更新日: 2019.01.08 セカンドライフ

離婚の危機は家計の収支を改善し、老後の生活を立て直すチャンスになることもあります

離婚の危機は家計の収支を改善し、老後の生活を立て直すチャンスになることもあります
子育てが終わって、これから夫婦ふたりの生活に突入~。夫はこれからの生活にいろいろな夢が膨らむようですが、妻はいたって冷静です。むしろ「夫源病」といって、夫の在宅によるストレスによって病気になる例も。夫婦喧嘩は犬も食わぬとは言いましたが、夫婦関係は本人も分からない~突然、長年連れ添った伴侶が離婚したいと言い出すケースもあるようです。今回は家計を見直したことがきっかけで、離婚の危機が迫ったものの、改めてお金のことを考え直し、上手く切り抜けたご夫婦の例をご紹介します。
宮﨑真紀子

Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

50歳代に忍び寄る危機

家計相談に来られたKさん。ご主人は57歳で、会社員をされています。息子さん二人は社会人で、既に独立されています。Kさんは5年前まで会社員でしたが、同居されていたお義母さまの介護のため退職され、現在は専業主婦です。お義母さまは昨年他界されました。
ご相談の内容は、住宅ローンの完済が70歳まで残っているが、ご主人の年収が60歳以降下がってしまうため、このままでは赤字になってしまうので、対策したいということでした。これまでは、家計管理はご主人がされていて、任せっきりだったそうです。或る日、突然ご主人が「このままだと60歳以降はローンが返せない」と言われたとのこと。Kさんにとっては、寝耳に水。そこでFPに相談となったのです。これまで比較的余裕のあった家庭が、55歳以上になって収入が減少したのでどうしましょう?といったご相談例は多いのが現状です。

ご提案したのは、
① 住宅ローンの借り換え(金利2.15%と高い水準のままでした)
② 家計費の見直し
・生命保険の見直し
・マンションは駅から徒歩5分以内の立地。駐車場代が高いので、マイカーを手放す

提案内容を実行していただくことで、収支も改善し、老後も安心して迎えられるようになるはずでした。

暫くして「状況が変わったので、会いたいです」と連絡が入りました。銀行との交渉も上手くいき、借り換えも出来たという報告をいただいていたので、突然何が起こったのかと思いました。
 

離婚を考えたものの踏みとどまった理由

「離婚を考えました」~Kさんの、いきなりの告白に戸惑ってしまいました。
銀行で住宅ローンの手続きをする際に、他の借り入れ状況を尋ねられます。その時に、ご主人の借金が発覚したというのです。
借金の原因はあえて問いたださなかったそうです。多分、見当がついているのだと思います。そもそも、隠し事に対しての怒り~これは相当だったと思います。懸命にお義母さんの介護していた頃、夫に何が起きていたのか。離婚を考えるはずです。

しかしKさんは離婚しませんでした。
彼女には、今後趣味を生かして起業したいという夢がありました。これまで働いて貯めていた預金を、その資金に充てたいという希望があります。今の状態で離婚して財産を分けるというのは、合理的でないと判断したのです。今は無職ですし、起業の準備は出来ていません。正社員として就職には年齢的に不利な点があります。

住み替えでリフレッシュ

更に状況は急展開しました。マンションを売却し、Kさんご夫婦は郊外の一戸建てに住み替えをされました。先にご提案したプランのうち、住宅ローンの借り換え・生命保険の見直しは速やかに行われたのですが、マイカーを手放すことに、ご主人は猛反対されました。ゴルフが趣味なので、絶対に譲歩できないとのこと。元々、将来は一戸建てに住みたいという希望もあったそうです。戸建なら駐車場代がかからないので、話はあっという間に進みました。難色を示していたKさんも、インテリアを自分仕様にリフォームし、庭を整備することで、居心地の良い空間が出来て納得されたようです。
マンションは立地の良さから高額で売却することが出来ました。今回の住み替えで、ローンが無くなったわけではありませんが、かなり圧縮することが出来ました。

FPとしては、家計の収支が改善したことも、夫婦間のイライラを解消することに役立ったのではないかと思います。
数か月後、素敵な新居に、ご招待頂きました。ゆとりある老後に向けて節約を頑張ります~というKさんは、とても幸せそうでした。今回のことがきっかけで、ご夫婦でかなりお話をされたと思います。離婚の危機を乗り越える処方箋は、「多くの会話」では?と納得しました。

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