65歳未満で「定年退職」するなら、年金よりも「失業給付」を受け取ったほうがお得?
配信日: 2023.04.26
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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まずは、予定年金額と失業給付(基本手当)額を調べよう
65歳未満の人に支給される特別支給の老齢厚生年金は、雇用保険から失業給付を受けている間は一緒に受給できません。まずは、年金見込み額と失業給付の金額を比べてみましょう。年金の受給額は、「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」で確認することができます。
雇用保険の失業給付(基本手当)は、失業している日数(1日単位)で支給されるもので、退職する直前6ヶ月間の給与金額をもとに1日あたりの金額が決まります。
基本手当の計算方法について
基本手当は、1日あたりの金額(基本手当日額)が、定められた日数分(所定給付日数)で支払われる仕組みです。
基本手当日額は、在職時の1日あたりの賃金額(ボーナスを除く、退職前6ヶ月の給与÷180日)に給付率をかけて決められており、所得が低かった人ほど給付率が高く設定されています。離職時の年齢が60歳以上65歳未満の人の賃金日額は図表1の通りです。
図表1
賃金日額 | 給付率 |
---|---|
2657円以上、5030円未満 | 80% |
5030円以上、1万1120円以下 | 45~80% |
1万1120円以上、1万5950円以下 | 45% |
1万5950円以上 | 7177円(上限) |
厚生労働省 賃金日額・基本手当日額の変更についてを基に筆者作成
60歳以上65歳未満の人の賃金日額は、上限1万5950円と下限額2657円です。所定給付日数は離職理由によって異なり、20年以上勤務した定年退職の人は最高150日です。
「基本手当日額×所定給付日数=受給可能な基本手当の総額」となります。
年金受け取りと失業給付、どちらがよいか
年金と失業給付のどちらがよいか、試算してみましょう。
<3月末で定年退職したAさん60歳(会社員で単身)の場合>
退職前6ヶ月間の給与合計額・約250万円(年間約500万円・ボーナスを除く)
雇用保険の加入期間・25年
1、賃金日額を計算する:250万円÷180日=約1万3889円
2、基本手当日額を計算する:約1万3889円×45%=約6250円
3、雇用保険の基本手当30日分を計算する:約6250円×30=約18万7500円
65歳から受給できる年金見込み額・年額約151.2万円
年間約151.2万円÷12ヶ月=月額約12.6万円
Aさんの場合は、失業給付を受けるほうが受け取る金額が多くなりました。老齢厚生年金は雑所得として所得税などがかかりますが、失業給付は非課税所得なので税金は課税されません。
65歳まで年金を受け取らずに働く場合のメリットは?
60歳以上65歳未満で、年金を受け取らずに厚生年金に加入しながら働くと、主に3つのメリットがあります。
●厚生年金・健康保険の保険料を会社に半額負担してもらえる
●60歳以降も厚生年金に加入することで老齢厚生年金の受給金額を増やせる
●60歳未満の配偶者を扶養しているときは、配偶者が国民年金の第3号被保険者に該当するので年金保険料の個人負担が不要
ただし、一定以上の収入があると老齢厚生年金の一部または全部の支給が停止される「在職老齢年金」制度があるため、65歳まで厚生年金に加入しない働き方(短時間勤務パートなど)を選択する方法も考えてみましょう。
まとめ
定年を迎える前に自分が受け取れる年金の予定金額を調べることと、失業給付の場合は受給金額を試算し、将来の生活にはどちらがプラスになるかを検討してみることもよいでしょう。
出典
ハローワークインターネットサービス 基本手当について
厚生労働省 雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ 雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和4年8月1日から~ 賃金日額・基本手当日額の変更について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー