会社に「勤続30年」の役員がいます。かなりの額の「退職金」が出るのでは?と社内で噂に…。退職金の相場がいくらか知りたいです
配信日: 2024.09.17


執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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一般社員と役員の違い
一般社員と役員の退職金は、金額や計算方法に大きな違いがあります。一般社員の退職金は、勤続年数や最終給与額を基に一定の計算式で算出されるケースが一般的です。
一方、役員退職金は会社の経営に対する貢献度や業績に基づいて設定され、金額が非常に大きくなることがあります。税務上の扱いも異なり、適正な金額で支払わないと税務署から否認される可能性もあるため、役員退職金は専門家の助言を受けながら慎重に決定しなければならないようです。
役員退職金制度とは
役員退職金制度は、企業の役員が退職時に支給される特別な報酬制度です。この制度は役員として長年にわたり貢献したことに報いるためのものです。金額は役員の在任期間、企業への貢献度、業績などを考慮して決定されることが一般的なようです。
なお、役員退職金制度は、企業の長期的な戦略や業績に応じて見直されることがあります。業績が大幅に改善した場合や、経営戦略が変わった場合には、退職金額の見直しや新しい制度の導入が検討されることがあるでしょう。
役員退職金の計算方法
役員退職金は原則「退任時の報酬月額×役員罪人年数×功績倍率」で計算されるようです。功績倍率とは、役職ごとに定められた値を指しています。
功績倍率は法律で定められているものではありません。多くの企業では、昭和55年の裁判で用いられた「社長3.0・専務2.4・常務2.2・平取締役1.8・監査役1.6」を目安にしているようです。
例えば、社長・報酬月額100万円・在任年数30年・功績倍率3.0とすると、役員退職金は100万円×30年×3.0で9000万円となります。
ただし、実際の計算では、企業の規模や経営方針によって調整が行われる可能性があることに留意してください。
役員退職金の受取方法
役員退職金を受け取る方法は、次の3種類があります。
・一時金形式
・年金形式
・分割形式
一時金形式の場合は、一括で退職金を受け取ることができ、退職所得控除の対象となります。年金形式の場合は、退職金を年金として受け取るため、雑所得扱いとなり、課税対象になる点に注意が必要です。
分割形式は、高額な退職金を一括で支払えない企業で用いられ、いくつかの要件を満たしている場合に利用できる制度です。分割形式を選択した場合でも、一時金形式と同様に退職所得控除が受けられます。
役員退職金にも税金がかかる
役員退職金を一時金形式で受け取った場合には、所得税が発生します。所得税が課税されるものの、退職所得控除も適用されるため、計算する際には注意が必要です。
国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.1420退職金を受け取ったとき(退職所得)」を基に、勤続年数によって異なる退職所得控除額の計算方法をご紹介します。
・勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円
・勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
退職所得控除額を考慮した課税退職所得金額は、次のように計算します。
・(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×2分の1
なお、条件によっては上記計算式の2分の1の計算が適用されない場合もあるようなので注意が必要です。
役員の退職金は、一般社員よりも大きな金額になることが多く、計画的な準備が必要です。スムーズに手続きを進めるためにも、専門家に相談することをおすすめします。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1420退職金を受け取ったとき(退職所得)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー