老後資金が足りないことが判明。どう対処する? 前編「支出を減らす」
配信日: 2017.04.25 更新日: 2019.08.07
執筆者:福島えみ子(ふくしま えみこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。
取る手段は究極には3つしかない
結論から言ってしまうと、老後資金が足りなければ、取れる手段は結局のところ以下の3つしかありません。
① 入ってくるお金を増やす
② 出ていくお金を減らして貯蓄する
③ 運用して少しでも増やす
「この中で一番実行できそうなものは?」と聞かれると、②の「出ていくお金を減らす」つまり支出を抑える手段と答える人が多いのではないでしょうか。たしかに、支出を減らすことはやる気になればその日からでも実行できる方法です。
ところが、この「出ていくお金を減らす」がスムーズにいく人ばかりではありません。リタイアが近い世代になってから、これまでの生活レベルを落とすのは意外に簡単ではないからです。数か月はがんばって日々節約を心掛けていても“たまの贅沢”が続いてしまって結局元通りになったり、旅行に出かけて普段の節約を忘れて出費がかさんでしまい、そこからペースが崩れて元の生活になったり…というのもよくあるパターンです。
また、先々の出費の見通しについて、甘く見積もっている人も見かけます。例えば、「持ち家だから老後資金は最小限で何とかなる」とおっしゃることもあるのですが、固定資産税は考えていても修繕費をほぼ見積もっていなかったり、病気や介護にかかるお金を考慮していなかったり。こうした人の場合、いざ病気や介護で大きな出費があると、家計がすぐにピンチに陥ってしまいがちです。
リタイア生活に入る前準備が大切
では、どうすればいいのでしょうか?漫然と節約するのではなく、(1)「具体的な数字目標を掲げて」(2)「ムダをなくし」(3)「ムリのない続く支出削減」をすることが大切です。単に節約節約と唱えて切り詰めるのでは続きません。まずは老後に必要な資金をしっかり見積もったうえで、ではどれくらいの生活費でやりくりすればなんとかやっていけるのか?という現実的な”数字”を把握することが必須です。
そして、それに合わせた生活レベルに現役時代のうちから少しずつ身体を慣らしておくことが大切です。この生活レベルを抑える作業を厳しい、苦しいと感じるかもしれませんが、体力や気力が今よりも減少しているに違いない老後になってから急にこの作業をするよりも負担は軽いはずです。
また、この過程で、家計のムダも一掃しておきたいところです。例えば1年に数回しか見ないケーブルテレビの契約やプランを見直したことのない携帯料金などです。ほかには、都心生活でのマイカーなどのように、あると便利だけれど無くてもカーシェアやレンタカーなどの他の手段で代替できるものも思い切って整理する勇気も大切です。
引き続き後編では、さらに効果が期待できる「①入ってくるお金を増やす」「③運用して少しでも増やす」について詳しくお伝えします。