更新日: 2020.03.09 住宅ローン
知っている人と知らない人では『100万円以上の差』意外なところで差がつく住宅ローン
マイホームを購入したいと思ったとき、物件や住宅ローンについては、少しでも最良の選択をしたいとの思いで徹底的にこだわる人も、住宅ローン控除となると、無頓着な人が多いようです。
「マイホームが人生最大の買い物」なら、「住宅ローン控除は人生最大の節税策」と言っても過言でないほど、住宅ローン控除で得られる(取り戻せる)額は大きい額です。
しかもその額、ローンの組み方しだいでもっと増やすことができる。その差、10年間で数十万円どころか、100万円以上になることも! これは見逃せないですよね。
住宅購入後の家計に直結、だけじゃない! 繰り上げ返済にも影響が大きい住宅ローン控除。差がつくその要因とは。
執筆者:平田純子(ひらた じゅんこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター
大阪市立大学・生活科学部・住居学科卒業。電機メーカーで商品企画の仕事を経て、好きが高じて、株式会社良品計画に中途入社。無印良品の店舗にて、家具やカーテン、照明のコーディネート提案を得意とする店長として10年以上勤務。しかしある時、お金に無計画・無頓着に過ごした自身のこれまでの人生を振り返り、後悔の念。豊かな人生を送るために、ライフプランニングの必要性を痛感。その必要性をより多くの人に伝えたいとの思いで、ファイナンシャルプランナーを志す。
現在、ファイナンシャルプランナーとして、ライフプランとキャッシュフロー分析・アドバイスを個別相談で行う傍ら、セミナー講師,や執筆も行う。得意分野はライフプラン(資金計画)、生命保険見直し、資産形成・運用。お金の相談に加えて、インテリア計画や片付け、収納計画についても、ご要望に応じて相談を承っている。
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目次
人生最大の節税策「住宅ローン控除」とは
正式名称は、「住宅取得借入金等特別控除」と言います。「住宅ローン減税」とも言われることもあります。
その概要は、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得または増改築等をし、要件を満たすときにおいて、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の1%が10年間にわたり所得税から控除されるというものです。
所得税から控除しきれない場合は、住民税からも一部控除されます。
そのほかポイントは以下のとおりです。
・最大控除額は、年間40万円。10年間で400万円。
・要件を満たせば、中古住宅にも適応可。
・住宅ローン借入期間は10年以上であること。
・床面積が50㎡以上であること。
・控除を受ける個人が引き続き居住していること。
・年間の所得金額合計が3000万円以下であること。
・勤務先からの借入等、無利子、0.2%未満の金利や、親族・知人からの借入は適応不可。
そして今回、最も注目したいポイントが、
・住宅ローンを借り入れる個人が申請。世帯単位ではない。
という点です。控除額(減税額)に差がつく要因がこのポイントに隠されているのです。
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100万円以上の減税差? そのカラクリとは
住宅購入を検討中のある世帯事例で確認してみましょう。
・家族構成:夫、妻、子(2歳)
・収入:夫(500万円)、妻(300万円)
・住宅ローン借入額:5000万円
・住宅ローン詳細:元利均等返済、35年固定金利1.5%
・入居時期:2018年10月
夫の単独名義で借りた場合、その減税額の目安は10年間合計で約280万円となります。一方、夫婦でペアローン(夫:3000万円 妻:2000万円)を組んだ場合、夫の減税額は約260万円、妻の減税額は約140万円、世帯合計400万円となります。
家族で住む住宅ですが、所得がある2人の個人それぞれが住宅ローンを組み、それぞれ住宅ローン控除を申請すると、その差、ざっくり100万円以上となるのです。
なお、上記シミュレーションは、あくまでも目安額で、所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみを考慮しています。
さらなる優遇措置「すまい給付金」とは
消費税が8%に引き上げられた平成26年4月以降に引き渡された住宅から適応されていて、住宅取得者の負担をかなりの緩和する制度です。住宅を取得する収入が一定以下の人がその対象者となるものです。
今後、消費税が10%に引き上げられた際には、さらにその給付金額や適応される収入枠が拡大される見込みです。平成33年12月末までに引き渡し、入居開始の物件がとの対象です。
上記設定家族の場合、妻がローンを負担した場合において、すまい給付金の対象者となり、住宅ローン控除額とは別に30万円の給付が受けられます。
つまり、夫単独でローン組む場合に比べ、ペアのローンで組めば、約150万円の実質収入アップとなりますね。
住宅ローンは、いったん付き合いが始まると、人生のなかで長い長いお付き合い
住宅ローン減税という側面においては、夫単独でローンを組むよりは、夫婦ペアローンで組んだほうがメリットになりそう、ということが見えてきました。
しかし、金融機関に支払う諸費用という側面ではもちろん、単独名義よりペアローンのほうがその諸費用合計金額はアップします。また、住宅ローン返済開始後、収入が下がる事態(退職や転職、産休・育休など)となれば、当初見込んでいた住宅ローン減税は受けられないことになります。
いったんお付き合いが始まると、何十年もの長きにわたる住宅ローンだからこそ、数社の金融機関の比較検討は当然のこと、今後の家族のライフイベント・ライフプランの側面など、さまざまな条件設定でのシミュレーションを重ねたうえで、納得のいく決断をしてほしいと思います。
Text:平田 純子(ひらた じゅんこ)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級建築士、インテリアコーディネーター
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