更新日: 2019.07.04 セカンドライフ

人生100年時代、老後の生活資金はどうする? 自宅を担保に資金を借りられる「リバースモーゲージ」って何?

人生100年時代、老後の生活資金はどうする? 自宅を担保に資金を借りられる「リバースモーゲージ」って何?
人生100年時代と言われる昨今、老後の生活資金をどうするかという問題がクローズアップされています。
 
年金だけでは不足しがちな生活資金を補う手段として、「リバースモーゲージ」に関心を持つ人も増えてきました。
 
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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リバースモーゲージとは

リバースモーゲージとは、一般に自宅を担保に自治体や金融機関などから融資を受け、原則として死亡時(契約終了時)にその担保不動産を売却することにより、借入額を一括返済する融資制度です。
 
自宅に住み続けながら、老後の生活資金やリフォーム費用などを借りられる点が特徴となっています。
 
住宅ローンとは異なり、通常、生存中は利息分だけの返済となり、元本の返済はありません。最近は、あらかじめ設定した利用可能額に達するまでは、利息部分が貸越元金に組み入れられ、生存中は返済しなくてもよいプランもあります。
 

リバースモーゲージの利用に必要な推定相続人の同意

リバースモーゲージは一定の資産価値がある持家に住んでいるものの、年金などの収入や他の資産が少なく、貯蓄を取り崩しながら生活している高齢者にとってありがたい制度です。自宅不動産を売らずに、有効活用することができます。
 
ただし、死亡後の事務処理の問題があるため、多くの場合、利用する際には推定相続人全員の承諾を得なくてはなりません。「自宅不動産を相続するつもりだったのに、知らないうちに担保にされていた」といったトラブルの要因となることがあるため、事前に確認をしているようです。推定相続人の中から、連帯保証人を1人設定するところもあります。
 
なお、リバースモーゲージの契約者が死亡した場合、配偶者がその契約を引き継いで自宅に住み続けることができるタイプのものもあります。
 

国が支援するリバースモーゲージ制度

同じリバースモーゲージでも、自治体と金融機関では総じて利用者の資産や所得の状況、利用目的などが異なります。
 
国が支援するリバースモーゲージ制度とは、厚生労働省が定めた「生活福祉資金貸付制度」による貸付制度の1つ、「不動産担保型生活資金貸付制度」と呼ばれるものです。その運営は、各都道府県の社会福祉協議会が行っています。
 
この制度には、世帯の構成員が65歳以上の低所得者世帯向けの「不動産担保型生活資金」と、生活保護受給世帯向けの「要保護者向け不動産担保型生活資金」の2種類があります。
 
貸付限度額は、「不動産担保型生活資金」では土地の評価額の70%程度で月額30万円以内。「要保護者向け不動産担保型生活資金」では土地の評価額の70%(マンションは50%)程度で、1ヶ月あたり生活扶助基準額の1.5倍以内とされています。貸付期間はどちらも借受人の死亡時までの期間、または貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間となっています。
 
また、「不動産担保型生活資金」の貸付対象となる物件は、自治体によって異なります。東京都の場合は、不動産に賃借権などの利用権、および抵当権などの担保権が設定されていない土地の評価額が、おおむね1500万円以上の一戸建て住宅(マンションなどの集合住宅は不可)とされています。
 

金融機関が取り扱うリバースモーゲージ制度

金融機関が取り扱っているリバースモーゲージ制度は、「不動産担保型生活資金貸付制度」と異なり、貸付対象となる物件の担保評価額が高く、中・高所得者向けのものが多くなっています。
 
最近は制度が多様化しており、対象物件も一戸建てに限らず、マンションでも利用できるプランが増えてきています。
 
融資のタイプは、金融機関によって異なります。自宅等不動産を担保に一定の枠を設定し、その枠内であれば随時融資を受けられるものや、カードローンと組み合わせて融資を受けられるタイプなどがあります。
 
資金使途は日常生活費だけでなく、持家のリフォームや老人ホ-ムへ入居する際の入居一時金などの資金として利用できるものもあります。ただし、一般に事業資金や金融商品の購入資金に充てることはできません。
 
リバースモーゲージの契約条件は金融機関によってさまざまで、所得要件や保証人の有無、契約時の年齢などが金融機関ごとに定められています。
また、対象となる地域は首都圏・近畿圏など大都市圏としている金融機関が多く、地方銀行や信用金庫など地域金融機関ではさらに営業区域内に限定しているところもあります。
 
自宅不動産は個別性が強いため、取扱い金融機関のホームページに記載されている概要だけでは判断しにくいものもあります。利用を検討する際は、実際に問い合わせをして内容を確認することが大切です。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部
 
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