更新日: 2019.01.11 セカンドライフ

お金を「使うこと」は「貯めること」より難しい!?先行き不安で貯蓄率がアップ…みんなお金を使えなくなっている?

執筆者 : 宮﨑真紀子

お金を「使うこと」は「貯めること」より難しい!?先行き不安で貯蓄率がアップ…みんなお金を使えなくなっている?
「ついついお金を使ってしまい、貯めることが難しく、なかなか貯蓄が増えません」。多くの人から、この相談を受けます。
 
でも本当は、「使うこと」は難しいのです。お金の神様と言われた邱永漢氏も「お金を稼ぐのも難しいですが、じつはお金を使う方がもっと難しい」と名言を残しています。
 
宮﨑真紀子

Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

先行き不安で貯蓄率がアップしている

景気が回復しているのに、消費は増えていません。アベノミクスで株価は上昇しましたが、恩恵は一部の富裕層だけが受けていて、全体には行き渡っていないのではないか、という声もあります。
消費が増えない根底には、先行きの不安による節約志向があります。50歳未満の人は、「将来は年金に頼れなくなる」といわれてきました。
 
また、50歳以上の人は、最近“人生100年時代”が流行語になり、「老後資金が枯渇するのではないか」と不安をあおられています。全ての層で、消費行動に「ちょっと待った」されている状況なのです。
 
総務省の家計調査によると、家計の貯蓄率は上がっています。勤労者世帯の可処分所得は月平均43万6700円で前年より7400円増加しました。一方で消費支出は31万3千円で、前年に比べると3600円の増加です。差額は貯金に回されたと考えられます。
 
年代別にみると、35~44歳の貯蓄の上昇率が目立ちます。この年代は、お金に対してシビアな感覚を持っている人が多いと感じています。備えあれば憂いなし。早期から老後の準備もしている点は感心ですが、今欲しいものを我慢し過ぎていないか、老婆心ながら少々心配です。
 

ゲームで学ぶ、お金の貯め方・使い方

先日FP仲間と「おこづかいゲーム」の話をする機会がありました。これは主に小学生向けに作られたもので、カード形式のものや人生ゲームの形式のもの等、数種類あるようです。
 
ただ単に、所持金の残高を競うのではなく、自分にとって良い買い物をしたらポイントが付いたりするそうです。無駄遣いをせず貯金することも大事だけれど、生きたお金の使い方をすることも学んでほしい、という意図があると聞きました。
 
実際にゲームをしてみると、全然お金を使わない子がいるそうです。「欲しいものは無いの?」の問いに「ない」という返事。欲しいものは既に買って貰っていて「ない」のか、あるいは親が節約志向で「買っちゃダメ」といわれているのか。主催したFPも分からないそうですが、親のお金の使い方が、子どもの行動に大きく関わっていることは確かなようです。
 
残念ながら私は現物を見ていません。「お金を貯めること」や「上手にお金を使うこと」がゲームで学べるなんて、楽しそうです。ですが、「子どもに教えるとしたら」を想像すると、なかなか悩ましいことになりそうです。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
相続診断士

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