更新日: 2024.09.25 その他老後
「40代」でも賃貸の入居を断られることがあると聞いてビックリしています。年齢を重ねると家が借りにくくなるのでしょうか?
今回は、高齢者が賃貸する場合の注意点等をお話しします。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
特定行政書士、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士相談センターの相談員として、相続等の相談業務や会社設立、許認可申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
日本国内のおけるおひとりさまの現状は
内閣府の高齢社会白書によると、65歳以上の方の住居形態を見ると、持ち家(一戸建て・集合住宅)の割合が84.5%で、賃貸住宅の割合は12.8%となっています。
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なぜ年齢を重ねると家が借りにくくなるの? 実際家が借りにくくなるのは何歳からなの? 高齢者が賃貸物件を借りやすくなる方法はあるの?
その前に、高齢者の場合家を「借りられない」のではなく、「借りるのが難しくなる」というのが実際のところですので注意しましょう。
民間のアパートの場合、賃貸人はもちろんビジネスとして家を貸しています。よって、ビジネスとして貸すことを躊躇するような要件に当てはまってしまうと借りにくくなります。
上記の白書によると、高齢者の入居に関する賃貸人の意識を見ると、「拒否感はあるものの従前より弱くなっている」が44%、「従前と変わらず拒否感が強い」が16%、「従前より拒否感が強くなっている」が6%となっており、3分の2が拒否感を持っているという結果になっています。
具体的に借りにくいとされる理由は、以下のようなものが挙げられます。
1.低収入・年金のみの収入の方
高齢者の場合、収入が年金だけの方も多いと思われます。一般的に、賃貸物件を借りる際には収入で入居審査をします。つまり賃貸人からすると、年金だけの収入での生活は大丈夫か、家賃が払えるのかといった心配が出てくるので、貸すことを躊躇するポイントとなります。
よって、もし預貯金等の資産が十分ある場合は、貯蓄等のわかる書類を提出すると審査に有利になる場合があるかもしれませんので、用意するのも良いかもしれません。
2.一人暮らしの方
高齢者の一人暮らしは、入居時に健康であっても、若い人に比べ突然体調を崩したり、病気になったりする可能性が高くなります。
万が一家の中で倒れた場合、配偶者など他の同居人がいればそのような事態でも対応できますが、一人暮らしの場合はそうはいきません。たとえ健康であっても急に病気などになると、室内で死亡してしまう場合も考えられます。
ご存じのように、室内で死亡すると事故物件になってしまうため、賃貸人は入居させることに慎重になってしまいます。よって、どうしても一人暮らしをするのであれば、近所に親類等が住んでいて定期的に安否確認をしてくれることを伝えておくと良いかもしれません。
そのような方がいない場合は、病気や既往症がない、病気になったときは老人ホーム等へ住み替える等の計画があることを伝えることです。
また近年では、警備や配食のサービス事業者等が定期的に自宅を訪問する安否確認サービス、電気ポット等の使用状況が一定期間ないと離れて暮らす親族へ情報が届く家電、見守りカメラ等のサービスがあります。もしもの際に備え、こうしたサービスを利用しておくことは、高齢者が安全かつ健康的な一人暮らしに有効でしょう。
3.連帯保証人がいない方
一般的に、賃貸物件を借りる際には家賃の滞納を防ぐため連帯保証人が必要となり、その多くは家族や知人が連帯保証人となります。しかし高齢者の場合、親族や知人を連帯保証人にしようとしても、連帯保証人の資格を満たしてない等の理由で見つからないケースが見受けられます。その場合はどうしても賃貸物件を借りにくくなります。
もちろん、保証人不要の物件もありますが、そのような物件は当然希望者も多くなるので、すぐに入居できるとは限りません。どうしても連帯保証人が立てられない場合には、「家賃保証会社」の利用で審査が通る場合もありますので、可能かどうかを確認するのも良いかもしれません。
上記の条件からすると、おおよそ高齢者と呼ばれる65歳くらいから借りにくくなると推測されます。ただし、給与所得があったり、同居人がいたりする場合はこの限りではありませんし、賃貸人しだいですので、この年齢になったらすぐにダメということではありませんし、65歳以下でも借りにくくなる場合も当然あります。
一人暮らし以外の選択肢も考えるようにしましょう
一人暮らしは寂しいと思う反面、気楽な面もありますね。ただ、いざ賃貸物件を借りようとなると上記のような問題が出てくるのも事実です。そのような場合は、確実に住める老人ホーム等を選択肢に入れておけばいざという時に慌てないでしょう。
出典
内閣府 令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)
国土交通省 住宅・建築
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表