更新日: 2019.05.17 子育て

あきらめないためにも知っておこう。不妊治療の方法と受けられる助成制度。

あきらめないためにも知っておこう。不妊治療の方法と受けられる助成制度。
現代では晩婚化などの要因により、第一子を持とうと考える年齢が高くなり、それに伴い不妊に悩む夫婦の数も増加傾向にあります。
国立社会保障・人口問題研究所の2015年の調査では、妻が30代でこどもがいない夫婦のおおむね3組に1組が不妊の検査や治療の経験があったという報告もされています。
加藤桂子

Text:加藤桂子(かとう けいこ)

CFP(ファイナンシャル・プランナー)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
㈱ファイナンシャル ファシリテーターズ 代表取締役
東京外国語大学を卒業後、大手企業を対象とした語学講師を務める。退職後にFP資格を取得し、外資系金融機関に勤務。FPとして独立後は、「大切な人がより豊かになるために、選び抜かれた情報と優れたアイデアを」をモットーに会社を設立。個人・法人のご相談にのる傍ら、セミナー講師や執筆活動を行っています。
http://www.fpkato.jp/

そもそも「不妊」とはどのような状態?不妊に対してどのような治療があって費用はどのくらい?

こどもを望んでも自然に妊娠しない期間が1年以上続いた場合を一般に不妊症といいますが、原因はさまざまで、女性にも男性にも原因が考えられます。不妊症が疑われた場合、妊娠を望むのであれば医療機関での治療を検討することになります。
 
医療機関に行って不妊の原因がわからない場合に最初にすすめられるのが「タイミング法」です。検査によって排卵日を予測し、それに合わせて夫婦関係を持つことで妊娠する方法で、費用は医療機関によりますが、5000円から1万円ほどかかります。
次にすすめられるのが「人工授精」です。
これは、あらかじめ採取した精子を、排卵のタイミングに合わせて子宮内に注入し、妊娠する方法です。
 
費用は1万から3万ほどかかります。ここまでは比較的低額で受けられる治療ですが、これらの治療を受けても妊娠しない場合は高額の治療も検討していくことになります。
 
「体外受精」は女性の卵子を取り出して、あらかじめ採取された精子と容器の中で受精させ、受精卵を女性の子宮内にもどす方法です。費用は30万から50万ほどかかります。
 
また、「顕微授精」は顕微鏡下で卵子に直接精子を受精させる方法で、やはり30万から50万ほどかかります。「体外受精」「顕微授精」ともに治療費は高額ですが、その分高い効果が期待できます。
 

自治体の助成が受けられる不妊治療は?金額はどのくらい?

高額な治療費のかかる「体外受精」と「顕微授精」、それ以外にも男性の不妊治療手術の一部について自治体からの助成が受けられます。
 
1回の治療につき上限は15万円で妻の年齢によって受けられる回数が異なります(妻の年齢40歳未満で通算6回、40~43歳で通算3回)。助成が受けられる主な要件としては、申請日においてご夫婦のどちらかが住民登録をしていること、自治体指定の医療機関で該当する不妊治療を受けていることや申請日の前年の夫婦の所得の合計額が730万円未満であることなどがあります。
 
助成を受けたとしても全額をまかなえるわけではないのですが、不妊治療を考えているご夫婦にとっては金銭的に大きなサポートとなります。
 

不妊治療以外にもこどもを望むご夫婦が受けられる助成があります。

なかなか妊娠することができない「不妊症」以外にも、妊娠状態が継続できない「不育症」(2回以上の流産・死産や新生児死亡の既往がある場合)に対しても助成が受けられます。不育症治療等に要した費用に対して、1回の治療期間につき10万円までを上限として、助成金が交付されます。
 
不妊症・不育症ともに自治体によっては助成の金額を上乗せしているところもあります。お住まいの自治体がどんな助成を行っているのか、一度確認してみましょう。
 
Text:加藤桂子
CFP(ファイナンシャル・プランナー)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
http://www.fpkato.jp/

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