70代の母が「賃貸に住み替えたい」と言っています。高齢者は部屋を借りにくいと聞きましたが、本当でしょうか?
配信日: 2025.06.03

しかし、「高齢者は賃貸を借りにくい」とよく耳にします。本当にそうなのでしょうか?
この記事では、70代以降の高齢者が賃貸物件を借りにくい理由と、実際に住み替えを実現するための方法をわかりやすく解説します。家族としてどうサポートできるのかも併せてご紹介します。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
高齢者が賃貸を借りにくいと言われる3つの理由
株式会社R65が実施した「65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題」に関する調査によると、65歳以上の4人に1人が賃貸住居の入居を断られています。高齢者が賃貸の入居を断られる3つの理由を紹介します。
1.「孤独死」などのリスクを懸念する大家が多い
高齢者の入居に対して大家(貸主)が慎重になるのは、もしもの事態への不安が大きいからです。特に一人暮らしの場合は以下のようなリスクが警戒されます。
●孤独死による物件価値の低下や発見遅れの懸念
●健康トラブルによるトラブルや事故
●介護や看取りなど長期的な対応の負担
こうした事態が現実に起きると、家主側が金銭的・精神的負担を背負うことになります。
2.収入や支払い能力への不安
高齢者の主な収入源が年金である場合、家賃の支払い能力に不安を感じる貸主も多く、実際に滞納がなくても「将来的に支払いが困難になるのでは」と判断され、入居審査で落とされるケースが報告されています。
3.保証人が見つからない問題
賃貸契約には通常、連帯保証人が求められますが、高齢者の場合、親族も高齢であったり、保証人を頼みにくい事情があるため、保証人を確保できないケースが多くなっています。
高齢者が部屋を借りるための現実的な解決策
では、高齢者は絶対に賃貸住居を借りられないのでしょうか。本項では高齢者でも入居できる部屋を探す解決策を紹介します。
1.「高齢者歓迎」や「見守り付き」の物件を探す
高齢者歓迎・相談可の賃貸物件は大手不動産サイトで条件を絞って探せますが、物件数はまだ多くありません。UR賃貸住宅は保証人不要で、年金受給者も収入や貯蓄などの基準を満たせば入居できます。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、見守りや生活支援が付いており、自立した生活を希望する高齢者に人気です。
2.家賃保証会社を活用する
保証人を立てにくい場合は、家賃保証会社(保証代行会社)の利用が有効です。初期費用(家賃の50〜100%程度)と年間更新料はかかりますが、貸主にとってはリスク回避となるため、契約が進みやすくなります。
3.家族との同居契約や契約者代理の活用
●子どもが契約者となり、親が「居住者」として住む方法
●家族が同居してサポートする形での入居
このような契約形態を取ることで、貸主に安心感を与えられ、入居のハードルが下がる場合があります。
4.事前に「生活体制」「健康状態」を伝える
不動産会社や貸主に、健康管理の方法や緊急連絡先、医療機関との関係などを丁寧に伝えると、信頼を得やすくなります。特に「何かあった時の連絡先」が明確であれば、孤独死のリスクも低減できると判断してもらえる可能性があります。
高齢者でも賃貸契約はできる。信頼と備えがカギ
「高齢者は部屋を借りにくい」は半分正解で、半分は誤解でもあります。確かにリスクはありますが、それを上回る安心材料を提示すれば、70代の方でも安心して住み替えは可能です。以下に要点をまとめました。
●高齢者歓迎の物件を探すことで選択肢は広がる
●保証会社や家族契約を活用すれば審査も通りやすい
●生活体制や緊急連絡先を丁寧に伝えることが信頼につながる
まずは「年齢を理由にあきらめないこと」が、住み替え成功の第一歩です。親御さんの希望をかなえるためにも、家族で一緒に情報を集め、安心できる住まいを見つけていきましょう。
出典
株式会社R65 65歳以上が賃貸住宅を借りにくい問題
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー