更新日: 2019.07.04 セカンドライフ

シニア世代にお勧め、トクする鉄道の旅

執筆者 : 黒木達也

シニア世代にお勧め、トクする鉄道の旅
現役時代は仕事が忙しく、旅行などに時間をとれなかった人も、リタイア後は比較的時間の余裕ができます。
 
老後の楽しみとして、国内旅行をする機会が増えるかもしれません。その際、特に新幹線を含むJRを利用する場合には、トクをする割引制度や限定の割引パスを利用して旅を楽しみたいものです。
黒木達也

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

割引乗車券や会員限定パスを活用

シニア世代の個人旅行に適したサービスを、熱心に提供している鉄道会社はJR東日本とJR西日本です。ほかのJR各社にもシニア向けの割引制度はありますが、この2社のサービスが最も充実しています。
 
いずれも50歳以上の人が対象ですが、高齢になるほどおトクなサービスが受けられます。
 
JR東日本は「大人の休日倶楽部」といい、JR西日本は「おとなび」といわれるシニア優待制度です。いずれも申し込みをして会員登録をする必要があります。
 
そのサービスの基本は、
 
1.該当エリアで一定距離以上乗車すれば、何回でも5〜30%割引料金が適用される。
2.会員限定の割引パスを購入すれば、決められた期間に限り、新幹線、在来線の特急に自由に乗車できる。
というものです。
 
1.の割引は、決まった目的地を往復する際に大変便利ですし、2.は特定エリアを3〜4日かけて旅行をする場合に、おトク感のある旅を楽しむことができます。
 

大人の休日倶楽部の特典・割引乗車券

代表的なシニア世代向けサービスとして、JR東日本の「大人の休日倶楽部」を取り上げ、利用特典を説明しておきます。JR西日本の「おとなび」についても、よく似たサービス内容になっています。ほかのJR各社も多少異なった内容の制度があります。
 
「大人の休日倶楽部」は、メインのPRキャラクターに女優の吉永小百合さんを起用し、テレビ、新聞等に大きく宣伝しています。加入できる年齢により、「ミドル」と「ジパング」の2種類があり、ジパングのほうが年会費は高いですが、その分特典も充実しています。
 
具体的には、JR東日本とJR北海道を利用し一定距離以上を乗ると、ミドルの場合は5%の割引ですが、ジパングの場合は30%割引になります(表参照)。
 


 
さらにジパングでは、ほかのJRの路線についても20〜30%の割引を受けて乗ることができます(ただし上限は年20回まで)。これで東海道新幹線も利用できます。
 
東海道新幹線はJR東海の路線ですが、ジパング会員は割引の適用を受けることができます。ミドル会員はこのサービスは適用されません。ただし、東海道新幹線で割引が受けられるのは「ひかり」と「こだま」に乗車する場合で、「のぞみ」に乗車する場合、割引は適用されません。
 
東京駅から出発する新幹線の中で、東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線はJR東日本の路線ですが、東海道新幹線だけはJR東海の路線になるので、事情が異なることを覚えておきましょう。
 
JR東日本エリアに住んでいない人でも、65歳以上であれば独自に「ジパング倶楽部」の会員になることで、割引運賃でJRを利用できます。またJR西日本の「おとたび」には、早期に申し込むことで割引運賃が適用される独自の制度があります。
 

大人の休日倶楽部の特典・会員限定パス

大人の休日倶楽部会員向けに、年に3〜4回発売される会員限定のパスは非常におトク感に溢れています。これはジパング会員だけでなく、ミドルの会員も購入できます。
 
発売期間は限定されていますが、連続する4〜5日間、新幹線をはじめ在来線の特急に自由に乗ることができ、6回以内であれば指定席も確保できるパスです。
 
発売期間は原則、梅雨の時期など閑散期が多く、桜や紅葉の時期、年末年始に発売されることはありません。
 
JR東日本地域の全線4日間乗り放題のパスが15,000円、JR北海道の路線を含め5日間乗り放題パスが26,000円、北陸地域(JR西日本エリア)を含めて4日間乗り放題パスが22,000円となっています。
 
東北新幹線の「はやぶさ」で東京=新青森を片道乗車するときの料金が約17,000円ですので、かなりおトク感のあるパスです。ただしグリーン車用のパスはありません。
 
割引パスは、連続した日時で利用する必要があります。最近では会員数も増えているため、割引パスが利用できる期間中は、閑散期にもかかわらず、普段は乗客の少ないローカル路線が混雑することがしばしばあります。
 
同様の割引パスは、JR西日本にもあります。こちらの発売期間もJR東日本と同じ閑散期で、こちらは連続する3日間、新幹線を含めJR西日本の路線に、普通車利用が18,000円、グリーン車利用が22,000円です。グリーン車用パスがあるのが、JR東日本にはない特徴です。
 
新大阪から西へ向かう山陽新幹線の「のぞみ」にも乗車できますが、新大阪=東京間の東海道新幹線には乗車できません。関西から広島、山口、九州方面へ出かける際には大変役に立つパスといえます。
 

大人の休日倶楽部・その他の特典

大人の休日倶楽部の会員となることでの特典はまだあります。切符や割引パスの購入により、かかった料金に応じてポイントが貯まります。これをSuicaにチャージすることや、ポイントに応じて欲しい商品と交換することができます。
 
また、趣味を広げる講座、教養を高める講座、グルメを楽しむ会食会、特別なホテルに泊まるプランなどが数多く準備され、会員が自由に参加する(有料)ことができます。
 
毎月送られてくる会員向けの情報誌も、旅を企画する際に参考になります。元気に旅行をしたいシニア世代にとっては、利用価値の高いサービスと思われます。
 
Text:黒木 達也(くろき たつや)
 

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