朝丘雪路さん、アルツハイマー型認知症で死去・・考えてないといけない認知症700万人時代の備え
配信日: 2018.05.24 更新日: 2019.01.10
数年前には、ドラえもんの声で有名な声優の大山のぶ代さんもアルツハイマー型認知症を患っていると数年前に公表され話題になりました。
認知症患者は年々増加しており、団塊の世代が75歳以上になる2025年には700万人、65歳以上では5人に1人が認知症になると予測されています。
認知症700万人時代に備え、認知症について基本的なことを知っておきましょう。
Text:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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認知症とは病気なの?
認知症は、病名ではなく認知機能が低下した状態を指します。加齢に伴い誰でも“もの忘れ”は多くなります。たとえば、昨日の夕食に何を食べたか思い出せない“もの忘れ”は誰でも経験があると思います。
しかし、認知症では、「食べたこと」自体を覚えていないといった記憶障害が現れます。また、時間や場所の感覚、理解力、判断能力も低下していきます。そのため、認知症が進行すると、自立した日常生活を送ることが困難になり、介護が必要になります。
介護や支援が必要となった主な原因としては、「認知症」が最も多く約18.0%を占めています(厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」)。
認知症の種類
認知症で多いのが、アルツマイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症です。認知症疾患の85%を占め、3大認知症と言われています。
認知症の割合は、アルツハイマー型が約50%、レビー小体型が約20%、脳血管性が約15%というのが現状のようです。
・アルツハイマー型認知症
脳神経が特殊なたんぱく質により死滅、変性して脳全体が委縮して認知機能に障害が生じ、身体の機能も失われていきます。男性よりも女性に多く見られます。厚生労働省「平成28年(2016)人口動態統計(確定数)の概況」によると、女性の死因の第10位になっています。
症状としては、判断能力の低下、記憶障害、見当識障害、物盗られ妄想、徘徊、介護拒否など。最近の出来事を忘れてしまうという症状がよく見られます。
10年~20年かけて徐々に進行していきます。ただし、若年性だと進行のスピードが早いので、早期発見が大切です。適切な量のアリセプトなどの薬物によって症状の進行を遅らせることができます。
・脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などにより脳に十分な血液が送られなくなることで脳細胞が壊れてしまい本来細胞が担っていた機能を失い発症します。
高血圧、糖尿病、心疾患、脂質異常症などの生活習慣病による動脈硬化が原因です。感情のコントロールができない、服の前後や上下を認識出来ず逆さまに着てしまうなどの症状がでます。
発作が起こるごとに段階的に悪化していくので、生活習慣の改善や薬物治療などによって再発を防ぐことが大切です。
・レビー小体型認知症
レビー小体という神経細胞に出来る特殊なたんぱく質が認知機能を司る大脳皮質や脳幹に増加し、神経細胞を壊すので神経がうまく伝えられなくなり認知症を発症します。アルツハイマー型が女性に発症率が高いのに比べ、レビー小体型は男性の方に多く、女性の約2倍と言われています。
幻視や妄想のほか、手が震える、身体のバランスを取ることが難しいなどパーキンソン病と似たような症状がでます。調子が良い時と悪い時を繰り返しながら進行していきます。薬物治療によって劇的に改善することもあるようです。
こんな症状が出たら認知症を疑え
認知症は早期発見、早期治療により、進行を遅らせたり、症状を緩和することが可能です。
MCIという言葉をご存知でしょうか。MCIは軽度の認知障害を表す総称です。まだ、生活には大きな支障をきたしていないが、物忘れが激しく、無気力になる状態をいいます。
放置すれば4~5年で半数が認知症になると言われています。半面、適切な治療によって約20%の方が正常に戻るとされています。
次のような症状が見られたら認知症専門医の受診を検討しましょう。
・何に対しても億劫になり意欲がなくなる
・テレビドラマを見ても理解できず面白くない
・得意だった料理が苦手になり、味付けもおかしくなった
・近所なのに道に迷うようになる
・些細なことで怒るようになる
・服用している薬の減り方がおかしい
・やたらと1万円を出して釣銭をもらうようになる
・何度も同じことを言ったり聞いたりする
・約束をよくすっぽかす
など
認知症の予防
生活習慣を見直し改善することが基本です。バランスの良い食事を摂り、暴飲暴食は避け、適度に運動し、十分な睡眠をとりストレスをためないことが大切です。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。