更新日: 2020.04.24 その他

「インディーズ」とは、どんなこと? どんな手間とおカネがかかるの?

「インディーズ」とは、どんなこと? どんな手間とおカネがかかるの?
「インディーズ」という言葉を聞いたことがありますか。和英辞典で引くと「independent film,music,publishing,etc.」などと表示されます。つまり、「自主制作」の作品をあらわすことがあるのです(英語の「indies」は、違う意味になります)。
 

上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

「インディーズ」は、既製品と自作品の中間

「既製品」の商品は、きれいに装丁や包装がされ、しゃれたケースに収められていたりもします。流通ルートに乗って市販されて包装・装丁・ケースが整っていることが、一種の“権威付け”になっているともいえます。
 
一方で「自作品」は“世界に1つだけ”のオリジナルですが、既製品のような“権威付け”はありません。また、同じものをたくさん作ることにもあまり向きません。
 
既製品と自作品はこのように対極の関係にありますが、その中間に位置するのが「インディーズ」です。もしも取り組んでみようとした場合、どのくらいの手間やおカネがかかるのでしょうか。いくつか見てみましょう。

「本」

文藝春秋の自費出版案内サイト(※)によれば、原稿(写真やイラストも含む)が用意できている状態からで、【見積り → 契約 → 原稿整理 → 初校 → 再校 → 装丁 → 装丁校正 → 印刷・製本 → 完成】というプロセスを踏みます。
 
個人出版のジャンルとして、自分史、エッセイ集、小説、論文、歌集、句集、詩集、写真集、画集などが例示されています。でき上がりまでは、完成した原稿を入稿してから通常3ヶ月から4ヶ月とされ、価格は次のとおりです。
 


 
なお、取材原稿執筆(記者による聞き書き)で100万円程度、流通販売は別途相談で42万円、といった追加料金例も示されています。
 
上記は、大手出版会社の手を借りて、かなり本格的かつ大量に取り組んだケースです。印刷・製本・装丁の工程だけならば、四六判ハードカバーカラー上製本(新刊書に多く見られるサイズと仕様)が【1冊3万7800円、10冊13万800円、50冊35万1800円、100冊60万1800円】で作れるサービスなどもネット広告で見られました。

「CD」

本の「原稿」に相当するのが「音源」です。本格的に取り組む場合にはスタジオ施設で録音しますが、一例として、バンドレコーディング8時間パック(スタジオ代とエンジニア料金)で【平日5万8000円、土日6万5000円】といった価格でした。
 
音源が準備できれば、あとはハード面3つの工程です。まず、音源から原盤を作成してこれをもとに大量生産する「プレス」。2つ目がケース回りやCD盤本体などの「ジャケットデザイン」で、最後に各印刷や包装をして完成となります。
 
3工程をパッケージにして、所要時間【デザイン1週間から2週間】・【プレス7営業日】で、【100部10万4800円、500部13万5800円、1000部15万8700円】といった広告事例がありました。

「カレンダー」

本やCDに比べると手軽なイメージで、本の「原稿」やCDの「音源」に相当するのは撮りためた写真や自作の絵・イラストなどですが、手軽なサイズの卓上版で見てみましょう。
 
家庭用プリンターで1部だけ自作できるキットも数百円台から販売されていますが、大量ならば印刷会社に頼むのが手間いらず。卓上カレンダーでもサイズや仕様はさまざまですが、デザインや写真などを配置するスペース・サイズがあらかじめ決められている“イージーオーダー”が大半です。
 
元データを入稿してから納品までの期間は、2週間程度のケースもあります。費用は、色校正などのやり取りなしで卓上版・13枚(表紙+12ヶ月)の基本料金が、【50部1万6500円、100部2万9000円、200部5万円】といった事例がありました。これに付帯費用などが別途かかります。
 
多くの場合は低コストの「オンデマンド印刷」で、写真プリントに比べてキメ細かさや微妙な色具合いが再現されないため、色校正は有料オプションでも入れた方が無難です。

まとめ

いずれも数多い事例のごく一部で、消費税・諸費用・送料などが込みか別かの表示もバラバラでした。実際の制作費用にはかなりの幅があると思われます。
 
とはいえ、元になるデータがキチンと準備されていると、定額化された料金体系の中で意外と安い単価で、あるいは(単価は少々割高でも)意外と少ないロットでも制作できる場合があるのです。
 
このような「インディーズ」は、制作したものを販売しておカネ儲けできることにはならないとしても、「既製品」にはない味わいやプロセスを楽しみながら実現できます。意外と身近な存在かもしれません。
 
[出典](※)株式会社文藝春秋「文藝春秋 企画出版編集部」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士


 

ライターさん募集