更新日: 2019.01.10 その他
転職前にみきわめよう!従業員が働き続きたい会社とは?
私が、公認会計士として多くの企業を見てきて、感じたことをご紹介したいと思います。どこを重視するかは人それぞれですが、誰でも毎日楽しく会社に行きたいのは共通ですよね。どんなに条件がよくても、毎日出勤するのが辛くて仕方ないというのは残念な話です。
そのような会社に勤めていると、いずれ我慢の限界がきてしまいます。社員がイキイキと、長く働き続けたいと思えるような「良い会社」はどのように見極めればいいのでしょうか。
Text:小泉大輔(こいずみ だいすけ)
株式会社オーナーズブレイン 代表取締役
公認会計士・税理士
1970年東京都生まれ。上智大学経済学部卒業後、公認会計士となり、朝日監査法人(現在:あずさ監査法人)で監査実務、及び、M&A,株式上場支援に携わる。
2003年に、独立し、(株)オーナーズブレインを立ち上げ、現在は代表取締役であるとともに、2社の上場会社の役員も兼任する。共著著書に『コーポレート・ガバナンス報告書 分析と実務』2007年4月(共著、中央経済社)』DVD『できるビジネスマンDVD+財務諸表チェックのキモ』 200年7月(創己塾出版)がある。
http://ownersbrain.com/
目次
従業員が働き続きたい会社の3つの特徴
良い会社とは、従業員が働き続きたいと思い、かつ、企業としても長く繁栄する会社だと考えます。ハイスピードに規模の拡大を図る会社は、お客様から目に見えない、組織風土づくりや社員のことがなおざりになるため、長い目で見ると上手くいかないケースが多くあります。従業員満足度が高く、長く繁栄会社の主な3つの特徴をみてみましょう。
1.社員が自主的に動く
社員が人に言われなくても行動を起こせる会社は、管理ががちがちに固くない証拠です。自由度が高い会社は社員がイキイキと働けます。
2.信用と信頼がある
長寿企業に共通する点は、「過去の実績」である信用と「未来のイメージ」である信頼の両方があるところです。とある男女の話を例に出します。彼女は彼に別れを切り出しましたが、その理由はこうでした。「彼は信用があるけど、信頼がない。」この場合の信頼とは2人の未来のイメージです。デートをすると楽しいが、毎回待ち合わせに遅れる彼。「今は楽しくても、将来的に不満が爆発しそう・・・結婚は考えられない」といったところでしょうか。
会社も同様で、長寿企業になって長い間人々に愛されるには、過去の実績だけでなく、未来に期待できるかどうかも重要です。
3.透明性が高い
会社において、透明性を表す言葉が2つあります。「オープンブック」と「オープンドア」です。オープンブックは数字の面のことで、社員も含めて社内でも会社の数字を共有できているかどうかということ。オープンドアはマネジメントレベルに相談がしやすいかどうかということです。上の方に話がしやすい、意見を言いやすい会社は、当然風通しの良い会社と言えるでしょう。
良い会社を見分けるために社員に対してチェックする3つのこと
私が、以前、尊敬する経営者から教わった、良い会社を見分ける3つのチェックポイントをご紹介します。以下のことを、これから、転職を考えている社員の方に聞く事をお薦めします。
〇会社にいる人に「会社に行くのが楽しい?」と聞いてみる
会社が社員を大切にしている会社は、社員の不満が溜まりにくく、楽しく仕事をしている人が多いように思われます。
〇会社のビジョンをなにも見ないで言えるかどうか
社員が会社のビジョンや方向性をしっかり答えられるのは、社長の理念が浸透している証拠です。
〇一番大きい取引先を聞いた時に、その会社を呼び捨てにするかどうか
取引先の会社に対して「さん」を付けるなど、社員が呼び捨てにするかどうかで、会社がお客さんを大事にしているかが分かります。
社員がオーナーの意識を持つ。アメリカ西海岸の注目企業「クリフ・バー&カンパニー」
「オーナーシップ・マインド」という言葉をご存じでしょうか。これは社員自身がオーナーの意識を持つということです。社員がこのような意識で仕事をしている会社は、良い方向に成長を遂げます。例として、アメリカの西海岸バークレーに本社を置く「クリフ・バー&カンパニー」という会社を紹介します。
社内にジムやボルダリング用の壁、マッサージ室などがあり、いつでも利用できる。ヨガや格闘技などのスタジオが社内にあり、20以上のレッスンを提供してくれる。オーガニックレストランを就業時間中に無料で利用できる。保育所が会社に併設されている。社員の勤務は隔週で週休3日、7年ごとに3ヵ月の有給休暇を取得できる(希望すればさらに3ヵ月無給で延長も可能)。
こんな会社があったらいいと思いませんか?クリフ・バー&カンパニーは今挙げた全てを兼ね備えた会社です。アスリートに人気のエナジーバー(栄養補給食品)を製造販売している会社であり、創業からわずか4年間で最も早く成長を遂げたベンチャー企業のひとつとして注目されました。
このクリフ・バーは、2010年ESOPと呼ばれる従業員所有化の仕組みを導入して、20%社員が株式所有するコーオウンド会社になりました。「コーオウンド」とは従業員と創業者で一緒に会社を所有する新しい事業承継の形です。これにより、「社員のオーナーシップ・マインドが高まった」とクリフ・バーの最高財務執行役(CFO)リッチ・ボラーノ氏は語ります。
クリフ・バーの社員たちには笑顔が溢れており、1人の求人枠に対して3000人の応募があるほど魅力的な会社なのです。
良い会社を見極めるには、社長を見極める
従業員が働き続けたく、事業としても長く繁栄する会社というのは、社員が楽しんで仕事をする会社です。そして、社員が仕事を楽しむということは、社長が社員を大事にしているということ。
結局のところ、「良い会社」とは「良い社長」です。社長の考え方が組織の風土を作ります。良い会社に勤めたいと思うなら、社長がお客さんや社員を大事にしているか、哲学や理念は明確か、そしてそれに共感できるか、それらを念頭に置いて会社選びをしてみましょう。
Text:FINANCIAL FIELD編集部
監修:小泉 大輔 (株式会社オーナーズブレイン 代表取締役 / 公認会計士・税理士)