更新日: 2019.09.02 セカンドライフ

「おひとりさま」で貯金が1000万円しかない…老後の蓄えには不十分?

「おひとりさま」で貯金が1000万円しかない…老後の蓄えには不十分?
非婚率が上がって筆者の周りにも生涯独身という方が増えています。

結婚に意味を見出さなかった、結婚したいと思う人と巡り会わなかったなどいろいろな理由はあるものの、再三お伝えしている通り、時計をもとに戻すことはできないので、今の状況を前提にして老後の生活を考えていきましょう。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

支えてくれる人は誰もいないという不安を裏返そう

ご相談者の声で多いのは、「独身だからいざとなったら支えてくれる人はだれもいないので不安。
 
だから頼れるもの、すなわちお金をたくさん持っておきたいが1000万円しかもっていない。」というものです。物事はなんでもプラス面とマイナス面があります。ステレオタイプにマイナス面だけを見て悲観しても前に進むことはできません。
 
考え方をかえてみましょう。パートナーさえいれば、お金の泉を掘り当ててくれるわけではありません。寧ろパートナーの浪費癖がなおらない、病気がちで介護に手をとられるといったマイナス面もあります。
 
独身であれば、こちら側が支えてあげなければいけない負担はありません。あとは自分の健康に注意して、長くキャッシュフローを生む状態を維持すればいいのです。自分の価値観は自分そのものですから、自分が節約するといえば即決定、自分が働くといえば、その考えに異論を唱える人は誰もいないのです。
 

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1000万円の貯蓄でやっていけない?

1000万円の貯蓄で年金額が月額換算7万円というケースの場合、月額生活費を15万円とすれば、不足額8万円を貯蓄で取り崩せば125ヵ月、すなわち10年余り賄っていける計算になります。
 
そこでご相談者は、65歳から10年で75歳。それ以上長生きできないと嘆かれます。計算式はどうしても動かせないので、月額生活費を14万円、13.5万円と少しずつ圧縮してみましょう。また時給900円のパートを1日4時間、週3回で加えてみましょう。
 
このくらいの就労時間であれば雇用主側は社会保険に加入義務の範囲外ですからウェルカムです。額面収入1ヵ月概算で900×4×3×4=4万3200円。これで不足額は大きく改善します。周りに頼る人はいなくても周りの人の介護のために自分が働きたい就労時間が削られる心配もありません。
 
14万円-7万円-4.32万円=2.68万円が1ヵ月あたり貯蓄から取り崩す金額となります。
 
1000万円で割れば373.1ヵ月という数字が出てきました。もちろんこれには前提として、ずっと働き続けなければならない、さすがに75歳を過ぎると体力的にムリかもしれません。そういった細かい事情は途中で修正すればいいのです。独身だから修正も自分の一存でできます。
 

周りの情報に左右されるのではなく、自分主導で進める

メディアで取り上げられている悲惨な状況や、「一般的な」という枕詞付きの数字に右往左往するのではなく、「自分の物差し」で自分の方程式をたてれば貯蓄が1000万円だからといって悲観することはありません。それは時間の無駄遣い以外の何ものでもないのです。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表
 


 

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