どうする?老後の住まいを選択するとき考えたい4つのポイントとは。
配信日: 2018.05.15 更新日: 2019.07.04
定年退職を間近に控えた方はもちろん、体の動く元気なうちからよく考え、準備をしておくことに越したことはありません。
どのような点に注意すればベストな選択ができるのかしっかり考えてみたいと思います。
住み慣れた場所で探す
これから探すのであれば、知らない土地での住まい探しはなるべく避けたほうが良いと言えます。
知らない人に家は売りたくないという地元の人の心情があったり、土地勘がないために物件を選ぶ際に失敗してしまうケースも多くあります。
夫婦二人の老後を考えている方は、いずれは配偶者に先立たれ一人暮らしになる可能性も念頭に置かなくてはならないでしょう。
可能な限り、これまで親しんだ地域社会を外れない範囲で、必ず医療施設などの主要な施設へのアクセスは確認しておきましょう。
特に日常の買い物に不便を感じている「買い物弱者」と呼ばれる人は今や全国に約700万人いると言われています。日常の生活に直結する食料品や日用品を購入するスーパーやデパートまでの距離はしっかり把握しておく必要があるでしょう。
また、最近では、駅前はいわゆるシャッター通りで、駅から少し離れたショッピングモールに店が集中しているなど、必ずしも駅の近くであれば安心ではないこともあるため気をつけましょう。
マンションか、一戸建てか
国土交通省が2016年に実施した「土地問題に関する国民の意識調査」では、約7割の人が今後、望ましい住宅として一戸建てを選び、高齢者になるほどその傾向が強くなるという結果が出ています。
しかし老後の住まいに関しては、一戸建てよりもどちらかと言うとマンションをお勧めしたいと思います。
その理由は高齢者にとって戸建て住宅は必ずしも安全ではないからです。平成26年の厚生労働省の人口動態統計では、家庭内事故による死者数は交通事故による死者数の2倍以上にもなっています。
高齢者にとって階段や段差の多い戸建て住宅は転倒しやすく、古い住宅の廊下や脱衣所は冷えやすく急激な温度差によるヒートショックのリスクも高まります。
建築基準法により耐火構造になっているマンションとは違い、火災にも注意が必要ですし、特に20年以上前に建てられた一戸建てについては耐震についても心配な場合があります。
階段がなく耐震性や耐火性、断熱性に優れたフラットマンションへの住み替えを選択肢に入れたほうが良いかもしれません。
リフォームやダウンサイジングを考える
とは言え、せっかく建てた一戸建てを処分してマンションを買うのは抵抗があるという方も多いと思います。また、現在は消費税の引き上げや東京オリンピックなどを控えマンション価格が高騰しており購入を検討するタイミングとは言えないかもしれません。
そこで買い替えではなくリフォームを検討してみるのはいかがでしょうか。
老後を見越したリフォーム耐震、断熱、バリアフリーは重要なポイントですが、最近は制震装置が量産化されて比較的安価に設置できるようになっていますし、断熱リフォームを施したり、完全なバリアフリー化が難しければ、まずは手すりを取り付けたり、段差を解消したりするだけでも安全性はぐんと高まります。
一階だけで生活できる間取りにすることや、あるいは二階建ての戸建ては平屋に減築することを選択肢に入れても良いかもしれません。
一戸建てに限らず、マンションも古いものは多少の段差があったり、断熱性も劣るため、リノベーションを検討したほうが良い場合もあるでしょう。
国や自治体の減税制度や補助金制度
安全を確保するためのリフォームの予算は1000万円程度までを目安にして、それをかなりオーバーするようなら住み替えを検討しても良いと思います。
中古マンションを購入してリフォームするという方法もあります。最近はリフォーム一体型の住宅ローンが登場していますし、高齢者向けのリフォーム融資もあります。
また、国の住宅政策として良質な住宅の長期間利用を推奨していますので、住宅ローン減税のほか、バリアフリー改修減税、省エネ改修減税などの制度が豊富です。
それらを利用したり、各自治体もそれぞれユニークな補助制度を設けていますので、最寄りの自治体の担当部署に一度、問い合わせてみると良いと思います。
充実したセカンドライフを過ごすための住まい選び。まずはご自身のライフスタイルや資産状況などと照らし合わせ、しっかりと情報収集をしてから準備を進めていくことが重要です。
※2018/05/21 内容を一部修正させていただきました。
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー