更新日: 2024.10.06 介護
「介護離職」を選んだ「45歳」の同僚。私の親も高齢なので、他人事だとは思えません。一般的に「介護資金」はどのくらいかかるものでしょうか?また、介護離職をする人はどれだけいますか?
今回は、介護にかかる一般的な費用や介護離職の実態、そして介護と仕事を両立するための支援制度について紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
一般的な介護資金の目安
介護費用は家庭に大きな負担をもたらす可能性があります。生命保険文化センターが実施した調査によれば、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時的な費用を含めた介護費用の平均は約74万円、月々の費用は平均8.3万円です。
介護の場所によって費用が異なり、在宅介護では月額平均4.8万円、施設介護では12.2万円と、施設介護の方が約2.5倍の費用がかかります。
さらに、介護期間の平均は5年1ヶ月で、約半数が4年以上介護を続けているそうです。先述の通り、介護には長期間と大きな費用負担が伴うことがわかります。
介護離職を選ぶ人の現状
介護離職は、働きながら介護を続けることが難しいと感じた人が選択する最終手段の1つです。
厚生労働省の「雇用動向調査」によると、2022年には約7.3万人が介護や看護を理由に離職しています。全体の離職者数約765.7万人のうち、個人的な理由で離職した人は約563.0万人で、その中で介護・看護が理由となった離職者の割合は約1.3%に過ぎませんが、数字は年々増加傾向にあります。
特に注目すべきは、介護離職者の中で女性の割合が高いことです。同データでは、介護・看護を理由に離職した女性は約4.7万人で、男性の約2.6万人を大きく上回っています。この傾向は、家庭内での介護の負担が女性に偏りがちであることを反映しています。
また、介護離職者の中で最も多い年代は55歳~59歳で、男性4.40%、女性7.52%がこの年代に該当します。これは、親の介護が必要となる時期と、自身の退職やキャリアの終盤が重なることが要因と考えられます。
さらに、40歳代でも介護離職の割合が増加しており、特に45歳~49歳では男性0.58%、女性1.47%が介護離職を選んでいます。こうしたデータからも、介護と仕事の両立が難しく、多くの人が仕事を辞めざるを得ない状況に追い込まれていることがわかります。
介護離職を防ぐための支援制度
介護離職を避けるためには、利用できる支援制度を活用することが重要です。まず、育児・介護休業法に基づく「介護休業制度」があります。
これは、要介護状態の家族を介護する必要がある場合に、最大93日間の休業が可能となる制度です。この時期は、介護のために体制を整える時間として活用でき、仕事と介護を両立するための準備期間と考えられます。
さらに、「介護休業給付金」も利用可能です。介護休業を取得した場合、休業前の給与の67%が支給されます。ただし、介護休業中に給与が支払われた場合は、その額に応じて給付金が減額されることがあります。また、介護休業給付金には上限額が設定されており、一定の収入以上の人は給付金の金額に制限があることに注意が必要です。
その他にも、介護休暇制度や勤務時間の短縮措置、フレックスタイム制など、介護と仕事の両立を支援するための制度が整備されています。
例えば、介護休暇制度では、要介護状態にある家族が1人の場合は年間5日、2人以上の場合は年間10日まで休暇を取得することができます。また、勤務時間の短縮やフレックスタイム制を活用することで、介護の時間を確保しやすくなります。
これらの制度を上手に活用することで、介護と仕事のバランスを取りながら、介護離職を避けることが可能です。また、地域包括支援センターやケアマネジャーと相談し、個別の状況に応じたサポートを受けることも有効です。
介護離職を避けるために事前に情報を集めて早めに準備しておこう
介護は誰にとっても大きな課題であり、特に介護離職を避けるためには、支援制度の活用が重要です。介護に直面した際には、一人で抱え込まずに、地域の支援機関や制度を活用することで、経済的・精神的な負担を軽減することができます。事前に情報を収集し、早めに準備しておくことで、介護と仕事の両方を目指しましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 月々の介護費用は平均8.3万円
公益財団法人生命保険文化センター 介護離職者はどれくらい?介護離職をしないための支援制度は?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー