更新日: 2019.01.11 その他
白熱電球をLED電球に?身近な電気の話 大掃除。
Text:藤森禮一郎(ふじもり れいいちろう)
フリージャーナリスト
中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。
家電製品は、国が進める省エネ対策「トップランナー規制」の対象
電気をたくさん使う家電製品は、国が進める省エネ対策「トップランナー規制」の対象になっています。この制度の下で、メーカーは毎年性能を向上させた新商品を開発して商品化しています。省エネに向かって開発のスピードは速いです。「冷蔵庫は買って10年しかたっていないし使えるし、買い替えモッタイナイ」と考える方が多いかもしれませんが、その結果、節約のチャンスを逃しているかもしれません。
買い替えは一時的な出費がかさみますから、年末商戦とはいえ財布のひもを緩めたくない気持ちもわかりますが、買い替えたほうがお得ということもあります。最近の家電製品は省エネが進んでいて消費電力が少なくなっています。月々の電気代は安くなり、効率が向上した分CO2の排出も抑制できますから、地球温暖化防止にも貢献できます。チェックしてみては。製品の買い替えで節約ライフが可能かもしれません。
トップランナー規制は、省エネ法に基づいて1998年から実施されている政府の省エネ制度で、製造事業者、販売事業者、輸入事業者が一丸となったわが国独自の仕組みです。国が定めた省エネ基準値をクリアして商品化されている製品のうち、最も省エネ性能が優れている機器(トップランナー)を基準商品に設定する制度です。トップランナー商品が省エネ基準に設定されますから事業者間競争の結果、製品開発のスピードアップが図られるのですね。
トップランナーの対象商品
トップランナーの対象商品には、「省エネラベル」の表示が義務付けられていますから、家電量販店に出かけて製品の性能比較をしてみるのも良いと思います。どんな商品がトップランナー規制の対象になっているか紹介しましょう。
■リビング・ダイニング関係
照明器具、エアコン、ガス・石油ファンヒーター、電気カーペット、電気こたつ、テレビ、パソコン
■キッチン関係
電気冷蔵庫、ジャー炊飯器、電子レンジ、電気ポット、ガスコンロ、食器洗い機
■キッチン・サニタリー関係
温水機器、ガス給湯器(キッチン用、お風呂用)
■サニタリー関係
温水洗浄便座、洗濯機、掃除機
たくさんありますね。日常よく使われる電化製品で、技術開発による改良の余地が残されている製品が対象ですね。お店ではこれらの商品には「グリーンの省エネラベル」が貼られています。事業者に義務付けられているのです。省エネラベルには、製品の性能や電気代などが詳細に表示されていますから、見比べてみるといいですね。店員に相談するのも良いでしょう。
おすすめ省エネ家電は「LED電球」
おすすめ省エネ家電は「LED電球」です。LED電球は2017年の今年から規制の対象になりました。
新商品が次々と登場しています。東京都のデータによると、60ワット(W)の白熱電球1個がLED電球に換ると、
■年間約2340円の電気料金を削減
■白熱電球より約85%省エネで約40倍長持ち
■寿命が長いから取り換えの手間いらず
という3つのメリットがあるとのことです。家計にも環境にも優しいですね。
たかが電球、されど電球です。ちりも積もれば山となる。家庭では照明機器と電気冷蔵庫が電力消費の主役です、ご存知でしたか。省エネのターゲットになっているエアコンは消費電力(kW)が大きいけれど電力量(kWh)は案外小さいのです。
LEDの規制対象化にあわせ、東京都では今年の7月から、「家庭におけるLED省エネムーブメント促進事業」をスタートさせました。街の電気店で白熱電球2個以上とLED電球1個を無償で交換してくれ、同時に省エネのアドバイスも受けられるということです。家庭での省エネを進めるのが狙いです。
具体的な方法ですが、交換可能なのは消費電力36W以上で、二つのうち一つの口金サイズがE26のものが対象になります。交換してくる電気屋さんは(協力店)は東京都内で約830店舗あるそうです。
最寄りの協力店を知りたい場合はパソコンで「LEDムーブメント」を検索すると良いそうです。交換希望する場合は、運転免許証やマイナンバーなど本人確認が可能なものを持ちLED省エネムーブメント促進事業のポスターかのぼり旗のあるお店を捜してください。口金サイズE26、電球形状A型の60W相当または40W相当のものに変えてくれるそうです。
60W相当の電球で性能と経済性比較
資源エネルギー庁のデータをもとに、60W相当の電球で性能と経済性比較をしてみましょう。
■価格は 白熱電球100~200円程度、電球型蛍光ランプ700~1200円程度、電球型LEDランプ(トップ値相当)1000~3000円程度)
■消費効率(消費電力)は白熱灯に比べ 蛍光ランプは約4分の1、LEDランプは約7分の1
■寿命は 白熱灯1000時間、蛍光ランプ6000~10000時間、LEDランプ40000時間
―となっています。最近は素人でも簡単にリフォームできる照明器具が沢山あります。節約と省エネの一石二鳥。年末の大掃除と電球取り換えを機会に、インテリアの照明リフォームにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。新しい部屋で新年を迎える、どうでしょう。
Text:藤森 禮一郎(ふじもり れいいちろう)
フリージャーナリスト