更新日: 2024.10.05 定年・退職

60歳定年後、再雇用で「月給30万円」から「15万円」に減りました。そのうえ「高年齢雇用継続給付率」が15%から10%に改悪されるってほんとですか? 支給額はどれくらい減るのでしょうか?

60歳定年後、再雇用で「月給30万円」から「15万円」に減りました。そのうえ「高年齢雇用継続給付率」が15%から10%に改悪されるってほんとですか? 支給額はどれくらい減るのでしょうか?
定年退職後に再雇用制度などを利用して60歳以降も働く人は、60歳前の給料よりも低下することが多いのではないでしょうか。60歳以降の給料が60歳時点の給料よりも75%未満に減額するなどの要件を満たせば、雇用保険から高年齢雇用継続基本給付金を受けることができます。
 
高年齢雇用継続給付金制度は、2030年4月以降は廃止が予定されており、2025年4月から段階的に給付率が最大15%から10%に引き下げられます。本記事では高年齢雇用継続基本給付金の概要と改正内容、給付率が15%から10%に引き下げられる影響について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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60歳から65歳に達するまで利用できる高年齢雇用継続給付とは?

高年齢雇用継続基本給付金は、基本手当や再就職手当を受け取っていない60歳以降の人で、次の条件を全て満たした場合に支給されます。

●雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある
●60歳以上65歳未満の一般被保険者
●60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満

高年齢雇用継続基本給付金は60~65歳の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合に、各月の賃金の15%相当額が支給されます。
 
また、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて、各月の賃金の15%相当額未満の額が支給されます。ただし、各月の賃金が37万6750円を超える場合には支給されません。
 
高年齢雇用継続基本給付金が支給される期間は、被保険者が60歳に達した月から65歳に達する月までです。なお、60歳時点において、雇用保険に加入していた期間が5年未満の場合は、雇用保険加入期間が5年以上となった月から支給対象となります。
 

2025年4月からの改正内容とは?

2025年4月1日以降に60歳に達した日(その時点で雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ない人は、加入期間が5年以上となった日)を迎えた人については、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の64%以下に低下した場合の支給額が、これまでの15%から各月に支払われた賃金の10%相当額に引き下げられます。
 
あわせて60歳時点の賃金が64%超75%未満に低下した場合の支給額は、その低下率に応じて、各月に支払われた賃金の10%相当額未満の額となります。
 
ただし、給付率が現行の最大15%から最大10%に引き下げられるのは、2025年4月1日以降に60歳に達する人ですから、現在受給中の人や、2024年度中に高年齢雇用継続給付金の支給を開始する人の支給率は変わりません。
 

実際にもらえる金額はどのくらい減る?

60歳時点の月給が30万円、60歳以降は月給15万円に低下したケースを例に比較してみます。前提として60歳以降の賃金が50%になっていますので、最大の給付率(15%)で高年齢雇用継続基本給付金を受けることができます。給付金の月額は次の通りです。

●現行制度:15万円の15%である2万2500円(5年間で最大135万円)
●改正後:15万円の10%である1万5000円(5年間で最大90万円)

このように2025年4月1日以降に60歳に達する人は、仮に同じ給与条件だったとしても高年齢雇用継続基本給付金の支給額は毎月7500円、5年間で最大45万円の減額となります。
 
ちなみに月給40万円から20万円に減額した人の場合、給付金は毎月3万円から2万円に減額となり、5年間で最大60万円の減額となります。
 

まとめ

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されます。2025年4月以降に60歳に達した人は、給付率が現行の最大15%から最大10%に減少するので、減少分は生活費の見直しや副業、資産運用で補うことを検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 ハローワークインターネットサービス 雇用継続給付
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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