「1000万円」の退職金。もらい方によって金額が変わるって本当?
配信日: 2023.01.16
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金の平均額はいくら?
日本の企業の大半が中小企業であることを踏まえ、東京都は毎年、従業員が10人~299人の都内中小企業を対象とした賃金についての調査を行い、結果を公表しています。
令和4年版の「中小企業の賃金・退職金事情」の調査結果によると、定年時のモデル退職金支給金額(新卒入社し普通の能力と成績で定年まで勤め続けた場合の金額)は、高校卒が約994万円、高専・短大卒が約983万円、大学卒が約1091万円でした。
退職金のもらい方には、どんな種類があるの?
退職金のもらい方は主に2種類あります。定年時にまとめて受け取る「一時金方式」、分割して受け取る「年金形式」です。
<一時金方式のメリット・デメリット>
メリットは「退職所得」となり「退職所得控除」を利用でき、勤続年数が長いほど控除できる金額が大きくなることです。主なデメリットは、受け取った退職金の使いみちを自分で管理しなくてはいけないことです。
・退職金控除額の計算式
退職所得=(退職金額-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額の計算式は、勤続20年以上では「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」、勤続20年以下では「40万円×勤続年数」です。
・退職金1000万円を一時金で受け取る場合
勤続38年の場合、800万円+70万円×(38-20年)=2060万円までが非課税なので課税金額は0円
勤続16年の場合、40万円×16年=640万円までが非課税で180万円が課税対象となり、所得税は約9万1890円、住民税は約18万円となります。
<年金方式のメリット・デメリット>
メリットは、年金方式で受け取るお金は「雑所得」となり「公的年金等控除」の対象になることです。主なデメリットは、企業年金やiDeCoなどで受け取る年金額も含まれるため、収入が多いと課税対象になることです(図表1)。
図表1 公的年金控除額(65歳以上)
公的年金等の収入金額の合計額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円から330万円未満 | 収入金額-110万円 |
330万円から410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5000円 |
410万円から770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5000円 |
国税庁「公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)」より
10年で受け取る場合:1000万×0.111(資本回収係数)=年額111万円
15年で受け取る場合:1000万×0.078(資本回収係数)=年額78万円
20年で受け取る場合:1000万×0.061(資本回収係数)=年額61万円
上記の試算式と図表1を見比べると、年間110万円以上で受け取ると課税対象になり、所得税・住民税が課税される可能性が出てきます。
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まとめ
退職金は定年退職後の大切な生活資金です。定年退職前には勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」の提出が必要で、申告書を提出していないと退職所得控除が受けられずに20.42%が源泉徴収されてしまいます。(確定申告を行うことで取り戻せます)
自分の退職金はいくらになるのか試算し、一時金・年金どちらで受け取るか検討してみましょう。
出典
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部