更新日: 2019.05.17 その他ローン

今どき【残クレ】?自動車購入前に考えたいローン

今どき【残クレ】?自動車購入前に考えたいローン
生活に必要、気分転換のドライブや買い物の時にあると便利、単純に車が好きで生活費を削っても欲しい、「いつか、あの車に乗りたい」を目標に日々頑張っている…車の種類も、人の想いもさまざまです。
 
車は決して安い買い物ではありませんので、購入時にはじっくり検討したいものです。
 
今回は、メーカーも販売店も力を入れている自動車ローンの一つである、「残価設定型クレジット(ローン)」について考えてみましょう。
 
大竹麻佐子

Text:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

「残価設定型ローン」とは

「残価設定型ローン」とは、あらかじめ数年後の価格(買取保証額=残価)を設定し、その額を差し引いた分を分割して支払うローンです。
 
例えば、300万円の車を購入する際に、5年後の買取保証額を120万円と設定された場合、残りの180万円を4年と11カ月間、分割で支払うことになります。300万円の5年間のローンを組むよりも月々の支払い額を抑えることができます。
 
5年経過した時点(最終回支払い時)で、次の3つの選択肢となります。(1)新しい車に乗り換える。(2)その車に乗り続ける(残価を一括払い、もしくは、再度ローンを組む。(3)車を返却する。(シミュレーション参照)
 
★新車300万円(車体価格、各種オプション費用込み)の場合
■残価設定型クレジット
頭金なし・残価定型ローン金利4.8%

頭金:50,000円
返済額:1~59回目 38,000円←59回分の支払額2,242,000円
(月々) 60回目 1,200,000円
   ↓
(4年11ヵ月後)最終回を前に、

★選択肢★
(1)新しい車に買い換える:残価を頭金として新しいローンを組む
(2)-1 一括返済:総支払額3,492,000円
(2)-2 残価を再びローンで返済(再ローン・金利6.8%・3年)

1~36回目 37,000円(36回分の支払額1,332,000円 総支払額(計8年間)で3,624,000円
(3) 車を手放す(返却する) 総支払額2,292,000円
 

「残クレ」メリットの検証

◇支払い額が抑えられる… 確かに月々の負担は抑えられますが、支払いの先送りであることを認識しなければなりません。
 
借入額は、あくまでも300万円ですので、当然300万円に対する利息を支払うことになります。最終回を前に、乗り続けたいけど手持ちの現金がない場合、その残価に対して再度ローンを組むことになり金利は上がります。
 
◇買取保証で安心… 気を付けなければいけないのが、キズ、修理歴や走行距離オーバーによる評価減の可能性です。場合によっては支払いが発生します。
 
◇申込み手続きがスムーズ・・・ 多くの場合、各メーカー関連会社でのローン取扱いとなります。そのため、車を購入する販売店で申込み、審査、手続きを一貫して行うことができ、時間、手間、必要書類などを省けます。見積書の時点で残クレでの払込みが記載されており、よくわからないまま署名してしまうケースも多いようです。
 
◇通常のディーラーローンより低金利で設定…メーカー各社、販売店、車種により条件は異なりますが、概して、残クレの金利が低く設定されています。売る側から考えると、「残クレ」利用顧客は、数年後の新車販売の見込み客となり、囲い込みが可能となります。
 
時期の予測、関心も理解できるので効率的ですね。低金利での設定も納得できます。なお、金利や総支払い額の観点から、銀行などのマイカーローンについても比較したいものです。

 

「残クレ」に向いている人

当然、「車を手放す」ことが前提にある方に向いています。
 
子育て世代や生活環境の変わる一定期間に車のある生活をしたい人には、保有期間中、負担が抑えられるので、よい仕組みかもしれません。逆に、長く乗りたい人や、現在もしくは数年後に資金不足が考えられる方は、再検討が必要です。
 
また、「残クレ」できるのは、すべての車種、グレードが対象ではありませんので確認が必要です。
 

それぞれの価値観で選択すること

ファイナンシャルプランニングにおける「車の購入および維持費用」を考えた場合、最も効率的なのは現金で購入、長く乗り続けることです。
 
「このくらいの返済額なら大丈夫かも」「購入予定車種のワンランク上にしよう」と思いがちですが、勧められるがままにローンを組んでしまうことは避けたいものです。
 
価値観、夢や希望は、人それぞれですが、仕組みを知ったうえで選択することが大事です。車があることによって、日々、笑顔で過ごすことができれば何よりです。
 
Text:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表

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