更新日: 2023.02.15 介護
介護保険ってどんなもの? 誰が利用できるの?
介護保険制度の仕組みはどのようになっているのでしょうか。誰が利用できるのでしょうか。いざというときのために知っておきましょう。
介護保険の保険者と財政
介護保険の保険者は、市町村と特別区(広域連合を設置している場合は、広域連合)です。財源は、公費5割(市町村12.5%、都道府県12.5%、国25%)、保険料5割(第1号保険料23%、第2号保険料27%(※1) 注)とされています。
(注)
厚生労働省 老健局 介護保険制度をめぐる最近の動向について 令和4年3月24日(※2)
介護保険制度を利用できる人
65歳以上の人の場合は、要支援、要介護状態であれば制度を利用できますが、40~64歳の人の場合は、組合健保、協会けんぽ、各種共済組合、国民健康保険などの健康保険に加入していたとしても、要介護(または、要支援)の状態が老化に起因する疾病(特定疾病)でなければ制度を利用できません。
特定疾病は、末期がん、慢性関節リウマチ、脳血管疾患、骨折を伴う骨粗しょう症、初老期における認知症、早老症など16種類です(※3)。39歳以下の人は、介護保険制度を利用できません。
サービスを受けるまでの流れ
実際にサービスを受けるためには、住所地の市町村で要介護認定の申請をします。申請をすると市町村の調査員が自宅や施設等を訪問し、サービスを受ける対象者に聞き取り調査(認定調査)を行います。
また、市町村の依頼により、かかりつけ医が心身の状況について意見書(主治医意見書)を作成します。その後、認定調査結果や主治医意見書の一部の項目は、コンピューターに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行われます(一次判定)。そして一次判定と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定が行われます(二次判定)。
市町村は、介護認定審査会の判定結果に基づき要介護認定を行い、申請者に結果を通知します。認定は要支援1、2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれます。
サービス利用者の費用負担
介護保険サービスを利用した場合の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上の所得者の場合は、2割または3割)です。介護保険施設利用(※4)の場合は、費用の1割(一定以上の所得者の場合は2割または3割)負担とは別に居住費、食費、日常生活費もかかります。
居宅サービス(※5)を利用する場合は、下記の表のように利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護(要支援)度別に定められています。
限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上の所得者の場合は、2割または3割)の自己負担ですが、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分は、全額自己負担になります。
【図表1】
まとめ
介護は、孤独なものだと思わないでください。要介護認定がされ、要介護1以上と認定された人は、要介護支援専門員(ケアマネジャー)に介護サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいます。要支援1、2と認定された人は、地域包括センターにケアプランを依頼することができます。
ケアプランは、どのような介護サービスをいつ、どれだけ利用するかを本人や家族の希望、心身の状態を十分考慮して作成されます。本人や家族は、介護の専門家に相談ができるようになるので、精神的な負担から解放されることができます。
また介護保険施設入所者で、所得や資産等が一定以下の人には、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給される場合がありますので、住所地の市町村に相談をしてみましょう。
出典
(※1)第1号保険料=65歳以上の人は、年金から天引きされます。第2号保険料=40~64歳の人は、健康保険料と一体的に徴収されます。会社員や公務員は、労使で2分の1ずつ負担します。自営業者の介護保険料は、国民健康保険料と一体的に徴収されます。
(※2)厚生労働省 老健局 介護保険制度をめぐる最近の動向について 令和4年3月24日
(※3)厚生労働省 特定疾病の選定基準の考え方
(※4)介護保険施設とは、介護保険サービスで利用できる公的施設で、介護施設としての「特別養護老人ホーム(特養)」、リハビリを中心とした「介護老人保健施設(老健)」、長期入院して療養する「介護医療院・介護療養型医療施設」の3種類があります。
(※5)居宅サービス(在宅介護向けの介護保険サービス)は、訪問介護、通所介護サービス(デイサービス、短期入所介護サービス(ショートステイ)などがあります。
(※6)厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者