【相談実例】住宅を購入するなら地方がいい? 手厚い支援があるってホント?
配信日: 2020.04.18
さて、そんな住宅ローンですが、実際にお客さまとお話しをする機会がありました。
これからマイホームを建てるにあたって、「変動金利がいいの? 固定金利がいいの?」という疑問にお答えするため、主に住宅ローンについてお話をしてきました。その中で地方ならではのお得な助成制度もいくつか出てきました。
執筆者:大場脩(おおば しゅう)
ファイナンシャルプランナー。
山形をベースに全国で活動する。
本人が地方在住、そして独身のため、独身向けのマネープラン、地方ならではのマネープラン実情に精通している。
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ブログはほぼ毎日更新、専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
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固定金利でも、変動金利と同等かそれ以下に!?
一般的には、変動金利の方が固定金利より金利が低い傾向にあります。今回のお客さまの場合は、まだお客さまの中で結論は出ていませんが、固定金利(フラット35)にしても変動金利と同等かそれ以下の金利になる可能性が出てきました。
その理由は、フラット35の金利引き下げです。今回のお客さまにはお子さんが2人いて、なおかつフラット35の子育て支援型の対象自治体に居住しています。
<条件>2019年12月末現在
団信なしフラット35S 融資率9割以下 借入金額:2000万円 返済期間35年
借入金利1.21%が、当初5年間は0.51%になります
借入金利1.21%からフラット35S(金利Bタイプ)利用で「当初5年間年0.25%」金利引き下げになります。今回の場合、お子さんが2人いらっしゃるので、子育て支援型を併用し、さらに「当初5年間年0.25%」の金利引き下げになります。したがって、当初5年間は合わせて金利が0.5%引き下げになります。
また、今回の場合は団信なし(金利引き下げ-0.2%)で、そのぶん収入保障保険に加入してカバーをする方向で検討しています。
フラット35Sとは……省エネ性や耐震性など質の高い住宅を取得する場合に、借入金利を一定期間引き下げる制度をいいます。
金利Aタイプと金利Bタイプがあり、Aタイプの場合は当初10年間金利が-0.25%、Bタイプの場合は金利が当初5年間-0.25%となります。2020年3月31日までの申込分は当初10年間-0.25%金利引き下げとなります。
Aタイプを利用する場合はBタイプよりもさらに質の高い省エネ性や耐震性、バリアフリー性が求められます。この制度には予算があり、予算に達した場合は受付終了となります。終了となる場合は終了の約3週間前までにフラット35のHPで情報が掲載されます(金利引き下げ幅は2020年3月31日までの申込分です)。
金利引き下げだけではなく、さらに助成金も
今回のお客さまは、山形県南部の置賜地方にある町に在住です。この町は山形県内でも過疎化が進んでいる地域で、町としても特に若い人の移住や居住を積極的に進めているという側面があり、一定条件を満たした場合は助成金が受け取れます。
・定住の意思を持って住宅を新築または購入した場合、1世帯につき1回に限り、奨励金10万円
・町内建築業者施工の場合、さらに奨励金10万円
・三世代同居世帯、子育て世帯または新婚世帯のいずれかに該当する場合、奨励金10万円
・出産祝(町内に住む人が子どもを出産した場合)
第1子……祝品(商品券)3万円
第2子……祝品(商品券)5万円
第3子以降……祝金17万円
今回のお客さまは、フラット35を利用する場合は当初5年間の年0.25%の金利引き下げ、各種奨励金が合計30万円、出産祝い(2人分)で合計8万円を受け取ることになります。
いずれも申請しないと受けられない
各自治体によって異なりますが、都市部よりも地方部のほうが助成の種類も多く、助成自体も大きい傾向にあります。また、いずれの助成、金利引き下げなどの制度も申請しないと受けられません。
忘れずに、漏れずに申請するためには事前の下調べが重要になります。マイホームは一生に一度、そして人生で最も大きな買い物になりますので、使える制度をできる限り活用していきたいものです。
[出典]
住宅金融支援機構「【フラット35】借入金利 早わかりツール」
住宅金融支援機構「飯豊町で利用できる【フラット35】子育て支援型・地域活性化型」
山形県飯豊町役場「飯豊町を知る」
執筆者:大場脩
ファイナンシャルプランナー