更新日: 2020.03.09 住宅ローン
被災者を救済する住宅ローンなどの免除、減額制度ってどんなもの?
災害の際に、国が地方公共団体やその他の団体などとの協力のもとに、応急的に必要な救助を行い、被災者保護と社会秩序の保全を図ることを目的とする「災害救助法」という法律があります。
ちなみに、平成30年中に災害救助法の適用地域となったのは以下の通りです。(平成30年11月30日現在)
(1)大雪による被害地域【福井県】
(2)豪雪にかかる被害地域【新潟県】
(3)大阪府北部を震源とする地震にかかる被害地域【大阪府】
(4)豪雨にかかる被害地域【高知県、鳥取県、広島県、岡山県、京都府、兵庫県、愛媛県、岐阜県、福岡県、島根県、山口県】
(5)大雨にかかる被害地域【山形県】
(6)北海道胆振東部地震にかかる被害地域【北海道】
災害救助法が適用されると、収容施設の供与、炊き出し、医療などの救助活動などの救助が実施されるとともに、保険会社では保険金の請求手続や、保険料の払い込み猶予などの特別措置がとられます。
さらに、住宅ローンなどの返済を抱えた被災者を救済するため、一定の条件で免除や減額を申し出ることができます。
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
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被災者の債務整理のためのガイドライン
自然災害による被災者で、住宅ローンなどがある個人や、事業性ローンを借りている個人事業主が、ローンの返済を抱えたままでは、復興に向けて困難に直面することが予想されます。
そのため、平成27年に「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が取りまとめられ、災害救助法の適用を受けた自然災害による被災者に対して、住宅ローンなどの債務を弁済できなくなった場合においても、破産手続などの法的手続(破産手続や再生手続)によらずに、債権者と債務者の合意にもとづき、債務整理(住宅ローンなどの免除、減額の申し入れ)をすることができます。
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ガイドラインによる支援策
債務整理については、被災者の財産や収入、信用、債務総額、返済期間、利率などの支払い条件、家計の状況などを総合的に考慮して判断されますが、手続として、簡易裁判所の「特定調停手続」を利用することが条件となります。
とはいえ、特定調停手続を一般の方が自力で行うのは、極めて困難であるため、ガイドラインではさまざまな支援策が示されています。
ガイドラインにもとづいて債務整理をするメリットなどは、次の通りです。
(1)特定調停手続の支援を弁護士などの「登録支援専門家」から無料で受けることができます。
特定調停手続支援の大まかな流れは、「金融機関などへ手続着手の申し出」→「専門家による手続支援の依頼」→「債務整理開始の申し出」→「調停条項案の作成」→「調停条項案の提出・説明」→「特定調停の申し立て」→「調停条項の確定」となります。この一連の支援を登録支援専門家から無料で受けることができます。
さらに、特定調停の申し立ての際は、手数料についても法令上の手当により無料となっています。
(2)財産の一部を手元に残すことができます。
具体的には、被災者の被災状況や生活状況などの個別事情により異なりますが、預貯金などの財産の一部をローンの支払いに充てずに「自由財産」として残すことができます。
(3)個人信用情報として登録されることはありません。
ガイドラインにもとづく債務整理の場合、破産手続や再生手続とは違い、債務整理をしたことが個人信用情報として登録されないため、今後の新たな借り入れに影響を及ぼしません。
まとめ
前述の通り、平成30年中(11月30日現在)に災害救助法の適用地域となったのは、実に16道府県にも及んでいます。日本中、いつ、どこで、自然災害に巻き込まれてもおかしくないということがいえるでしょう。
万が一の事態に際し、過度に動揺することなく、各人がより冷静に対処できるよう、被災時の対応についてどのような制度があるかなどを、日頃からしっかりと確認しておきましょう。
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
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