更新日: 2020.03.09 住宅ローン
【FP解説】住宅ローンの審査が通らない理由は?基礎から学んで準備する
住宅ローンの審査においてこんな疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。自分はどうなのか・・・それは住宅ローンの審査においてどんな項目を重要視しているのか、審査の流れなど理解しておくことで、対策できるものもあります。
執筆者:藤山優里(ふじやま ゆうり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、第一種証券外務員
防衛大学校卒業後、海上自衛隊に入隊するが、体調悪化のため退職。
退職後、自身のお金に関する知識がないことに危機感を持ちFPの勉強を始める。
現在は保険の見直し業務や転職支援などを通して、ライフプランのトータルサポートを行っている。
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目次
住宅ローンの審査ってそもそもどこが見られる?
住宅ローンの審査の基準は、金融機関によって異なります。また、金融機関も審査基準を分かりやすく提示しないことが多いです。しかし、次のような資料があります。
国土交通省のデータによる「平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」では、「完済時年齢」、「健康状態」、「借入時の年齢」などを中心に審査を行っている傾向にあります。さらに、「健康状態」や「担保評価」、「年収」、「連帯保証」といった、金融機関が確実にローンを回収できるかどうかということが、住宅ローンの審査で重要視されていると思われます。
以下の表は、平成27年から29年の調査結果をグラフにしていますが、どの項目も年度によって大きな差はなく、また特定の審査基準に偏ることなく、住宅ローンを借りる方の「信頼性」を評価できる項目について、まんべんなく審査基準とされていることが分かります。
出典:「平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
目の中には、自分自身が審査基準を満たしていないものもあるかと思います。
例えば、転職して間もない頃であれば、勤続年数の基準を満たさないことが多々あります。そのような場合は、審査は落ちてしまうのでしょうか。
金融機関の中には、「スコアリング方式」を採用している会社もあります。
「スコアリング方式」とは、申し込み時のデータを参考に点数化し、その点数によって審査結果を決定する方法です。この方法を採用することにより、たとえ審査基準を満たしていない項目があるとしても、他の項目で審査に通る場合もあります。
この方法を取っていない金融機関で仮に審査基準を満たしていない場合でも、内容によっては審査が通ることもあります。まずは、審査にチャレンジすることからスタートしてみましょう。
出典:「平成29年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
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項目別、通りやすいor通りにくい どんな理由?
ここでは、次の項目における審査が「通りやすい」、「通りにくい」理由を考えてみましょう。「健康状態」、「年収」、「借入などの返済状況」の3つを参考に検討してみます。
まず初めに、健康状態についてです。健康状態はなぜ審査基準として重要になっているかというと、ローンを借りる方が問題なく働けて収入を得ることが出来るか、ということを見ています。また、住宅ローンには「団体信用生命保険」の制度があります。
この制度は、保険会社が残ったローンを金融機関に返済してくれる、いわば保険のような制度です。
万が一借入者が死亡した際に、この制度を利用することで借入がなくなるという利点があるため、生命保険等と同様に、健康状態が芳しくない方は団体信用生命保険に加入できません。
健康なうちに住宅ローンを組むことが大切です。
ローンによって健康状態の基準は異なってきますが、3年から5年のうちに入院をするほどの大きな病気等にかかっていないか、というような項目がポイントになってきます。最終的な判断は団体信用生命保険を引き受ける保険会社が判断しますので、告知の際にはありのままの現状を伝えるようにしましょう。
仮に嘘の告知をして団体信用生命保険に加入できたとしても、万が一の場合に保険金が下りず、家族に迷惑が掛かってしまうため、注意しましょう。
次に年収がポイントになってきます。借入金額が年収の何倍まで借りることが出来るかということは、法律等で明確にはされていません。
そのため、年収の何倍以上は借りることが出来ないという情報をここでお伝えすることは出来ません。しかし、フラット35を取り扱っている住宅金融支援機構のデータに、借入金と年収の倍率のデータがあります。
そのデータを見てみると、
・土地付き注文住宅→年収の7.3倍
・建売住宅→年収の6.6倍
・マンション→年収の6.9倍
・中古戸建→年収の5.1倍
・中古マンション→年収の5.6倍
出典:住宅金融支援機構「2017年度フラット35利用者調査」
このデータから、平均的に「年収の6倍~7倍で借入」という方が多いということが読み取れます。そのため、一つの基準として年収の「6倍~7倍」を考えておくと良いかと思います。
この基準を超えてくると金融機関も審査が厳しくなる可能性もあり、また仮に借入が出来たとしても、返済が難しくなる可能性もあります。
次に「借入などの返済状況」を考える必要があります。主なものとしては、「クレジットカードの支払い状況」、「過去の借入が返済されているか」、「現在ローン以外での借入はないか」などがあります。金融機関によって審査基準は異なりますが、一般的には「指定信用情報機関」(CIC)のデータに過去の返済状況が残されています。
また、クレジットカードの「キャッシング枠」が多いと借入可能額が低くなってしまう可能性があります。これは、ローン以外にも借入が出来る状態であり、金融機関がクレジットカードでの借入も考慮して貸出額を決定しないといけないためです。
ここまで対応している人は少なくないと思いますが、可能性としてはあります。
仮審査、本審査違いは?必要な書類と審査の流れとは?
