更新日: 2020.06.10 その他
今だからこそ知っておきたい! 生活困窮者自立支援制度について
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
生活困窮者自立支援制度とは
生活困窮者自立支援制度は、経済的に困難な状況に陥ってしまった方や、今のままではいずれそうなってしまう可能性が高い方を支援するために、2015年にスタートした比較的新しい制度です。
各地域に相談窓口があり、専門の相談職員が無料で、例えば以下のようなお金の相談に乗ってくれます。
・収入が減って家計が苦しい
・家賃や公共料金を滞納している
・失業して次の仕事が見つからず困っている
・家がなくてインターネットカフェで暮らしている
相談者の話を聞いたうえで、これからどうすれば良いのか計画を練ったり、利用できる支援策を探してくれたり、状況によってはさまざまなサポートを受けられるようにお手伝いしてくれます。
具体的にはどんなサポートをしてくれるの?
「お金の相談に乗って、支援プランを立てる」というのがはじめに受けられる支援ですが、さらに必要であれば、当面の生活費や住宅や仕事の確保に必要なお金を支給するなど、より踏み込んだ支援も行っています。
■生活困窮者自立支援制度で受けられる支援の例
・一時生活支援……住居のない方への衣食住の提供
・住宅確保給付金……原則3ヶ月、最大9ヶ月間の家賃相当額を支給
・家計相談支援……家計の問題を見つけ、うまく管理できるようにアドバイス
・就労支援……次の仕事探しの支援やすぐに働けない方への就労訓練や就労体験など
・子どもの学習支援……困窮世帯の子が進学などで悩まずに済むようサポート
この制度内の支援で足りない場合は、ほかの関係機関や専門家とも連携して動いてくれます。
経済的な悩みはどこに相談に行けば良い?
お金、仕事、家など失って経済的に困ってしまったら、地域ごとに用意されている生活支援窓口に相談してみましょう。生活困窮者自立支援制度はもちろん、生活保護やそのほかの社会保障についても聞くことができ、どんな支援をどのように受ければ良いのか教えてもらえるはずです。
少しややこしいのですが、この相談窓口は地域によって「くらしサポートセンター」や「生活支援相談窓口」「くらしごと相談室」など名称が違い、運営団体も市区町村だったり委託を受けたNPO(民間非営利団体)や社会福祉法人だったりさまざまです。
厚生労働省のホームページでは「自立相談支援機関窓口情報」として、全国の相談窓口の住所や連絡先を記載した資料を見ることができます。また、お住まいの自治体のホームページや広報誌にも情報が載っているはずですので、チェックしてみましょう。
情報を集めて、苦境を乗り切ろう
あまり知られていないものもありますが、日本では経済的に困窮した場合の救済措置がたくさん用意されています。最近は特に新型コロナウイルスの影響を受けた方向けに、さらに手厚い支援策が続々と出てきています。
1人で抱え込んで「もうだめだ……」とあきらめてしまう前に、しかるべきところに相談して、徹底的に情報を集めて、自分が対象になる制度を使い、苦しいときを乗り越えましょう。
(出典)
厚生労働省
「生活困窮者自立支援制度 制度の紹介」
「令和元年度自立相談支援機関窓口情報(1月1日現在)」
「住居確保給付金のご案内」
「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、生活にお悩みの皆さまへ」
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表