更新日: 2020.04.25 子育て

専門学校への進学。学費や奨学金は、大学とどう違うのでしょうか

専門学校への進学。学費や奨学金は、大学とどう違うのでしょうか
4月から、大学や専門学校等の学生に対する「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。多様な専門性や特色を持つ専門学校に着目し、奨学金などの支援制度がどのように適用されているのか、紐解いていきます。
 
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー。

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち合う中で、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後は仕事に生かすとともに、地元でのセミナー登壇や日本FP協会主催の個別相談会、ワークショップなどに参画し活動を広げている。

修学支援新制度の給付条件や内容について

まず、「高等教育の修学支援新制度」について確認していきます。
 
同制度は、(1)授業料等減免制度の創設、(2)給付型奨学金の支給の拡充、の2つの支援から成り、世帯収入条件としては、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生が支援の対象になります。
 



 
授業料減免の上限額は、私立校では実際の授業料等に不足する学校が多くあります。給付型奨学金とあわせ、これらの金額が志望する各々の進学先、特に多様な分野がそろう私立の専門学校の授業料や実習費用等をどの程度カバーするのか、よく確認しておく必要があります。
 
また、新支援制度を適用する学校は「対象機関」として一定の基準が設けられています。教員の数や質の確保、財務諸表の公開等の他、「直近3年度すべての在籍学生数が収容定員の8割未満」だと認定”しない”基準があります。
 
ただし、専門学校には令和2年は6割未満とし、3年目で達成を求める経過措置を設けています。過度な定員割れ状態を防ぐこの基準が、現状の専門学校の経営には厳しい条件であることがうかがわれます。
 
そのような背景もあってか、学校数に占める対象機関認定率は、「大学・短大」が97.1%、高等専門学校が100%なのに対して、専門学校は62.3%です(※1)。修学支援新制度の利用を希望する場合、志望校が進学時に対象機関かどうかの確認はとても重要ですね。

専門分野により授業料等の差が大きい

では、具体的な学費を見てみましょう。
 
比較するのは東京都にある専門学校の、初年度納付金の平均額です。かなり幅があることがわかります。私立大学の初年度納付金の平均額は、文科系が約117万円、理科系が約154万円となっており(※2)、これらの金額と肩を並べているといってもいいでしょう。
 


 
専門学校は在学年数がおおむね2年~3年が多く、学費の総額では大学より少ないかもしれませんが、初年度に用意する金額は私立大文系学部より高額になる可能性があります。
 
また、専門分野によっては自宅から通える場所になく、下宿費も工面する必要が出てきます。計画的な資金準備とともに、進路として十分検討し納得しているか、家族で再確認してみてはいかがでしょうか。

奨学金制度の運営状況

修学支援制度の中で最も身近で詳しい情報を得られるのが、進学先独自の奨学金制度および学費減免制度です。見渡してみると、各校とも奨学金より学費減免制度のほうが主流のようです。大学では約8割の学校が奨学金制度を有していますが、専門学校では24%にとどまります(※3)。
 
とはいえ、入学時の成績で授業料を全額免除から数万円減額まで段階を設けたり、資格取得1つにつき月額1万円給付という専門学校らしい制度や、通学費用全額補助、教材一式進呈など各校が特色ある支援を用意しています。
 
一方、学費減免や給付型奨学金だけでは授業料や生活費をカバーできない場合は、日本学生支援機構をはじめとした、貸与型給付金の利用も検討することになります。

給付型奨学金を上手に活用しよう

「高等教育の修学支援新制度」を利用できた場合でも、貸与奨学金の併用が必要になるかもしれません。
 
卒業後の返還負担を少しでも減らすためにも、まず進学先の奨学金制度をはじめ、自治体や民間の「給付型」奨学金を活用したいところです。その場合、高等教育の修学支援新制度と併給可能かどうか、事前に調べておきましょう。
 
進学先によっては、過去に在学生が利用したさまざまな奨学金との併給可否を支給団体に確認し、ホームページで掲載している学校もあります。さまざまな支援制度を味方につけて計画的に準備していきましょう。
 
(参考)
(※1)文部科学省 高等教育の修学支援新制度の対象機関数 令和2年3月2日現在
(※2)文部科学省 私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果
(※3)日本学生支援機構 平成28年度奨学事業に関する実態調査報告
 
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー


 

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