4月末で定年退職しました。退職後に高額な「税金の納付書」が届くと思うのですが、いつ頃、届くのでしょうか?
配信日: 2025.06.03

そこで本記事では、納付書が届く時期や納付方法、住民税の計算の仕組み、軽減措置の活用方法などについて解説します。

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住民税の納付書が届く時期と納付方法
退職後の住民税は、退職時期によって納付書の届くタイミングや支払い方法が異なります。
退職日が1~5月の場合、会社が退職月の給与や退職金から残りの住民税を一括徴収することが原則です。したがって、4月に退職した場合もその年の住民税(前年所得に基づく)は、会社が退職月の給与や退職金から一括徴収します。
一方、6~12月に退職した場合は、退職月までは会社が住民税を給与から天引きしますが、退職翌月以降は原則として普通徴収に切り替わり、退職後まもなく自治体から納付書が届きます。ただし、会社に希望することで、退職月~翌年5月分までの住民税を退職月の給料や退職金から一括徴収してもらうことも可能です。
もし6月中旬になっても納付書が届かない場合は、念のため市区町村の税務課に問い合わせましょう。住所変更があった場合などは、納付書が届かないことがあります。
住民税の計算方法と金額の目安
住民税がどのように計算されるのかを知っておくと、納付書の金額に納得しやすくなるでしょう。ここでは、基本的な仕組みとおおよその金額の目安について説明します。
住民税は、「所得割」と「均等割」の2つから構成されています。
・所得割
前年の所得に応じて課税され、税率はおおむね10%程度(市町村民税6%+都道府県民税4%)が標準ですが、自治体によって若干多少異なるがあります。
・均等割
所得に関係なく一律に課税される部分で、5000円(市町村民税4000円+都道府県民税1000円)が標準的です。
例えば、2024年の課税所得(控除後の金額)が300万円だった場合、所得割は約30万円(税額控除前)、均等割が5000円程度で、合計30万5000円ほどが課税されます。ただし、実際の住民税額は税額控除などにより多少前後します。
この金額を2025年6月から4回に分けて納付するのが一般的なパターンです。1回あたりの金額は約7万6000円となり、決して少なくありません。退職後にまとまった収入がない場合は、家計に与える影響も無視できないでしょう。
住民税の軽減措置と対策
退職後の生活設計において、住民税の支払いが大きな負担になることもあります。こうした場合、次のような対策を検討できます。
まず、「減免申請」が可能なケースです。収入が著しく減少した場合や、病気や災害など特別な事情がある場合には、住民税の一部または全額の減免を申請することが可能です。減免の基準や手続きは自治体ごとに異なるため、早めに税務課に相談しましょう。
次に、「納付猶予」の制度もあります。一時的に支払いが困難な場合、納付期限を延ばしてもらうことができます。猶予期間中に延滞金が発生する可能性もあるため、詳細は自治体に確認しましょう。
また、口座振替やクレジットカード納付を選べば、納付を忘れることはありません。特に定年後は、日々のスケジュールに余裕ができる反面、納付のタイミングを逃しがちです。自動で処理される仕組みを活用すると安心です。
退職後の住民税に備えるために
定年退職後であっても、前年の収入に対する住民税の支払い義務は変わりません。納付書は6月上旬から中旬に届き、通常は自分で支払う普通徴収へと切り替わります。高額に感じることもあるかもしれませんが、制度上やむを得ません。
だからこそ、事前に納付時期や金額の目安を把握し、資金の準備をしておくことが大切です。また、納付が難しい場合には、減免や猶予の制度もあるため、必要に応じて市区町村に相談しましょう。退職後の新しい生活を安心してスタートさせるためにも、税金の仕組みを理解し、早めの対策をとっておくことをおすすめします。
出典
総務省 個人住民税
中央区 住民税の申告から納付まで
大田区 特別区民税・都民税(住民税)の減免、森林環境税の免除について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー