更新日: 2023.02.18 介護

年金だけで足りる? 親が認知症になったときの介護費用を抑えるには

年金だけで足りる? 親が認知症になったときの介護費用を抑えるには
現在は親が元気に暮らしていて認知症を思わせる行動がなかったとしても、その期間がいつまでも続くとはかぎりません。認知症になって介護が必要になった際には、一定の費用がかかります。事前に認知症になったときの介護費用がどのくらいなのか、親の年金などで費用をまかなえるかを確認しておくことが大切です。
 
本記事では、認知症になったときの介護費用について解説します。そのほかにも、介護費用をまかなう際に活用したい制度もまとめましたので参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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認知症になったときの介護費用はどのくらい?

親が認知症になった場合、要介護度や介護方法、介護期間によってかかる費用が異なります。
 
公益財団法人生命保険文化センターの2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」に公表された、2021年4~5月に世帯員2人以上の一般世帯4000件に対して行った調査結果によると、介護にかかった費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち一時費用(住宅の改修や介護用ベッド購入に要した費用など)の合計額は平均74万円、1ヶ月あたりの平均は8万3000円のとのことです。
 
また、同調査では介護を在宅で行った場合の平均月額費用を4万8000円、施設で介護を行った場合の平均月額費用を12万2000円と伝えています。在宅介護と比べて「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」「介護療養型医療施設」といった施設介護を選択した場合は、倍以上の費用がかかることを想定しないといけません。
 

親の年金でまかなえる可能性が高いケースは?

老齢基礎年金は満額で月額6万4816円(令和4年4月分から)です。上記調査結果の在宅介護で平均月額費用4万8000円から、軽度の認知症や家族による介護が可能な場合は、年金でまかなえる可能性が高いです。
 
しかし、重度の認知症や全面的な介護が必要な状態では、介護施設への入居の検討が必要になるでしょう。この場合は、年金以外に貯蓄などから介護費用の確保が必要になる可能性があります。
 

介護費用の負担を抑えるのに利用できる制度

親が認知症となり介護が必要になると、さまざまな費用が発生します。「どうやって介護費用をまかなおうか」と悩む方もいるかもしれませんが、介護費用の負担軽減が可能となる制度が整えられていますので、ぜひ活用してみてください。
 
ただし、各制度を利用するには適用要件があったり、申請手続きが必要だったりしますので事前に内容を確認しておきましょう。
 

【高額療養費制度】

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費(入院中の食事負担、差額ベッド代は含まれない)が1ヶ月の上限額を超えた際に、超過分の支給を受けられる制度です。上限額は加入者の年齢や所得によって異なり、一定の条件に該当すれば負担をさらに軽減できます。
 

【介護保険サービス】

要支援・要介護状態の認定を受けると、介護保険サービスを利用できます。支給限度額は要介護度に比例するため、介護度が高いほど上がる仕組みです。支給限度額内のサービス利用料であれば、本人の所得と世帯所得によって1~3割の自己負担ですが、超過した分については全額自己負担する必要があります。
 

【高額介護サービス費】

高額介護サービス費は、介護保険サービスの自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超過分を払い戻してもらえる制度です。ただし、以下に該当する分については、払い戻しの対象になりません。

・特定の福祉用具を購入する費用
・住宅改修にかかる費用
・介護施設における居住費や滞在費、および食費
・日常生活に要した実費
・生活援助型配食サービスの負担

 

【高額医療・高額介護合算療養費制度】

高額医療・高額介護合算療養費制度は、同一世帯にて1年間(8月1日~翌年の7月31日まで)に支払った医療保険と介護保険の自己負担額が高額になった際に、基準額を超過した分の払い戻しを受けられる制度です。基準額は、年齢や所得によって設定されています。
 

親の介護費用について捻出方法や役割分担を事前に決めておこう

親が認知症になって介護が必要になった場合、介護期間が具体的にどのくらいになるか想定するのは難しいです。在宅介護と施設介護のどちらを選ぶにしても、一定の費用がかかります。
 
いざ介護が必要になったタイミングで慌てて手続きをすると、後でトラブルに発展する可能性が高くなります。介護が必要になる前に、介護費用の捻出方法をはじめ親本人の希望を確認して、親や親族間で話し合いをしておくとよいでしょう。
 

出典

公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 公表されている介護サービスについて
厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます
厚生労働省 高額医療・高額介護合算療養費制度について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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