える主な支出とは?
孫と過ごす時間が増えると、日々の生活の中で少しずつ出費も増えていきます。特に目立つのが、食費や日用品、教育サポート、交通費、レジャー費、光熱費などです。
たとえば、食費ではおやつや食事の用意が増え、年齢によってはオムツやおしりふきといった消耗品も必要です。こうした細かい出費も重なると、家計にじわじわと影響します。
教育面では、学用品を買ったり、習い事を始める際に祖父母が援助するケースもあります。加えて、送迎や外出の際に、電車代や施設の入場料、軽食代などがかかることも少なくないでしょう。
さらに、日中を自宅で過ごす時間が増えると、冷暖房やテレビ、照明などの使用が増え、光熱費の負担も大きくなりやすいでしょう。
なお、総務省統計局が公表した「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均支出は月25万2818円です。孫育てが加わると、これに月1万~3万円ほど上乗せになることが想定されます。
関わり方別に見る支出の目安
孫育てのスタイルは家庭ごとに異なります。ここでは、代表的な2つの関わり方を見ていきましょう。
まず、「フルタイム育児型」は、平日の昼間に週5日ほど孫を預かるパターンです。この場合、日々の食費や光熱費が月1万~3万円ほど増えるほか、送迎や外出の際の交通費・レジャー費も月1万円程度かかることがあるでしょう。
さらに、学用品の購入や習い事の支援を考えると、年間で5万~10万円ほど見ておくと安心です。全体では年間40万~60万円ほどの支出になるケースが多く見られます。
一方、「スポット支援型」は、週に数回の送り迎えや食事の補助など、比較的負担の軽い関わり方です。支出は月5000円~1万円程度にとどまり、年間では10万~20万円前後が目安といえるでしょう。
急な預かりに備えて、あらかじめ日程に少し余裕を持たせておくと安心です。どこまで関わるか、費用をどう分け合うかについては、家族で早めに話し合っておくことが欠かせません。
子育て支援制度、祖父母にも役立つものは?
「祖父母向けの制度って少ないのでは?」と思われるかもしれませんが、間接的に役立つ支援はいくつかあります。
【児童手当や保育料の無償化】
これは基本的に親を対象とした制度ですが、家庭全体の負担が軽くなることで、祖父母にとっての助けにもなります。
【ファミリー・サポート・センター】
地域によって内容は異なりますが、送り迎えや一時預かりを頼めるサービスです。「今日はちょっと疲れた」「予定が重なった」ときに頼れる存在です。
【税制面での支援】
扶養控除や教育資金の一括贈与の非課税制度などがあります。まとまった援助を考える場合は、税理士に相談すると安心です。
制度をうまく使えば、負担を抑えられることもあります。「自分は関係ない」と決めつけず、一度チェックしてみるのがおすすめです。
お金以外に気をつけたいこと
孫と一緒に過ごすのは、とても楽しいものです。しかし、その分、気力や体力も必要です。無理なく関わるために、いくつか心がけておきたいことがあります。
まず、健康管理は欠かせません。元気なつもりでも疲れがたまりやすいため、軽い運動や栄養を意識した食事を心がけておきましょう。
また、家族と「どこまで手伝うか」「困ったときはどうするか」を事前に話し合っておくと安心です。
地域の育児サークルやシニア向けの活動に参加すれば、同じ立場の人と交流でき、気持ちの支えにもなります。「できることを、自分のペースで」。その意識が、無理のない関わり方につながっていくでしょう。
無理のない関わり方と備えが、孫育てを楽しむコツ
孫との日々は、何にも代えがたい幸せな時間という方もいるでしょう。しかし、日常のリズムが変わるのも事実です。最初から張り切りすぎず、無理のない距離感を見つけていくことが、孫育てを楽しむコツかもしれません。少しずつ、自分のペースで備えていきましょう。
出典
総務省 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要(19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー