来年定年を迎える私は「課長」でキャリアを終えそうです。どの「役職」で「定年退職」を迎える方が多いのでしょうか?
配信日: 2025.06.02

企業にとってメリットのある役職定年ですが、従業員はどの役職で定年退職を迎える方が多いのか、疑問に思う方もいるでしょう。
本記事では、役職定年制度を導入している企業の割合や、役職定年をする際に注意すべきポイントなどを解説します。

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
定年時の役職は企業や個人によって異なるものの「16.7パーセント」の企業が「役職定年制度」を導入している
人事院「民間企業の勤務条件制度(令和5年調査結果)」によると、「役職定年制がある」企業の割合は、規模計で16.7パーセント、企業規模が500人以上の企業で27.6パーセントとなっています。
また、役職定年年齢は部長級・課長級ともに55歳とする企業が多く、部長級は33.5パーセント、課長級は40.3パーセントという結果でした。役職定年の対象となる役職は、部長級と課長級が中心となっているようです。
このことから、一定数の従業員が部長や課長の役職のまま、定年を迎える可能性が高いと考えられるでしょう。
「役職定年」を迎えると年収水準は下がる恐れがある
人事院の「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」によると、課長級の役職定年後の年収水準は、役職定年前と比較して「下がる」と回答した企業の割合が82.5パーセントです。
そして、課長級の年収水準が下がるとする企業の年収水準は、「約75~99パーセント」(78.2パーセント)が最も多い結果となりました。なお、こちらのデータは平成20年のデータです。
また、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、課長職(企業規模10人以上)の年収は、824万3600円になります。役職定年によって年収が2割減ることを仮定すると、824万3600円×0.2=164万8720円年収が下がる恐れがあることが分かります。
つまり、役職定年を迎えると、年収水準は下がる恐れがあるといえるでしょう。
2025年4月より「65歳までの雇用確保」が完全義務化へ
2025年4月から、高年齢者雇用に関する法制度「65歳までの雇用確保」が完全義務化されます。定年年齢が65歳未満の企業は、以下の「高年齢雇用確保措置」のいずれかを実施しなければなりません。
1・65歳まで定年年齢を引き上げ
2・65歳までの継続雇用制度を導入
3・定年制の廃止
今までは、この法改正が施行された2013年時点で、条件によっては「対象者を限定とした状態でもよい」という措置がとられていました。しかし、この経過措置期間は2025年3月31日に終了し、2025年4月1日以降より今回の改正が適用されます。
この法改正において、企業側がシニア従業員の働く意欲をサポートするため、処遇改善や賃金制度を見直すことがポイントとなるでしょう。
まとめ
役職定年を迎える役職で多いのは、部長と課長といえるでしょう。一部の企業では「役職定年制度」を導入しており、そのなかでも多くの企業は役職定年年齢を55歳と定めています。
しかし、役職定年を迎えることで、年収水準が下がる恐れもあるため注意が必要です。実態調査によると、多くの企業で役職定年後の年収水準が下がると回答されました。
人生100年時代といわれている昨今では、長期的なキャリア形成を意識づけられるように、企業は役職定年後の従業員のモチベーションを維持できる環境を整えるとよいでしょう。
出典
人事院 民間企業の勤務条件制度(令和5年調査結果)
人事院 民間企業における役職定年制・役職任期制の実態
e-Stat 政府統計の総合窓口 令和6年賃金構造基本統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー