老後の貯蓄額は1000万円? 今から考える老後の過ごし方 【女性編】
配信日: 2018.02.14 更新日: 2019.01.10
モデルケースは夫婦2人というのが多いだけに、かゆい所に手が届いていないと感じている人は多いようです。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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収入の柱を太くしようと焦らない
基礎年金だけであれば、年金月額換算で6万円程度となりますから、これだけでは生活を賄うことはできません。補う方法は2つありますが、まず思いつくのが、貯蓄を取り崩して補てんすることでしょう。そこで質問として多いのが、1000万円程度の貯蓄額をどうやって増やしていけばいいかという内容です。
今までまったく投資行動を起こしてこなかった人が、50歳代以降にいきなり投資を始めて大きく増やす、などということは期待しづらいです。ご存知のように金融資産の投資については価額の上下がつきものです。実際、価額の下落が受け入れられず、「やるんじゃなかった」「だまされた」という声が多数です。
その後の上昇まで我慢できれば、「上下する」というのが理解できてくるのでしょうが、その前に解約(換金)してしまうと、元金を棄損するだけで終わってしまいます。不動産投資にしても、あらかじめ元手が必要であること、空室になればまったく収入がなくなり、収入保障サービスがついている場合もありますが、かなりの手数料が控除されることを考慮しなければなりません。
放っておいて、勝手にお金が育ってくれる仕組みを作るには、「時間」を味方につけるしかないのです。
キャッシュインフローをできるだけ継続させる
2つめは、たとえ少額でもキャッシュインフロー(収入)が入ってくる期間をできるだけ延ばすことです。最近では、高齢者であっても採用の対象になっている職場は増えています。時給1000円で1日5時間、1週間3回の勤務だとしても1カ月で6万円になります。
年金のほかにこれだけ継続して収入が見込まれると、精神的にも金銭的にも余裕が出てきます。また同僚ら社会とのつながりで思わぬ行政サービスの知識がはいってきます。こういった耳学問をどれだけ持っているかで、生活そのものの助けになります。
支出をうまく管理できるかがカギ
家計を預かっていた女性のなかには「こまめな節約」に関して得意な人が多いです。
同じ食材を、見た目や味を変えていろいろなレシピにアレンジ。洗濯の仕方にしても、色合いや材質だけでなく天候に応じて量やタイミングを変えるなど、ちょっとした工夫の積み重ねで、収入をより効率的に使う術を長年の主婦としてのキャリアのなかで徐々に身に付けてきたのでしょう。
支出の管理が上手くできれば、年金額が少額でも資産寿命を長引かせることは十分可能です。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表