更新日: 2019.01.11 その他
身近な電気の話電力自由化!すでに2000万軒の家庭が電力小売業者に変更しています
全国で2000万軒とも言われる家庭用等の低圧需要家のうちで、すでに約10%の家庭が新規参入の電力小売り事業者へと「供給者変更」(スイッチング)をしているそうです。
大手電力10社から新規参入電力へ切り替え、同じ電力会社ですが、自由化に合わせて提供を始めた新料金プランへの変更など様々です。
電気料金を安くしたい、子供が独立したとか家族が増えて等の理由で生活スタイルに合った新しい料金プランに変えてみた、電気、ガス、水道、通信費など公共料金をまとめて支払えるようにしたい、スイッチングで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
まだ遅くはありません。これかあら、新しいエネルギーのある生活をエンジョイできるかもしれません。あなたもスイッチングを検討してみてはいかがですか?
Text:藤森禮一郎(ふじもり れいいちろう)
フリージャーナリスト
中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。
会社も料金もサービスも多種多様
その数にびっくりですね。こんなに増えたのですか。電力小売り会社(新電力)の数です。自由化前は東京電力や関西電力などそれぞれの地域のたった10社しか購入できる会社はありませんでした。
が自由化と同時に、生まれるは、生まれるは、電力市場には雨後のタケノコのように新電力が続々誕生し、10月現在、その数は422社に達するそうです。ガス会社系、通信社系、スーパーマーケット系、石油会社系、商社系、地域会社系などさまざまです。
全国ベースでサービスを展開している会社もあれば、地域を限定してサービスを展開している会社もあります。また、自社で電源を所有して販売している会社もあれば、発電事業者と契約し販売している会社もあります。
更には、電力会社の代理店のような機能を果たしている会社もあります。様々です。更には、地域おこしの一環として小電力会社を作ってもっぱら地元に電力供給している会社もあります。とてもすべての企業の名前も料金サービス内容も覚えきれません。
まずは情報収集を
どうしたらよいのでしょう。各社が魅力的なメニュー(電力商品)が用意していても、全ての企業のメニューを手に取ってみることはできませんね、実際には難しいですね。もう1年半も経過しましたから、スイッチングを経験した友人や知人に聞くのも良いでしょう。それはちょっとと言う方は情報サイトの利用をお勧めします。
経産省のホームページまたは「電力・ガス取引監視等委員会」(取引委員会)にアクセスして、「新電力一覧表」を開くと、各社のホームページにアクセスでき、詳細なメニューを知ることができます。その中から、関心のある新電力のメニューをさらにチェックしてみてはいかがでしょう。それでもプラン多すぎて迷ってしまいます。
そこで次は、パソコンで「電力比較サイト」を活用することです。必用な条件をインプットすれば、自分の生活に役立つ会社の役立つ魅力的なメニューを探し出せるかもしれません。
ただ、比較する前に用意することがあります。自宅の最近の利用状況(電力会社が発効する領収書、お客様番号が記入されている)を用意してください。その上で、自分が希望するセット割引の内容、付帯するサービスの内容、提携しているポイントサービスの種類など、自分の希望をしっかり確認しておくことが大切です。
パソコンの操作はちょっと苦手だなと言う方は、「価格比較サイト」に直接電話して相談する方法もあります。たぶん会社や商品を推薦してくれると思います。もっと簡単な方法もあります。現在契約している大手電力会社も、自由化に合わせて新メニュー(新契約)を用意しています。新電力への切り替えには不安があるなとか億劫だという方は、電力会社に相談してみるのも良いでしょう。
お得な新契約に切り替えできるかもしれませんよ。アンペア契約の変更など同じ会社内での契約変更は意外に多いそうです。(取引委員会の消費行動アンケート)
スイッチングの動機は、今より安い料金プランが出たこと
電力・ガスの自由化市場を常時監視している「電力・ガス取引監視等委員会」(取引監視委員会)がこのほど、電力・ガス小売り全面自由化が消費者の行動に与える影響をアンケート調査、分析した結果を公表しました。
それによると、「多少は知っている」人までを含めると電力は約80%、ガスは約70%の認知度となっています。昨年9月の前回調査に比べると電力は約10ポイント上昇し、認知度は広まっていることがわかりました。
しかし、内容の詳細までも知っていると回答したのは43%にとどまっています。前回より16ポイント上昇していますが、消費者が行動を起こすに十分な情報は得られていないのではないでしょうか。
それでは実際にスイッチング(供給者変更)をした人たちの反応を見てみましょう。
「販売先のホームページで料金のシミュレーションをした」が38%で最も多かったそうです。また「スイッチングの動機」は、「今より安い料金プランが出たこと」「「今の料金が高いこと」「電気とガスとのセット割引を始めた」ことが多いようです。逆にスイッチングしなかった理由としては「メリットがわからない」(38%)、「なんとなく不安」(29%)などが多く、消費者の知識不足がスイッチングの障害になっているようです。
このアンケート調査は全国の男女20~69歳を対象に9月7,8日にインターネット・電話で行ったものです1万人にスクリーニング調査を、購入先や料金プランの変更については1500人に本調査をしたものです。
スイッチングは各社の評判を聞いてから
電力ガスの自由化は、じわじわと浸透はしてきているが、消費者の行動を起こすところまで認知度は至っていないようです。
一つには、スイッチングを促すような詳細な商品情報が手に入らないことがあります。また「電話一本で切り替えられますよ」と言っても、切り替えて新電力に乗り換えるには不安がある人が意外に多いですね。
電気と言う商品の特性なのかもしれませんが、スーパーのチラシ広告の価格表を見て商品購入する様な気安さで、供給先は決められないのでしょうね。
意外に保守的かも知れません。新会社に「領収書メールで送信します」と言われ、「きちんとした紙の領収書をください」と言う年代の人たちは、おそらくスイッチングに慎重なのだろうと思いますね。
急ぐことはありません。倒産する企業が出てくるかもしれません、スイッチングは各社の評判を聞いてからでもOKですね。
Text:藤森 禮一郎(ふじもり れいいちろう)
フリージャーナリスト