更新日: 2019.01.11 介護
要介護になる原因、脳血管疾患に代わってトップになったのは?
要介護者を介護するのは大変なことなので、なるべくなら誰かの世話になることは避けたいものです。
介護が必要とならないようにするには、まずは介護が必要となった原因を知ることです。
最近大きな変化がありましたので、詳しく見ていきましょう。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
介護が必要となった原因は認知症が最も多い
厚生労働省の国民生活基礎調査では3年に1度介護に関する調査をしています。その中に介護が必要となった原因の調査もあり、平成13年から平成28年まで6回の結果をグラフにまとめてみました。
資料:厚生労働省「国民生活基礎調査(平成13年・16年・19年・22年・25年・28年)」
※平成28年は熊本県を含まない。原因が「その他」「わからない」「不詳」を除く。
介護が必要となった原因は認知症(17,989)が最も多く、2番目に脳血管疾患(16,582)、3番目以降は高齢による衰弱(13,295)、骨折・転倒(12,074)、関節疾患(10,173)の順になっています。ここまでの5つが10万対で1万を超えていて、原因全体の7割を占めています。
前回(平成25年)の調査までは、介護が必要となった原因として最も多かったのは脳血管疾患でしたが、平成28年の調査で認知症に代わりました。
ちなみに平成13年の時は脳血管疾患(27,690)が最も多く、2番目以降は高齢による衰弱(16,076)、骨折・転倒(11,769)と続き、認知症(10,741)は4番目でした。
※認知症は平成13年の統計では痴呆としています。
グラフを見てもわかる通り脳血管疾患は急速に減少していて、認知症が徐々に増えています。脳血管疾患を原因とするのは比較的若い世代に多いのに対し、認知症は比較的高齢の世代に多いことから、このような統計をみても、高齢化が進んでいる日本の現状を知ることができます。
介護で誰かの世話になりたくなかったら脳と体を鍛えると良い!?
介護が必要となった原因は、順位は変わっても「認知症」「脳血管疾患」「高齢による衰弱」「骨折・転倒」「関節疾患」が全体の7割を占めているので、この5つにならないようにすることが、介護で誰かの世話になることを避ける近道と言えそうです。
統計上の分類
認知症……医師から認知症(アルツハイマー等)と診断されたもの
脳血管疾患……脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血等の脳血管疾患
高齢による衰弱……老いて次第に体の機能が衰弱(筋力低下等)したもの
骨折・転倒……屋内外を問わず何らか原因で骨折や転倒したもの
関節疾患……リウマチ熱、慢性リウマチ等による関節炎、腰痛(腰痛症、坐骨神経痛等)等
認知症と脳血管疾患は脳が正常でなくなることで起きるでしょうから、脳の細胞や血管が正常に機能するような対策をしていくと良さそうです。
高齢による衰弱や骨折・転倒は体力が低下していくことで起きやすくなるでしょうから、足腰等を中心に体を鍛えておくと良さそうです。
それぞれ具体的に何をするのが望ましいかは、医師等の専門家の情報を頼りにしてほしいですが、介護で誰かの世話になることのない生活を送り続けたければ、脳や体を中心に鍛えて、健康な生活を送っていくのが良いかもしれませんね。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士