更新日: 2020.03.09 住宅ローン
あなたは説明できますか? 住宅ローンの「変動金利」のメリット・デメリットって? どんな人に向いているのか
金利上昇時の対策は考えていますか?
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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住宅ローン利用者の実態
住宅金融支援機構が2018年4月10日~16日に行った調査によると、住宅ローンの金利タイプでは、「変動型」の利用割合が56.5%と最も多く、次いで、「固定期間選択型」が30.1%、「全期間固定型」が13.3%となっています。
一方、「変動型」「固定期間選択型」を利用した方に、住宅ローンの商品特性や金利リスクの理解度を聞いたところ、「理解しているか不安」または「よく(全く)理解していない」との回答が4割から5割に達しています。また、金利上昇に伴う、返済額増加への対応については「見当がつかない、わからない」という回答が2割近く存在しています。
今からでも遅くありません。商品特性や金利リスクについて理解し、金利上昇時の対策も考えておきましょう。
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「変動金利」のメリット
「変動金利」は、短期プライムレートなどに連動して変動します。短期プライムレートは優良企業に対する短期の貸出金利のことで、政策金利の動向で上下します。適用金利は通常、半年に1回見直されます。一番のメリットは金利の低さにあります。
某銀行の10月の融資利率は、「変動金利型」は年0.625%~年0.775%、「固定金利特約型10年」は年1.55%~年1.70%、「超長期固定金利型」(20年超35年以内)は年1.79%となっています。
先の調査でも、住宅ローンを選んだ決め手(フラット35利用者以外の方)は、「金利が低いこと」が69.7%を占めています。
金利以外のメリットとしては、変動金利から固定金利への変更がいつでもできる点があります。「変動金利が上がったら固定金利に変更すれば良い」と考えがちですが、その時には固定金利は上昇してしまっています。なぜなら、通常、固定金利、変動金利の順に上がるからです。
また、「変動金利」には元利均等返済の場合、金利が上昇しても5年間は返済額が変わらない(「5年ルール」)、5年後に返済額が増えても元の返済額の125%を超えることはない(「125%ルール」)という点もメリットといえます。
「変動金利」のデメリット
「5年ルール」「125%ルール」はデメリットでもあります。つまり、金利が上昇しているのに返済額が変わらないということは、支払額のうち利息の占める割合が多く占めていることを意味します。金利が上昇し続ければ支払額の多くが利息の支払いに充てられ、元本が一向に減らないということにもなりかねません。
現状では、可能性は低いと思いますが、金利が急上昇した場合には、毎月の利息額が毎月の返済額を超えてしまうケースもあり得ます(「未払い利息」の発生)。
このように「変動金利」は金利が上昇すると返済計画が狂ってしまいます。
「変動金利」を選んでもいい人
金利上昇に鈍感で5年後の返済額見直し時に元本がほとんど減っていないことに気付くような人は向いていないでしょう。今までは、超低金利が続いていたので、金利の低さだけの理由で変動金利を選択した人は、金利動向に無頓着でも、たまたま得をしたといえます。
しかし、いつまでも超低金利が続くとは限りません。いつ金利が上昇してもいいように常に金利の動向をウォッチでき、金利変動に応じて固定金利への切り替えなどの対応ができる人、あるいは、繰り上げ返済など金利上昇時に元本を減らすことができる人が「変動金利」を選んでもリスクに対処できます。
通常の会社員は、金利が上昇しても給料が上がりにくく、また、上記の対応が難しいと思いますので、基本的に「変動金利」はリスクが大きいと思います。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
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