定年後の「再雇用」で給与が30%以上ダウン。「給付金」を受け取れる場合があるって本当?
配信日: 2023.04.27

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大幅な給与ダウンは雇用保険で補ってもらえる
雇用保険では、定年退職後の再雇用・再就職で定年前より給与金額が大幅に低下した場合に、低下した収入を補う「高年齢雇用継続給付」という給付制度が設けられています。この制度は60歳以上65歳未満の人が対象で「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。
給付金を受け取れる条件は?
高齢者雇用継続基本給付金は、定年後(60歳以後)の賃金が、定年時(60歳時点)の75%未満に下がる場合に「再雇用後の給与金額の最大15%」を60歳から65歳まで最大5年間受け取れます。基本給付金をもらえる条件は、以下の2つです。
(1)雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)が5年以上
(2)再雇用などで、給料が60歳時点の75%未満にダウンしていること
高年齢再就職給付金は、定年退職後に失業手当(基本手当)を受給し、再就職したけれども賃金が低下した人への給付です。給付金額は65歳に達する月まで再雇用後の給与金額の最大15%を受け取れ、以下の3つの条件をクリアしている必要があります。
(1)雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)が5年以上
(2)基本手当の支給残日数が100日以上ある(100日以上で1年間、200日以上で2年間受給できます)
(3)再就職で、給与が基本手当の元となった賃金(定年退職時点の賃金)の75%未満にダウンしていること
上記と合わせて、再就職手当をもらっていないことも要件であり、再就職手当をもらった場合には高年齢再就職給付金は受給できないので注意が必要です。
どのくらい支給されるの?
高年齢雇用継続給付(雇用継続基本給付金・再就職給付金)が支給される金額は、60歳到達時点の賃金を100%として、60歳以後(再就職後)の各月の賃金の割合によって支給額が決まります。賃金額の低下率に応じた支給率の目安は次のとおりです。
(1)61%未満の場合・・60歳以後(再就職後)の賃金×15%
(2)61%以上75%未満の場合・・60歳以後の賃金×0%以上~15%
(3)75%以上の場合・・支給されません
令和4年8月1日~令和5年7月31日での支給基準金額は、3つの注意点があります。
A:(賃金+支給額)が36万4595円を超える場合・・(36万4595円-賃金)が支給額となります。
B:計算された支給額が2125円を超えない場合・・支給されません。
C:60歳到達時の賃金(賃金日額×30日)が47万8500円を超えると、47万8500円を上限として支給額が計算されます
概算金額を表にまとめると、図表1のとおりです。
図表1
60歳到達時賃金(賃金日額×30日分) | |||||
---|---|---|---|---|---|
再雇用後の賃金 | 47万8500円 (上限額) |
40万円 | 30万円 | 20万円 | 15万円 |
30万円 | 3万8640円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
25万円 | 3万7500円 | 3万2675円 | 0円 | 0円 | 0円 |
20万円 | 3万円 | 3万円 | 1万6340円 | 0円 | 0円 |
15万円 | 2万2500円 | 2万2500円 | 2万2500円 | 0円 | 0円 |
10万円 | 1万5000円 | 1万5000円 | 1万5000円 | 1万5000円 | 8170円 |
筆者作成
まとめ
高年齢雇用継続給付は、基本的に会社がハローワークに申請手続きを行います。定年時の給与明細と再雇用時の給与明細を比較して、給付金支給の対象になっているか確認しましょう。
出典
厚生労働省 Q&A 高年齢雇用継続給付
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー