更新日: 2019.01.10 セカンドライフ

年齢やライフステージで変わる「資産に対するスタンス」 マイホームを活用した老後資金調達策

執筆者 : 上野慎一

年齢やライフステージで変わる「資産に対するスタンス」 マイホームを活用した老後資金調達策
世の中は「人生100年時代」といわれる長寿高齢社会をむかえようとしています。
 
長生きすれば、それだけおカネも多く必要となるもの。そのための資産づくりや資産の運用・活用などが、これまで以上に重要なテーマになっているように思えます。
 
上野慎一

Text:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

資産に対するスタンスは、年齢やライフステージで変わる

こうした資産に対するスタンスは(もちろん個人差はありますが)年齢やライフステージによって変わっていきます。よくいわれる流れは次のとおりです。
 
【現役期前半:時間を味方にしてリスクも取りながら長期的に資産形成する】
 
【現役期後半:安全性に軸足を移しながら着実に資産運用する】
   
【リタイア期:資産を運用しながら使う(やがて資産残高が減っていく)】
 
このように形成した資産の中で、おそらく時間もおカネも一番かけたものが「マイホーム」であり、これを活用して老後資金を調達する手段として最近よく見聞きするのが「リバースモーゲージ」です。
 

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「リバースモーゲージ」とは?

「リバースモーゲージ」とは、マイホーム(主として戸建)の不動産を担保にして融資を受け、死亡時など契約終了後に、その担保不動産を売却して元本(ならびに未払利息)を完済する制度です。ここ数年で取り扱う金融機関なども、急速に増えているようです。
 
長年住み慣れたマイホームに住み続けたまま、老後資金の融資を受けられることが特長で、通常の住宅ローンでは借入残高はだんだん返済されて減るのに対して、借入残高がだんだん増える仕組みです。「リバース」は「逆」、モーゲージは「抵当」を意味します。
 
そのほかによくいわれるメリット・デメリットは、次のとおりです。
 

<メリット>

・毎月の返済を心配せず、生活費やゆとりある生活のための資金などの現金を手に入れることができる(タイプによっては利息分の支払いが必要)。
 

<デメリット>

・あくまでも担保価値の範囲内で借り入れを増やしていく仕組みなので、[金利上昇]や[不動産市況下落]や[長生き]のリスクによって、存命中に融資限度額に到達したり、担保不足のため融資の一部返済が必要になったりする場合がある。
 
・マイホームは最終的には売却処分されるので、家族から事前に充分な理解や合意を得る必要がある。
 

「リースバック」という選択肢もありますが……

マイホームに住み続けられる点では同様の、老後資金調達手段として「リースバック」があります。
 
「セール&リースバック」といって、企業が自社ビルなどの不動産をいったん外部に売却したうえで、リース物件として家賃を払ってそのまま利用を続けられる仕組みがあります。目的は、資金調達や財務体質強化など。その個人版のような手法です。
 
リースバックにも、マイホームに住み続けられるメリット以外に次のような点が指摘されています。
 

<メリット>

・生活費やゆとりある生活のための資金などの現金を、一括で先に手に入れることができ、売却後は固定資産税がかからない。
・条件次第で将来の買い戻しができる可能性もある。
 

<デメリット>

・取り扱う業者との相対取引のため、高価な売却は期待できない。
・売却後は家賃の支払いが必要となり、将来の家賃水準も不透明。
・[不動産市況上昇]や[長生き]のリスクによって、売却資金を含む手持ち資金が不足したり尽きたりして、家賃が払えなくなった場合には、立ち退かなければならない。
 

選択肢は必ずしも二者択一ではありません(まとめ)

マイホームを活用した2つの老後資金調達手段。どちらも金利・不動産市況・長生きなどのリスク要因が絡み合っている様子がうかがえます。そして、「いつ売却処分するのか」の時間軸において両極端に位置しているのです。
 
しかし、いずれかの二者択一でなければならないのでしょうか。
 
長年住んで愛着があるとしても、マイホームに老後も住み続ける必要性を、一度見直してみることも有用だと思われます。
 
今のマイホームから転居することを視野に入れれば、例えば次のような選択肢もあり得るのです。
 
◇マイホームを売却して、今よりも安価でコンパクトな住宅に買い替え。差額の手残り資金を老後のために利活用する。
◇マイホームを売却して、(今後は所有にこだわらずに)賃貸住宅に住み替え。売却資金は長期の家賃や老後のために利活用する。
 
家族構成やライフスタイルの変化に伴って、マイホームを住み替えることは、ごく一般的なことです。リタイア期のステージにおいても、それは否定されるものではありません。
 
人生において、時間もおカネも一番かけて手に入れた「マイホーム」という大切な資産。「ずっと住み続ける」以外の視点で見直してみると、その活かし方にはさまざまな選択肢が用意されていると思います。
 
Text:上野 慎一(うえのしんいち)
AFP認定者,宅地建物取引士