更新日: 2024.09.05 定年・退職

「退職金」を“分割”で受け取るという友人。“一括”でもらったほうがお得ではないのですか?

「退職金」を“分割”で受け取るという友人。“一括”でもらったほうがお得ではないのですか?
退職金制度のある企業に勤めている方は、勤続年月に応じて退職時にまとまったお金を受け取れると期待できます。
 
しかし退職金は退職時にまとめて受け取るだけでなく、年金のように分割で受け取る方法もあります。そこで、どの方法で受け取るとお得になるのか疑問に思う方もいるでしょう。
 
今回は、退職金の支給状況や受け取り方法の違いについて調べてみました。退職金は貴重な老後資金の一つですから参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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退職金の受け取り方や支給状況

厚生労働省の「令和5(2023)年就労条件総合調査の概況」によると、退職金制度のある企業は74.9%です。
 
退職金制度には、退職時に一括で受け取る「退職一時金制度」と、年金として分割で受け取る「退職年金制度」があります。企業によっては両者を併用することも可能です。企業規模別に退職金制度の形態の割合をまとめると表1の通りです。
 
表1

企業規模 退職一時金制度のみ 退職年金制度のみ 両制度併用
1000人以上 25.9% 27.0% 47.1%
300~999人 41.9% 17.9% 40.2%
100~299人 60.3% 13.2% 26.5%
30~99人 77.2% 6.6% 16.2%
69.0% 9.6% 21.4%

出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」を基に筆者作成
 
退職金制度の形態別に一人あたりの支給額をまとめると表2の通りです。
 
表2

退職金制度の形態 大学・大学院卒業
(管理・事務・技術職)
高校卒業
(管理・事務・技術職)
高校卒業(現業職)
退職一時金制度のみ 1623万円 1378万円 956万円
退職年金制度のみ 1801万円 1613万円 1451万円
両制度併用 2261万円 2145万円 1469万円

出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」を基に筆者作成
 

退職金を分割で受け取る友人……。一括で受け取るのとどっちがお得?

退職年金として分割で受け取る人もいますが、中には一括で受け取るほうがお得ではないかと考える人もいるようです。しかしどちらにもメリット・デメリットがあり、どちらがお得かは一概にはいえません。
 
例えば退職金を一括で受け取るメリットは、税負担が軽くなることです。退職金を一括で受け取ると退職所得となり、税制上の優遇が受けられます。国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)No.1420退職金を受け取ったとき(退職所得)」を基に、退職所得の計算式をご紹介します。
 
・(収入金額[源泉徴収される前の金額]-退職所得控除額)×2分の1
 
退職所得控除額は以下のように計算します。
 
・勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)
・勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 
上記のように、勤続年数が長いほど退職所得控除額が増える仕組みになっていて、一時金でできるだけ退職金を受け取ると税負担が軽減されることが一般的です。
 
一方で、退職年金として分割で受け取ることにメリットを感じる人もいます。受け取っていない退職金を金融機関が運用するため、長期での受け取りを選ぶと運用益が上乗せされて受取総額が増えることが期待できるからです。
 
ただし分割して受け取る退職年金は雑所得として計上されるため、公的年金や仕事を続ける場合はその収入と合わせると合計所得が増えて、税金・社会保険料が負担になる可能性があります。
 
企業によっては両制度を併用できる場合もあるので、定年後に仕事を続けるか否かなど、老後生活の計画に応じて受け取り方を選ぶといいでしょう。
 

退職金の受け取り方はどちらがお得かは一概にはいえない! 定年後のライフスタイルに応じて選ぶのもあり

退職金には一括で受け取る退職一時金と、分割で受け取る退職年金の2つの制度があり、企業によっては両制度を併用できる場合もあります。退職金の受け取り方にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どの方法がお得であるかは一概にいえません。
 
例えば一括で受け取ると退職所得となって、一時金でできるだけ退職金を受け取ると税負担が軽減されるメリットがあります。一方で分割で受け取る場合も、受け取っていない退職金は運用益が上乗せされて、受取総額が増える可能性があります。
 
退職金を分割で受け取る場合は、定年後に仕事を続けるか否かなども税金や保険料に影響を与えるので、老後のライフスタイルなどに応じて自身に最適な退職金の受け取り方を選ぶといいでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査の概況(12、18ページ)
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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