住宅ローンの審査には、「仮審査」と「本審査」の2つがあります。簡潔にまとめると、「仮審査」では、返済能力などの審査、「本審査」では返済できなかった時のセーフティネットがあるかどうかが審査の基準となります。それぞれどのような手順で審査が行われるのでしょうか。
仮審査では、まず信用情報の照会が行われます。先ほども例として挙げました通り、CICなどのデータによる金融事故等の調査が行われます。ここでは、信用情報に「異動」いわゆるブラックリスト状態ではないかということがまず大前提になります。
また、ブラックリストではないものの、クレジットカードの審査と同様、短期間で多くのローンの申し込みがあった場合は、信用情報が仮に問題ないとしても審査に落ちてしまう可能性があります。まずは、「ブラックリストではないこと」と「ローン等の借入の申し込みを集中させないこと」が重要になってきます。
仮審査は、仮審査の申込書類に記入をし、金融機関が求める書類を提出することで行われます。必要書類は事前に確認しておきましょう
本審査は仮審査に通った方のみ行われます。本審査では、主に借入を行った方が返済不能になった場合のセーフティネットを確保します。
仮審査と同様に、金融機関の必要書類をまとめ、審査書類を記入します。必要書類がすべて揃うと、本審査が始まります。「在籍確認」、「反社会的勢力との関わりがないかの調査」などが主に行われます。
「在籍確認」では、お勤め先の会社等に電話をかけ、本当にその人が会社に在籍しているかを確認します。「反社会的勢力との関わりがないかの調査」は、借入金が暴力団に利用されないかが調査されます。これらの審査をクリアすると、晴れて借入が受けられることになります。
次に必要書類についてです。
必要書類は、金利タイプや物件によって異なってくる事がほとんどです。
ここでは、お申し込み時にご用意頂く書類でほとんどの方に必要なもののみ挙げていきます。
- ✓・ローン借入申込者(個人情報の収集・保有・利用・提供に関する同意書)
- ✓・ご本人様を確認できるもの(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード 等)・印鑑
- ✓・収入確認資料(給与証明書、源泉徴収票、住民税決定通知書、課税証明書 等)
- ✓・団体信用生命保険申込書兼告知書
これらの書類が必要になることがほとんどでしょう。
もちろん、これ以外にもタイプ、物件によっては違うので詳細はそれぞれの金融機関のHPをチェックしましょう。
審査が甘くなる方法は?商品別に違いはある?
住宅ローンを借りるにあたって、審査の基準が甘いかどうかは気になるところかと思います。しかし、住宅ローンの審査が甘いかどうかは厳密に見極めることができません。ただし、審査を円滑に進める方法はいくつかあります。
その方法は、「滞りなく返済できている状況を作る」ということです。この方法以外に、ローンの審査が甘くなる、通りやすくなることはまずありません。大前提としてこの状況を作り出すことが重要です。商品や金融機関によって、もちろん審査基準に違いがありますので、審査の申し込みをする前に検討する必要があるかと思います。
審査が甘くなる方法というのは、存在しないと考えた方がいいでしょう。
借り換えと新規 審査基準に違いはある?
住宅ローンには、「新規」と「借り換え」の2種類があります。住宅ローンは新規だけでなく、金利が下がったため借り換える、ということもあります。その場合、審査基準には違いがあるのでしょうか。金融機関がそれぞれに基準を定めていますので、確実なことはここではお伝え出来ませんが、主な審査基準は大きくは変わりません。
しかし、借り換えをする際に審査に通りづらくなるケースがあるので、注意が必要です。
そのケースとは、
・完済する年齢が借り換えにより長引く
・借り換えの際に他の借入をしている場合
この3つです。
特に見落としがちなのが、借り換えの際に、お子様の教育ローンや自動車のローン等を借入している場合です。
そうなると、他の借入との兼ね合いで審査が通りづらくなるケースもあります。まずは、ご自身の借入の状況を把握しておく必要があります。
また、借り換えの際にも団体信用生命保険の健康状態の告知が必要になります。借り換えも、健康なうちに行うことが重要です。
なぜか審査に通らない。見落としている審査前の準備
住宅ローンを検討しているが、どうしても審査に通らないケースもよくあることです。その際は、次のようなポイントに気を付けましょう。
・CIC等の情報に傷がついていないか
・他の借入を調整できないか
この3つを見直してみましょう。
まずは、健康状態に関してですが、団体信用生命保険の告知に当てはまるものがないかを確認しましょう。仮に当てはまる場合は、告知に引っかからずに団体信用生命保険に加入できる住宅ローンを探すなどして対応する必要があります。
次に、CIC等の情報に傷がついていないかどうかですが、前述したように、住宅ローンの審査に通るためには、ブラックリストになっていないかが重要です。CICなどの信用情報はご自身でも取得することができますので、不安な場合にはあらかじめ取得して状況を確認しておくと安心でしょう。
最後に、他の借入の調整についてですが、一番良いのはすぐに返せるのであれば他のローンを完済することです。
これらの調整によって、少しでも住宅ローンの審査が通りやすくなるかと思われます。
執筆者:藤山優里(ふじやま ゆうり)
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※固定金利特約は2年、3年、5年、10年、15年、20年、30年、35年からお選びいただけます(保証付金利プランとなる場合は、3年、5年、10年に限定されます)。
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※ただし、審査の結果金利プランが保証付金利プランとなる場合、ミックスはご利用いただけません。
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