60歳定年時に「貯蓄ゼロ」の世帯はどのくらい? 貯蓄額の「平均」「中央値」も確認
配信日: 2023.04.23
では、定年を迎える60歳で貯蓄がゼロとなっている世帯は日本でどれくらいの割合がいるのでしょうか。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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全体の貯蓄平均金額
総務省統計局の調査によると、2人以上の世帯における2021年平均の1世帯当たり貯蓄現在高(平均値)は、1880万円となっています。前年の2020年に比べ89万円、割合では5.0%の増加となり、2018年から3年連続の増加となるとともに、比較可能な2002年以降で最多となっているとのことです。
ただ、この金額を聞いてやや高いと感じた人も多いのではないでしょうか。この金額は平均値ですから、実際は多額の貯蓄をもつ一部の人が数値を引き上げてしまっています。
より実態に近い金額を確認するためには、中央値が参考になります。中央値とは、貯蓄現在高が「0」の世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高です。2021年の中央値は、1104万円(前年1061万円)となっており、こちらも前年の2020年に比べて43万円増加しています。
年代別の貯蓄金額
世帯の貯蓄は「貯蓄現在高-負債現在高」で表されます。まずは負債を差し引く前の貯蓄総額をみると、2人以上の世帯について世帯主の年齢階級別1世帯当たり貯蓄現在高では、40歳未満が726万円と最も少なく、年代が高くなるにつれて高くなり、60歳以上では2000万円を超えています。
次に負債現在高をみると、40歳未満の世帯が1366万円と最も多く、年代が高くなるにつれて負債現在高は少なくなり、60歳代では214万円となっています。
純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)では、50歳以上では貯蓄現在高が負債現在高を上回っており、60~69歳の世帯の純貯蓄額は2323万円と最も多くなっています。一方、50歳未満の世帯では、負債現在高が貯蓄現在高を上回っており、負債超過となっています。
60歳代で貯蓄ゼロの世帯割合
では、定年を迎えた60歳代で貯蓄ゼロの世帯はどれくらいの割合いるのでしょうか。
金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和4年調査」の結果によると、60歳代・2人以上世帯のうち20.8%が貯蓄ゼロとなっています。
一般的に年金受給開始年齢は65歳からですので、60歳代で貯蓄がゼロという状況は、経済的に困窮する可能性が非常に高いと考えられます。繰上げ受給申請により60歳から年金を受給することも可能ですが、その分毎年受け取れる金額が少なくなってしまうリスクがあります。
60歳代の約5世帯に1世帯が貯蓄ゼロ
定年を迎えた60歳代の約20%、5世帯のうち1世帯が貯蓄ゼロということが分かりました。
年金受給は60歳に前倒しも可能ですが、年間の年金受給額が減少してしまうリスクもあります。さらに現在日本では深刻な少子高齢化が進んでおり、現状の年金体制が今後も維持可能なのか、一部では懸念の声もあります。
安心した老後のために、なるべく現役時代に資産形成をすることが大切です。
出典
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー