更新日: 2023.02.19 定年・退職

2030年には「70歳」が定年に!? 上昇する「定年年齢」を振り返ってみよう

2030年には「70歳」が定年に!? 上昇する「定年年齢」を振り返ってみよう
かつて定年退職の平均年齢は55歳ほどでした。しかし、少子高齢化や公的年金の支給開始年齢の引き上げ、労働力不足といったさまざまな要素により、定年の年齢はどんどん上昇しています。
 
本記事では、雇用に関する現状に触れた上で、どのように日本の定年の年齢が変化してきたのか、そしてこれからどうなりそうなのかについて解説しています。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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現在企業に求められていること

現在企業に義務付けられているのは、「定年を60歳以上にする」「希望する人全員を65歳まで雇用する」という点です。
 
70歳までの雇用については努力義務とされ、事業主は以下いずれかの措置を講じるよう努めることとされています。
 

(1)定年を70歳まで引き上げる
(2)定年を無くす
(3)70歳までの再雇用制度・勤務延長制度を導入する
(4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入する
(5)70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度を導入する
●事業主が自ら実施する社会貢献事業
●事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

 

65歳以上まで働ける制度がある企業は99.9%

厚生労働省の「令和4年高年齢者雇用状況等報告」によると、希望すれば65歳まで働けるようにしている企業は全体の99.9%(対前年+0.2ポイント)です。
 
さらに、70歳まで働ける企業は27.9%(対前年+2.3ポイント)、70歳以上まで働ける制度のある企業は39.1%(対前年+2.5ポイント)です。多くの企業で高年齢になっても働ける環境が整えられてきているといえるでしょう。
 

「高年齢者雇用安定法」改正概要

高年齢者の雇用については、高年齢雇用安定法という法律で、企業に対して義務や努力義務を規定しています。高年齢雇用安定法は少子高齢化が進む中、働く意欲のある高年齢者が活躍できるような環境整備を目的として定められた法律です。
 
高年齢者雇用安定法の改正の推移について簡単に見ていきましょう。
 

1986年 60歳定年を努力義務化
1990年 定年後再雇用を努力義務化
1998年 60歳以上定年を義務化
2000年 65歳までの雇用確保措置を努力義務化
2006年 65歳までの雇用確保措置の段階的義務化
2013年 希望する人全員の65歳までの雇用を義務化
2021年 70歳まで働く機会の確保を努力義務化

 
このように、高年齢者を何歳まで雇用しなければならないのかは、ここ数十年で目まぐるしく変わってきています。とはいえ、基本的には近年になればなるほど、高年齢までの雇用が義務、または努力義務化されています。 
 

今後はどうなる?

これまで改正が続いてきた高年齢者雇用安定法ですが、今後はどうなるのか考察してみます。
 

70歳までの雇用が義務化されるのは2030年代前半?

高年齢者雇用安定法の改正の推移を見ると、「努力義務」から「義務」になるまでの期間は、60歳定年が12年、65歳までの雇用確保が13年です。
 
2021年に70歳までの雇用確保が努力義務化されましたが、これが義務化されるのは過去の経緯からすると2030年代前半と推察できるかもしれません。
 

「定年」が無くなる日も近い?

現在、多くの企業では人手不足が叫ばれています。一方政府も働く意欲のある高齢者に対しては、高齢まで働けるように企業に求めるものと考えられます。
 
現在は定年制を廃止している企業は中小企業で4.2%、大企業では0.6%、全体で3.9%と多くはないですが、今後はこの割合が増えてくる可能性もあるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します

厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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