65歳から100歳までの35年 この時間とどう向き合っていけばいいのか分からない人の間で定年本が大流行!?
配信日: 2018.09.06 更新日: 2019.01.11
それでも、人生100年から引算すると35年。この時間とどう向き合うのか、「定年」や「老後準備」をキーワードにした指南書が流行っているようです。
Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
指南書に求めるのは「生きがい」?
「悠々自適の老後」~仕事をリタイアしたら、夫婦で旅行に出掛け、ゆったり趣味のことをして過ごす~ このような暮らしを思い描く時代もありました。急に寿命が長くなったわけではありませんが、65歳以降のセカンドステージは意外と長いことに皆が気づき始めています。しかし、彼らに比べ年金の少ない世代は、お金の心配も切実です。
老後を安心して暮らす3本柱は「健康」「お金」「生きがい」です。
「健康」「お金」に比べてイメージしにくいのが「生きがい」ではないでしょうか。夢中になれる趣味やボランティア・地域貢献を見つけましょう、といわれても、会社一筋の仕事人間だった人にとっては難しいと思います。そこで指南書にアドバイスを求める人が多いのでは、と考えます。
服飾デザイナーNさんの場合
Nさん(58歳男性)は、以前は広告代理店に勤める会社員でした。2年前に早期退職し、「自分の手で洋服を作りたい」という夢を叶えるために、服飾専門学校に通い始めました。若者と共に学ぶことは体力的に辛いことも多い、と言いながらも、とても充実している様子でした。
今春、無事に卒業し、いよいよ本格的に制作活動を始めたそうです。そんな中、久しぶりに会った彼から「近々引っ越しをする」という話を聞きました。
引越し先は淡路島です。友人がいるそうですが、彼にとっては未知の場所。思い切ったな~という感想を持ちました。理由を尋ねると、元々東京から離れるつもりであったこと。移住するのなら、東京や大阪のような都会ではない場所を考えていたこと。出身が大阪なので、関西圏を希望していたこと、プラスもろもろのご縁が繋がったようでした。
東京から離れることについては、(1) のんびりした環境でモノ作りをしたかった (2) 東京は物価が高いことが理由だそうです。これまでと違った生き方をするためには、環境を変えることも大事なのかもしれません。
人生100年を考える中で、指南書にはいろいろなエッセンスが書かれています。
(1) 長い人生の中で学生時代にインプット知識等では足りなくなってくるので、新たなインプット作業~学び直しが必要
(2) 自分のやりたいこと、生きがいを見つける。それが仕事に繋がれば、なお良し。
(3) 収支のバランスを考える。
といったことが一例です。Nさんの場合は、まさしく好事例だと言えます。
(1) 服飾専門学校で学び直し
(2) 好きなことを仕事にして再スタート
(3) 地方移住
Nさんのような行動力はないし、自分には参考にならない。そう考える人も多いと思います。実は、彼は私の同級生です。友達のことと考えると、この事例もグッと身近になりませんか。
指南書を参考にしつつ近くにいる人のノウハウを取り入れると、老後準備も敷居が低くなりそうです。夏休みは同級生に会う機会の多い時期です。近況報告とともに将来の相談もしてみてはいかがでしょう。
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
相続診断士