更新日: 2020.03.09 住宅ローン
先が見えにくい時代だからこそ住宅ローンは固定金利?変動金利?
それぞれの事情によって正解は変わり得ると思いますが、ここでは一般的に留意しておくべき点を挙げてみます。
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
マネー・マーケット・アドバイザー
証券アナリスト、FP1級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級
国内外の金融機関で、マーケットに関わる仕事に長らく従事。
現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、マーケットに関する情報等を発信している。
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※ただし、審査の結果金利プランが保証付金利プランとなる場合、ミックスはご利用いただけません。
※審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合には上記の金利とは異なる金利となります。金利プランが保証付金利プランとなる場合は、固定金利特約が3年、5年、10年に限定されます
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人気があるのは変動金利型
住宅ローンには、大きく変動金利型と固定金利型があり、その中間に固定期間選択型があります。固定期間選択型は、当初選んだ期間は固定金利ですが、その後は変動金利や、商品によっては新たな固定期間を再度選択するものです。
いずれにしても、当初の固定期間終了後は、その時の金利情勢次第で、新たなローン金利が決まります。現状では、変動型よりも固定型の方が金利は高く、また固定型の中でも期間が長いほど金利が高くなっています。
2018年11月に日本住宅支援機構が発表した調査(※)によると、2018年度上期に民間銀行が新たに貸し出した住宅ローンのうち、一番多かったのが変動金利型でした。全体に占める比率は57%に上り、前回調査からも0.5%増加しています。
一方、全期間固定金利型は17.7%と最も人気がなく、残りの25.3%が固定期間選択型となっています。借り手の半分近くが、金利の低さを最優先している様子が見て取れます。
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低金利が長く続くと考えるのは危険
確かに、住宅ローンの返済は家計の大きな負担であり、金利は低いに越したことはありません。しかし、金利は動くものです。将来に金利が上昇した時にも、返済が続けられるかどうかを考えておく必要があります。
このように書くと、「国が借金まみれとなっている日本では金利を上げられるわけがない」「利上げが必要になるインフレどころか、デフレ脱却さえまだ見えない」などといった反論が聞こえてきそうです。
しかし、住宅ローンの金利を検討する際には、返済までの20年や30年、あるいはそれ以上の期間を想定する必要があるのです。来年か再来年には車が空を飛んでいるかもしれないような、変化の速い時代にいる我々には、今や10年先のことさえ想像するのは簡単ではありません。
金利が上昇するのは、物価上昇が激しいインフレの時だけではありません。国の財政が大きく悪化して、国債の発行が難しくなった時にも上昇します。
円安が進んで、国が為替防衛のために利上げを行うことも可能性としてあり得ます。日銀が金利を上げなくても、銀行が経営悪化のために貸し出し金利を上げる場合もあるかもしれません。
これらはどれも、現時点では可能性として低いものです。しかし、現時点の日本の政策金利がマイナス圏にあることを考えると、今後金利は急上昇をしなかったとしても、わずかでも上昇する可能性は非常に大きいと考えておくべきでしょう。
社会の形や働き方が大きく変化する時代だからこその考え方も
加えて、20年後、あるいは30年後、自分の仕事がどうなっているか明確に想像できる人も少なくなっているのではないでしょうか。
AIが本当に人の仕事を奪うのかどうかは分かりません。しかし、既に終身雇用はあまりあてにできず、多くの企業で副職を勧めるような動きがみられています。
また、人口減に転じて空き家が急増している日本では、住宅ローンが苦しくなったからと言っても、すぐに自宅が転売できるかどうかも怪しくなっています。それでなくても不確定要素が多いこれからの時代の人生に、住宅ローンの返済額まで不確定にしておくのはちょっとスリルが多すぎる気がします。
固定金利型の最大のメリットは、返済額が確定していることです。返済額が確定していれば、いざという時も対応を考えやすいでしょう。
変動型より金利が高いと言っても、今は過去最低水準の金利なのです。変動型よりも高い固定型の金利分は、将来の金利上昇などに備えた保険料だという風に考えても良いと思います。
ただし、早めにローンが完済できそうだという場合は話が異なります。先に述べた住宅支援機構の調査では、2016年度に固定期間選択型の住宅ローンを借りた人のうち約半数が、当初の固定期間を10年と選択しました。
この10年の間にローンを完済できる見込みのある人は、全期間固定型よりも低い金利で、かつ実質的に金利変動のリスクなしで借りられることになります。
このように自分の完済時期が読める場合には、それに合わせた柔軟なローン選びをすることが可能です。ただしその場合も、想定外のリスクにも心配りをして、余裕のある返済計画を心掛けることは当然必要でしょう。
出典
※住宅金融支援機構 2018年度 民間住宅ローン利用者の実態調査
執筆者:北垣愛(きたがき あい)
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