更新日: 2019.06.28 セカンドライフ

高齢者住宅も多様化!?どんな高齢者住宅が誕生しているのか

高齢者住宅も多様化!?どんな高齢者住宅が誕生しているのか
高齢者が自立から要介護期を過ごす住まいには、「高齢者住宅」「有料老人ホーム」「介護施設」がありますが、できるだけ普通の住宅環境で過ごしたいというのは、多くの高齢者の願いです。
 
しかし、普通の住宅では介護が必要になった時に不安や支障があるので、近年では介護機能を備えた住宅のニーズが高まっています。それが、「ケア付き分譲マンション」「サービス付き高齢者住宅」「シルバーハウジング」などの「高齢者住宅」です。
 
それぞれの特徴と費用面について見てみましょう。
 
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

高齢者住宅全般の機能

「高齢者住宅」は、自立して生活できる人のための住まいで、バリアフリーの設備(手すりや段差解消)や24時間のフロント体制、緊急時の通報システムを備えており、介護ケアサービスを受けることが可能です。
 
高齢者住宅は3つの種類に分類されますが、機能や特徴はそれぞれ異なります。それぞれの機能・特徴・費用面と介護ケアはどうなのでしょうか。
 

ケア付き分譲マンション

「ケア付き分譲マンション」は、文字通り分譲集合住宅でありながら、介護ケアを提供する機能を備えた住まいです。
 
高齢者が住宅型の有料老人ホームに入居する際に最も判断に迷うのが、入居時一時金の問題です。有料老人ホームの入居一時金はすべて償却方式のため、5年・8年・10年などの期間で償却されてしまいます。
 
一方、分譲型のケア付きマンションは、金額と支払う意味も有料老人ホームの入居一時金とは異なりますが、資産として残るのが最大の特徴です。24時間対応のフロント体制などがあるので、管理費は一般マンションよりも高額になりますが、修繕積立金は一般マンションと同等になります。
 
また介護ケアについては、自前でケア部門・スタッフを備える物件もありますが、外部に委託するケースが多くなっています。系列の有料老人ホームが併設される物件などは、連携の良いサービスを受けることができます。
 
入居時に要介護度の認定などは不要ですが、介護度が高くなると介護施設や介護型有料老人ホームへの移動が必要になるケースが多くなります。
 

サービス付き高齢者住宅

「サービス付き高齢者住宅」(サ高住)は、ここ数年の間で最も増えた高齢者住宅兼介護施設と言えます。入居時一時金がゼロまたは比較的低額で、一般住宅の良さを維持しながら介護サービスを受けることのできる施設として、国交省と厚労省が共管で各地に設置の助成を行いました。
 
入居者は自立生活者から軽度の要介護認定者となっています。基本的に民間経営であり、介護施設ではないので、入居基準は各施設と利用者間で決められるしくみです。施設によっては介護体制が充実して、介護付き老人ホームと同等のサービスを提供している施設もあります。
 

シルバーハウジング

「シルバーハウジング」は、主として地方自治体が運営する高齢者住宅です。バリアフリーの設備(手すり、段差解消など)、緊急通報システムの設置、生活補助員(ライフサポートアドバイザー[LSA])を配置して、日常の生活指導、安否確認、緊急時対応を行っています。
 
費用的に公営住宅並みの家賃で入居できるうえに、ある程度の日常生活支援を受けられる点が特徴になります。60歳以上の単身またはどちらかが60歳以上の夫婦世帯などが対象です。
 

高齢者住宅の概算費用とケアサービス体制

3種類の高齢者住宅の入居時の一時金、毎月の発生費用、ケアサービスの体制を一覧にすると下表のようになります。
 

 

まとめ

上記の3区分が、高齢期に入っても極力普通の生活をしたいと思う人向けの住まいです。
 
いずれも入居者と住宅の管理運営者の間に、常時または定期的な接触があり、孤立することはありません。個人のプライバシーは保護されますし、また介護ケアについても24時間ケアは受けられませんが、一般住宅での独り住まいなどと比較するとはるかに安心できる環境と言えます。
 
自立生活から介護機能を備えた住まいへの引っ越しは、心身の変化と、現在の住まいの状況や手持ち資金・収入状況も考慮したうえで考えなければなりません。その選択は個人ごとに異なりますので、自分に合った住まい・施設を選ぶことが大切でしょう。
 
執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)
ファイナンシャルプランナー CFP
 

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