奨学金300万円を「月1万円ずつ」返済すると返済が終わるまでに何年かかりますか?

配信日: 2025.06.14

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奨学金300万円を「月1万円ずつ」返済すると返済が終わるまでに何年かかりますか?
奨学金制度では、原則として借り入れした奨学金を卒業後に分割で返済します。
 
しかし、奨学金を借りている全員が卒業後すぐに就職でき、収入が安定するとはかぎりません。減額制度も利用できますが、一般的に返済額が少ないと返済期間が長期になるため、不安を感じる人も少なくないでしょう。
 
そこで本記事では、300万円の奨学金を毎月1万円ずつ返済した場合の返済期間や、減額制度について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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奨学金の種類と概要

日本学生支援機構は法律に基づいて設立された、学生を支援するための独立行政法人です。さまざまな事業を行っていますが、基幹事業は奨学金貸与事業です。
 
この事業によって経済的な理由で諦めることなく進学が可能となります。奨学金には、貸与だけでなく返済が不要な給付型もあります。本章では、貸与奨学金と給付奨学金の概要と違いを解説します。
 

貸与奨学金の概要

貸与奨学金とは、将来的に返済が必要な奨学金のことです。日本では、多くの学生が日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金を利用しています。貸与奨学金には、主に以下の2つの種類があります。
 
■第一種奨学金(無利子)
学力や家計基準を満たす学生に対して、利子なしで貸与される奨学金です。借りた金額だけを、卒業後に返済します。
 
■第二種奨学金(有利子)
より幅広い学生が対象ですが、利子がつくのが特徴であり、利率は貸与終了時に決定します。2025年5月に貸与が終わった人の利率は、利率固定方式が年1.812%、利率見直し方式が年1.000%と比較的低めですが、返済期間が長いと利息分も増えるため注意が必要です。
 
貸与奨学金は、毎月一定額が振り込まれ、卒業後に分割して返済していく形式です。返済方法には「定額返済方式」と「所得連動返済方式」がありますが、所得連動返還方式は第二種奨学金の2017年度以降貸与者など、対象者が限定されています。ただし、返済が必要なため、「借金である」という意識を持つことが大切です。
 
将来の返済負担を軽くするためにも、借りすぎには注意し、利用前にしっかりとした計画を立てましょう。
 

給付奨学金の概要

給付奨学金は、原則として返済不要の奨学金です。家計が厳しい家庭の学生を支援する目的で提供されており、近年制度の整備が進んでいます。代表的なのが、文部科学省の「高等教育の修学支援新制度」です。この制度では、以下のような支援が受けられます。


・毎月の給付金(最大で年間約91万円)
・入学金や授業料の減免措置

対象となるのは主に住民税非課税世帯やそれに準じる世帯の学生で、学力や出席状況など一定の基準を満たす必要があります。給付型奨学金のメリットは、何といっても返済義務がないことです。将来の負担を心配せずに学業に集中できる環境を作ることができます。
 
ただし、利用には申請手続きが必要で、家計状況の証明や大学・高校の協力が求められます。また、支援を受けながら著しく学業成績が低下すると、支給の停止や取り消しとなる場合もあります。
 

300万円の奨学金の返済年数

300万円の奨学金の返済年数を考える場合、毎月の返済額が返済年数に大きく影響します。また、返済年数に限度があるのかどうかも考慮しなければなりません。さらに奨学金の返済には減額返還制度があるため、制度の利用も検討する必要があります。
 
以上を踏まえたうえで、300万円の奨学金を毎月1万円ずつ返済した場合の返済年数を解説します。前提は大学での第二種奨学金の利用とします。
 

300万円を毎月1万円ずつ返済した場合の返済年数

第二奨学金の返済月数(月賦返済)は、以下の計算式で求められます。
 
貸与総額 ÷ 割賦金の基礎額 × 12
 
基礎額は貸与総額に応じて定められており、300万円なら17万円です。したがって、返済月数は204ヶ月(300万円 ÷ 17万円 × 12)となります。
 
日本学生支援機構のシミュレーションによると、年利0.940%で返済する場合、毎月の返済額は1万5984円(204回、最終月は1万6246円)です。返済額を月1万円におさえるには、減額返還制度を利用する必要があります。
 
第一種奨学金は初年度にかぎり返還額が半額(申請で2000円まで可)となるため、1万円以下の返済も可能です。
 

減額返還制度を利用した場合の返済年数

上記のシミュレーションによると、第二種奨学金300万円を通常通り返済する場合は、毎月約1万6000円を204ヶ月で返済することになります。就職後、毎月の返済が厳しい場合には、減額返還制度を利用すると返済金額を1万円以下に減らすことが可能です。
 
減額返還制度では、1回あたりの返済額を3分の2、2分の1、3分の1または4分の1に減らすことができます。1万6000円を3分の2に減額した場合、約1万600円の返済額となります。減額の適用期間は最長15年に延長となるので、返済期間は最長32年(17年+15年)となります。
 
ただし、減額返還制度を利用するには、給与所得者で年収400万円以下などの条件があるので注意しましょう。
 

奨学金の返済が厳しい場合は減額返還制度の利用を検討しよう

有利子の奨学金を利用した場合、返済年数には限度があり、300万円の奨学金では最長204回です。そのため、300万円の奨学金を毎月1万円で返済するのは厳しいと感じる人も多いでしょう。
 
しかし、奨学金減額返還制度を利用すれば、一定期間は約1万円で返済することが可能です。すべての期間を1万円で返済することは難しいものの、年収が低い間は減額返還制度を活用しましょう。
 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 奨学金制度の種類と概要
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーション
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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