更新日: 2019.01.08 セカンドライフ

老後の不安をなくす方法の1つ。定年後の『大家さん』になる選択肢

執筆者 : 藤丸史果

老後の不安をなくす方法の1つ。定年後の『大家さん』になる選択肢
先日、定年まであと数年とおっしゃる方から「アパート経営は、今から始めて成功するものなのでしょうか」というご相談を受けました。
 
年金だけでは生活が不安だし、何かプラスαの収入が欲しいと思っていたところ、元上司が定年後にアパート経営を始めたという話を聞いたとのこと。
 
老後の収入源として、果たして不動産投資で利益を上げることはできるのでしょうか。
藤丸史果

Text:藤丸史果(ふじまる あやか)

ファイナンシャルプランナー

相続、投資信託など、身近なファイナンスを中心に活動している。

不動産投資の魅力

昔から「大家さん」と言えば、不労収入で悠々自適な生活というイメージがあるのではないでしょうか。大家さんになって毎月、決まった家賃収入を得ることができれば、将来の備えとして大きな安心に繋がるでしょう。
 
ただ、少額から購入できる投資信託や株などと比べ、一般的に投資額が大きく、不動産投資特有のリスクもあります。特にリタイア後の資産運用として資金も限られる中で始めるには、少しハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
 
では最初から諦めなくてはいけないかと言えば、リスクを把握して慎重に行えば絶対に無理ではないと思います。
 
不動産投資はあまり高い利回りは期待できないものの、それなりの安定性があり、投資信託などと同じミドルリスク・ミドルリターンの投資と言われています。
 
大家さんを始めた方の多くは、「同じ投資でも株などは会社が倒産すれば何一つ、手元に残らないが、大家ならば少なくても家は残る」と思われるそうです。
 
不動産は確実に手元に残るのですから、その資産価値が大きく下がらなければ(もちろんそのリスクはあります)、手堅い投資だという考え方もあるかもしれません。
 
また、不動産はインフレに強く、サラリーマンの方には一定の節税効果もあるので、そういった点においても魅力ある投資と言えるでしょう。
 

まずはREITやワンルームマンションから

初心者向けの不動産投資の本の多くに、まずは都心のワンルームマンションを買いましょうとあります。これはシニア世代も例外でなく、最も手軽に始められる不動産投資かもしれません。
 
購入金額は、アパート一棟買いだと中古でも3000万円くらいはしますが、区分マンションであれば最も高い首都圏でも新築で2000万円代後半、中古なら1000万円台から可能です。
 
新たに投資用の不動産を購入する場合、安いからと言って、地方、特によく知らない土地で選ぶようなことは初心者にはおすすめできません。将来に亘って需要があるか判断が難しく、空室になる可能性を高めてしまうからです。
 
都心のワンルームマンション投資が推奨されるのはそういった理由からですが、現在お持ちの土地建物を投資用として検討する場合にも、リフォームしたり、新たに家を建てる費用が発生しますので、それらを差し引いた利回りを計算し、地元の不動産情報をしっかり収集するようにしましょう。
 
まずはREIT(不動産投資信託)で不動産を扱う投資の勉強をするのも良いかもしれません。
 
REITは、投資家から資金を集めてオフィスビルや居住用マンション、商業施設など個人投資家には難しい大規模な施設などにも手軽に投資でき、東京証券取引所に上場するJ-REITは、得られた収益の90%を分配金として投資家に出す仕組みで数十万円から購入可能です。
 
不動産市況の変動による価格変動のリスクなどがありますが、本格的な不動産投資を行う際の勉強にもなりますし、不動産はインフレに比較的強いので、インフレヘッジとしてそのまま保有しておいても良いでしょう。
 
また、現在、不動産価格は高水準が続き、東京オリンピックを前に特に東京都心部は高止まりすると見込まれていますので、まずは勉強をしながら購入の時期を見極める目を養うことも必要だと思います。
 
最近は不動産会社が投資用の物件を専用のウェブページやアプリなどに載せていますので、それらをチェックしながら動向を確認するのもおすすめです。
 

シニア世代の不動産投資のポイント

不動産を購入する場合はローンを組むのが一般的ですが、定年後、あるいは定年直前に投資用として不動産を購入したり建設する場合には、費用はできるだけ手持ちの現金の範囲内で行うことが重要と言えます。
 
定年後は給与収入がありませんので、もし物件が空き家になるとローン返済が滞ってしまうことになります。
 
シニア世代は、若い世代より慎重な姿勢が必須ですし、誤った判断を防ぐために不動産に関する勉強をよくしておくことが大事だと思います。
 
実際に利益を上げている投資家の方にお聞きすると、最低でも50冊、できれば100冊以上専門の本を事前に読んだほうがよいと言われる方が多いです。また不動産市況や法律が頻繁に変わるので、勉強を生涯し続ける必要もあります。
 
大変そうに聞こえますが、逆に言えば勉強をすれば、生涯に亘って安定した収入を得ることができるわけですから、一考の価値はあると言えるのではないでしょうか。
 
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー

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