更新日: 2023.02.23 定年・退職
【44万円の差に!?】「64歳で自己都合退職」と「65歳で定年退職」で受け取れる給付金はどのくらい違う? 年収360万円で検証
それでは、64歳で自己都合退職をして「失業給付」を受け取る場合と65歳で定年退職して「高年齢求職者給付金」を受け取る場合はどちらのほうが得なのでしょうか?
本記事では、高年齢求職者給付金について解説すると共に、64歳で自己都合退職をする場合と65歳で定年退職する場合の給付金の差について紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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失業してから受け取れる給付金
失業してから受け取れる給付金は、高年齢求職者給付金と失業給付があります。受け取るためにはそれぞれ要件があるので、確認していきましょう。
高年齢求職者給付金
「高年齢求職者給付金」は65歳以上の人が失業した場合に受け取れる給付金です。しかし、すべての人が受け取れるわけではなく、要件があります。
65歳以上の雇用保険の被保険者であることが要件です。また、離職の日から数えて1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること、失業していること、という要件をすべて満たしていると支給の対象になります。
支給金額は、雇用保険の加入期間によって違いがあります。雇用保険の加入期間が1年以上の場合は、基本手当日額×50日分です。雇用保険の加入期間が1年未満の場合は基本手当日額×30日分になります。高年齢求職者給付金は一括で受け取る点が失業給付と違います。
失業給付
失業給付は高年齢求職者給付金と違い、65歳未満の人が失業した場合に受け取れる給付金です。離職の日以前の2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること、失業していること、という要件をどちらも満たした場合に支給されます。
支給金額は、雇用保険の加入期間が10年未満の場合は基本手当日額×90日分、10年から20年未満の場合は基本手当日額×120日分、20年以上の場合は150日分です。失業給付は28日ごとに分けて支給されます。
65歳で定年退職する場合
例えば、年収360万円の人で雇用保険の加入期間が20年以上の人が65歳で定年退職をした場合の給付金はいくらになるのでしょうか?
まず、基本手当日額を算出します。そのためには賃金日額を計算しなければいけません。賃金日額は退職前の6ヶ月の合計賃金を180日で割った金額です。そのため、年収360万円の場合は単純計算で6ヶ月の合計賃金は180万円で、賃金日額は1万円です。賃金日額から基本手当日額を計算します。
図表1
筆者作成
図表1から給付率は80%から50%になります。計算式は、 y=0.8w-0.3{(w-5030)÷7350)×wなので、基本手当日額は約5900円です。そのため、給付金の金額は、5900円を50日分なので、29万5000円になります。
64歳で自己都合退職をする場合
それでは、年収360万円の人で雇用保険の加入期間が20年以上の人が64歳11ヶ月で自己都合退職をした場合を考えてみましょう。こちらも賃金日額は1万円です。
図表2
筆者作成
図表2から80%から50%の給付率になります。そして給付金の金額は、y=0.8w-0.35{(w-5030)÷6090}×wとy=0.05w+4448の低い方です。この場合は約4900円になります。そのため、4900円を150日分なので、73万5000円です。
64歳で自己都合退職をした方が給付金だけを見ると、約44万円も多く受け取れることがわかります。
給付金は参考に、他の要素も考えて退職年齢を考えましょう
本記事では、高年齢求職者給付金について解説すると共に、64歳で自己都合退職をする場合と65歳で定年退職する場合の給付金の差について紹介してきました。給付金だけを考えると、64歳で自己都合退職をするほうが多くもらえるので得と言えます。
しかし、早く退職するということはその分、給与をもらえる期間も少なくなります。また、65歳定年時に再度退職金を受け取れる場合はその金額についても考慮しなければいけません。そのため、給付金だけで判断せず、ご自身の場合はどのようになるのかを考えて退職する年齢を考えましょう。
出典
厚生労働省 離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>
ハローワークインターネットサービス 基本手当について
厚生労働省 雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部